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2014年11月18日 抵当権、根抵当権の利用形態とその登記 執筆者:青木登

 国語辞典によれば、担保権の代表である「抵当」とは、「借金の際、金が返せなくなったら貸手が自由に処分してよいと約束する、借手側の品物。担保。かた。質物。」とされ、用例として「土地を抵当に入れる」と掲載されています(岩波国語辞典第6版 2000年 岩波書店)。
 これを民法的に構成すれば、抵当権とは金銭消費貸借による債権(被担保債権)を担保するため、借手(債務者)の土地(不動産)をかたにとり(設定)、債務不履行のとき貸手(債権者)が当該土地を処分(実行)することができる権利となります。
 このように、抵当権の目的が金銭債務の担保であるとしても、借手(債務者)の利用目的は個人的な金銭債務から、企業の資金調達まで様様であり、これにより、利用する抵当権の種類が異なり、その登記にも特有の問題が生じます。
 個人的金銭債務には、普通抵当権が利用されるのが一般的と思われます。住宅ローンのための設定が多く、離婚による慰謝料、不法行為による損害賠償債務のための設定も散見されます。ここでは、一個の債権が被担保債権であり、当事者間で特定されれば足りるとされ、その登記上の表示も「平成年月日金銭消費貸借」の例のほか、当事者の便宜の表示で足りるとされています。「平成年月日養育料、慰謝料」「平成年月日損害賠償債権」と表示される例もあります。
 企業の資金調達のためには、不特定の債権を担保するのが企業取引に便利であるとして根抵当権が多く利用されていると思われます。不特定の債権を担保するので、その登記上の表示も「客観的に担保すべき債権の範囲を画する基準として、その内容を第三者が認識できるようその取引の種類を記載する。」(昭46・10・4民甲3230号)とされています。しかし、企業取引の変化から根抵当権の担保する「債権の範囲」も変化するのであり、具体的事例が上記通達に適合するか、判断に苦慮する場合もあります。「電子記録債権」が認められるまで議論があったのがその例です。
 このように、普通抵当権、根抵当権が利用されても、借金が返済されたり、資金調達の必要がなくなれば、その登記は「抹消」となります。この場合、当事者は抹消できさえすればよいとしてか、その抹消原因の適否を検討していないと思われる例が見られます。弁済によって消滅した抵当権を「解除」したり、登記上、元本の確定していない根抵当権を「弁済」によって抹消する例があります。これらは、普通抵当権、根抵当権の法的性格から理論的に成立しない抹消原因と考えられます。
 債務不履行があると、債権者は抵当権、根抵当権の実行をすることとなり、登記上も「差押」の記録がなされます。差押えにも、不動産収益執行の制度が加わりました。目的不動産の権利関係が複雑な場合に利用されると思われますが、これも、社会、経済上の変化に応じたものと考えられます。したがって、「差押」の登記も、その登記原因に注意する必要があります。
 今後も、抵当権、根抵当権は新たに生じるであろう債権債務関係を律するものとして、複雑化し、その登記も影響を受けるものと思われます。このとき、法的性質はもちろん、その背景にある社会、経済上の変化、必要性を考慮しながら対処しなければならないと考えられます。

(2014年11月執筆)

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