会計ニュース2008年10月13日 段階取得の会計処理、関連会社は時価評価しない方向で(2008年10月13日号・№278) ASBJ、個別財務諸表での取扱いは検討が進まず
段階取得の会計処理、関連会社は時価評価しない方向で
ASBJ、個別財務諸表での取扱いは検討が進まず
企業会計基準委員会(ASBJ)は9月25日と10月7日に企業結合専門委員会を開催し、8月20日まで意見募集を行っていた企業結合会計基準などに寄せられたコメントに対する対応について検討を行った。論点となっている段階取得における会計処理について、まず、関連会社については、公開草案どおり、時価評価しない方向で検討が進んでいる。また、個別財務諸表と異なる取扱いとすべきかどうかについてはまだ検討が進んでいない状況だ。
公開草案ベースで検討 最も大きな論点となっているのは、段階取得における会計処理だ(本誌274号参照)。まず、被取得企業が関連会社であった場合についても、時価で算定すべきという意見が日本公認会計士協会などから寄せられている。
この点、企業会計基準委員会では、関連会社株式は、関連会社への影響力の行使を目的として保有する株式であることから、子会社株式の場合と同じく事実上の事業投資と同様の会計処理を行うことが適当とされている(金融商品会計基準74項)ため、関連会社を支配獲得した場合も、この事業投資としての性格は変わっていないと考えられる。したがって、公開草案どおり取得原価で評価する考えを示している。
なお、持分法に関しては、国際財務報告基準で将来的に廃止される可能性もあるとの報告もなされており、中長期的に検討すべきではないかとしている。
また、個別財務諸表とは異なった取扱いとすべきとする考え方については、日本経団連、日本公認会計士協会など、数多くのコメントが寄せられているため、企業会計基準委員会では、公開草案をベースに引き続き検討を行うものの、今後、対案を出す考えも示している。
四半期財務諸表では追加情報として注記 複数の取引が1つの企業結合を構成している場合の会計処理については、日本公認会計士協会から、「企業結合会計基準第5項なお書きでは、「複数の取引が1つの企業結合を構成している場合には、それらを一体として取り扱う。」と規定しているが、一体として取り扱うべき企業結合が、会計期間を跨いだ場合の会計処理およびその注記を明らかにすべきである」とのコメントが寄せられている。
この点については、一体として取り扱うべき企業結合が会計期間を跨いだ場合の会計処理およびその注記に関する定めは従来からなく、これまでと同様の取扱いになるものと考えられる(企業結合会計基準案64項参照)としている。
そのうえで、複数の取引が四半期会計期間末日を跨ぐ場合であって、四半期会計期間末までの取引結果が年度末において一体と取り扱った結果と異なることが想定されるときの当該四半期会計期間に対応する四半期財務諸表における会計処理については、追加情報としての注記が必要になると考えられるとしている。
会計士協会の実務指針で対応 連結会計基準案に関しては、注5において、「前後いずれかの決算日」を支配獲得日等とする旨の記載がされているが、従来の「前後いずれか近い決算日」から改正された理由を問うコメントが日本貿易会や日本公認会計士協会から寄せられている。
この点については、「前後いずれか近い決算日」とすると、四半期決算では、みなし取得日が実際の支配獲得日等よりも後ろの決算日になることがあり、在外子会社の決算書の入手が間に合わないなどの実務上の問題があることに対応したものと回答。具体的な取扱いは、日本公認会計士協会の「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」で対応することが考えられるとしている。
部分時価評価法廃止の適用初年度は? また、連結会計基準案20項では、部分時価評価法を廃止し、全面時価評価法のみとすることに改訂されているが、適用初年度の取扱いを明らかにすべきとのコメントが寄せられている。
この点、部分時価評価法の廃止について遡及適用は行わないが、「すべての子会社について、基準適用年度の期首に資本連結実務指針18項の部分時価評価法から全面時価評価法への変更のように処理する(部分時価評価法により計上されてきた評価差額を全面時価評価法による評価差額の親会社持分額として引き継ぎ、変更より計上すべき評価差額の少数株主持分額は、当該親会社持分額を基に持分比率により計算)。」旨を連結会計基準案に追加する方向で検討するとしている。
ASBJ、個別財務諸表での取扱いは検討が進まず
企業会計基準委員会(ASBJ)は9月25日と10月7日に企業結合専門委員会を開催し、8月20日まで意見募集を行っていた企業結合会計基準などに寄せられたコメントに対する対応について検討を行った。論点となっている段階取得における会計処理について、まず、関連会社については、公開草案どおり、時価評価しない方向で検討が進んでいる。また、個別財務諸表と異なる取扱いとすべきかどうかについてはまだ検討が進んでいない状況だ。
公開草案ベースで検討 最も大きな論点となっているのは、段階取得における会計処理だ(本誌274号参照)。まず、被取得企業が関連会社であった場合についても、時価で算定すべきという意見が日本公認会計士協会などから寄せられている。
この点、企業会計基準委員会では、関連会社株式は、関連会社への影響力の行使を目的として保有する株式であることから、子会社株式の場合と同じく事実上の事業投資と同様の会計処理を行うことが適当とされている(金融商品会計基準74項)ため、関連会社を支配獲得した場合も、この事業投資としての性格は変わっていないと考えられる。したがって、公開草案どおり取得原価で評価する考えを示している。
なお、持分法に関しては、国際財務報告基準で将来的に廃止される可能性もあるとの報告もなされており、中長期的に検討すべきではないかとしている。
また、個別財務諸表とは異なった取扱いとすべきとする考え方については、日本経団連、日本公認会計士協会など、数多くのコメントが寄せられているため、企業会計基準委員会では、公開草案をベースに引き続き検討を行うものの、今後、対案を出す考えも示している。
四半期財務諸表では追加情報として注記 複数の取引が1つの企業結合を構成している場合の会計処理については、日本公認会計士協会から、「企業結合会計基準第5項なお書きでは、「複数の取引が1つの企業結合を構成している場合には、それらを一体として取り扱う。」と規定しているが、一体として取り扱うべき企業結合が、会計期間を跨いだ場合の会計処理およびその注記を明らかにすべきである」とのコメントが寄せられている。
この点については、一体として取り扱うべき企業結合が会計期間を跨いだ場合の会計処理およびその注記に関する定めは従来からなく、これまでと同様の取扱いになるものと考えられる(企業結合会計基準案64項参照)としている。
そのうえで、複数の取引が四半期会計期間末日を跨ぐ場合であって、四半期会計期間末までの取引結果が年度末において一体と取り扱った結果と異なることが想定されるときの当該四半期会計期間に対応する四半期財務諸表における会計処理については、追加情報としての注記が必要になると考えられるとしている。
会計士協会の実務指針で対応 連結会計基準案に関しては、注5において、「前後いずれかの決算日」を支配獲得日等とする旨の記載がされているが、従来の「前後いずれか近い決算日」から改正された理由を問うコメントが日本貿易会や日本公認会計士協会から寄せられている。
この点については、「前後いずれか近い決算日」とすると、四半期決算では、みなし取得日が実際の支配獲得日等よりも後ろの決算日になることがあり、在外子会社の決算書の入手が間に合わないなどの実務上の問題があることに対応したものと回答。具体的な取扱いは、日本公認会計士協会の「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」で対応することが考えられるとしている。
部分時価評価法廃止の適用初年度は? また、連結会計基準案20項では、部分時価評価法を廃止し、全面時価評価法のみとすることに改訂されているが、適用初年度の取扱いを明らかにすべきとのコメントが寄せられている。
この点、部分時価評価法の廃止について遡及適用は行わないが、「すべての子会社について、基準適用年度の期首に資本連結実務指針18項の部分時価評価法から全面時価評価法への変更のように処理する(部分時価評価法により計上されてきた評価差額を全面時価評価法による評価差額の親会社持分額として引き継ぎ、変更より計上すべき評価差額の少数株主持分額は、当該親会社持分額を基に持分比率により計算)。」旨を連結会計基準案に追加する方向で検討するとしている。
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