会計ニュース2010年03月15日 会計士協会が公認会計士の上場会社への独立役員就任で見解(2010年3月15日号・№346) 加重開示となるケースは限定的

会計士協会が公認会計士の上場会社への独立役員就任で見解
加重開示となるケースは限定的

本公認会計士協会は3月8日、業務本部審理ニュースNo.7「上場会社の『独立役員』への就任について」を公表した。公認会計士が監査法人退職後に、当該監査法人が監査をしている上場会社の社外取締役または社外監査役に就任し、「独立役員」の指定を受けた場合であっても、コーポレート・ガバナンス報告書への加重開示となるケースは限定的であるとしている。

利害関係がある場合には一定の開示が必要  東京証券取引所の上場規程等の改正により、上場会社は平成22年3月1日以後終了する事業年度に係る定時株主総会終了後のコーポレート・ガバナンス報告書において、独立役員に関する情報として、独立役員に共通した事項である指定理由等の開示が求められる。
 加えて、一定の事由(一定の利害関係)に該当する社外取締役または社外監査役を独立役員に指定する場合には、その事由に該当してもなお指定することの理由等一定の事項の開示(加重開示)が要求されている。具体的には、上場会社を監査している監査法人に過去所属していたことや当該経歴を有していても上場会社として一般株主との利益相反がないと判断する理由等の開示が必要になる。
 また、加重開示のための一定の要件として、「当該会社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家又は法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者及び当該団体に過去に所属していた者をいう。)」が明らかにされている。

報酬依存度が判断のポイント  したがって、独立役員に就任しようとしている公認会計士が、過去に当該上場会社を監査している監査法人の社員だった場合、加重開示の対象となるが、実際に開示するかどうかの判断は監査法人が得ていた監査報酬が「役員報酬以外の多額の金銭」に該当するかどうかがポイントとなる。
 具体的には、監査法人が上場会社から受領する監査報酬額の当該監査法人の総収入額に占める割合(現在の報酬依存度)によることになる。
 日本公認会計士協会の「独立性に関する概念的枠組み適用指針」および倫理委員会報告第2号「職業倫理に関する解釈指針(その2)」では、脅威が生じる報酬依存度として、50%超が示されている。このため、加重開示が求められるケースは限定的であるとしている。
 また、過去に当該上場会社を監査する監査法人に所属していたことをもって、「独立役員」への就任が制限されることもないとしている。

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