税務ニュース2007年07月02日 無形資産の有無は単に利益率の比較結果のみで判断せず(2007年7月2日号・№217) 国税庁、移転価格事務運営要領等を一部改正

無形資産の有無は単に利益率の比較結果のみで判断せず
国税庁、移転価格事務運営要領等を一部改正

税庁は6月26日、「移転価格事務運営要領」(事務運営指針)および「連結法人に係る移転価格事務運営要領」(事務運営指針)を一部改正した。5月12日まで意見募集した結果を踏まえたもの(本誌208号参照)。無形資産取引や役務提供取引等の適用上の留意点を示したほか、事前確認を受けようとする納税者が行う事前相談の的確な対応を明記した。また、移転価格税制上の具体的な事例を示した参考事例集も作成している。

無形資産取引の判断基準を示す  今回の改正は、海外利益の増加や無形資産取引が拡大するなか、移転価格税制に係る更正処分が増加しており、企業側から移転価格税制に係る適用基準の明確化が求められていたもの。また、平成19年度税制改正に関する政府税制調査会の答申等を受けた見直しである。
 特に無形資産取引については、日本の本社から供与される無形資産がどの程度国外子会社の利益に寄与したかどうかなど、税務当局と企業との間で見解の相違が生じていることが多い状況がある。
 これを受け、今回の改正では、調査において検討すべき無形資産について、①技術革新を要因として形成される特許権、営業秘密等、②従業員等が経営、営業、生産、研究開発、販売促進等の企業活動における経験等を通じて形成したノウハウ等、③生産工程、交渉手順および開発、販売、資金調達等に係る取引網等と従来の無形資産の定義に基づき整理した。そのうえで、たとえば、無形資産の有無を検討する際、無形資産を有しない類似法人の利益率と比較して高い利益率が認められる場合に、単に利益率の比較結果のみで判断するのではなく、無形資産の形成に係る研究開発等の活動・機能等について十分な分析が必要である旨を明記した(移転価格事務運営要領2-11)。
 また、役務提供時に無形資産が使用されているかどうかを検討する場合については、役務の提供者が移転価格税制上の無形資産を用いているか、当該役務がその提供を受ける法人の製造・販売等の活動・機能等にどのような影響を与えているか等を検討する旨を明記した(同2-8(1)の(注)書)。

事前確認手続に必要な事項を説明  事前確認手続の未了件数が年々増加している状況を受け、事前確認の処理の促進等を図るための事前相談の利用環境整備も行っている。
 事前確認を行う予定の事前相談を行う納税者に対して、確認申出書の添付資料の作成要領など、事前確認手続に必要な事項を説明するとともに、事前確認の申出を行うべきかどうかの判断ができる必要な情報の提供に努める旨を明記している。

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