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税務ニュース2003年09月16日 ストック・オプション第2弾も「一時所得」で原告勝訴(2003年9月8日号・№034) 東京地裁民事2部・「給与所得」を厳格に解釈

ストック・オプション第2弾も「一時所得」で原告勝訴
東京地裁民事2部・「給与所得」を厳格に解釈


 東京高裁、東京地裁、横浜地裁、千葉地裁等で79件が係属されているストック・オプション課税の取消等訴訟に対する第2弾の司法判断が下された。東京地裁民事2部(市村陽典裁判長)は、平成15年8月26日、海外親会社からストック・オプションが付与され、その権利行使時の利益に対する所得区分について、「本件行使益は、雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付に当たるとは認められない。」と判示し、「給与所得」ではなく「一時所得」に該当するものとして、課税処分を取り消す原告勝訴の判決を下した(5名7件分、平成12年(行ウ)第309号・平成13年(行ウ)第208号ほか)。

東京地裁・両行政事件専門部で「同旨の判断」
 東京地裁には、民事2部・民事3部の2つの行政事件専門部があるが、昨年11月26日の東京地裁民事3部での判決に引き続き、民事2部においても「一時所得」とする同旨の判決が下されたことになる。東京高裁に控訴された事件を含め80件近い同種の訴訟が東京高裁・各地裁に係属中であり、原告(納税者)側は、東京地裁の両行政事件専門部の「一時所得」に該当するという判断が定着することに強い期待を寄せている。ストック・オプション課税については、課税当局が、「給与所得」として申告することを指導しており、この取扱いは、現在も引き続いていると見られるだけに、被告(国)側の対応や、「給与所得」として申告した納税者・税理士等の対応も注目されている。

権利行使益の「給与所得該当性」を否定
 本件訴訟の主要な争点は、ストック・オプションの行使益の所得区分である。被告は、「従業員等の地位に基づく給付という広い意味での労務の対価性こそが、勤労性所得の本質的な要素であって、そのような広い意味での対価性が認められる限り、給与所得に該当する。」と主張したが、市村裁判長は、「原告が親会社に対して労務を提供する義務等が存するような事情が認められない本件の事実関係の下では、本件ストック・オプション行使益の供与が従業員等の地位に基づく給付であると解することは困難」と判示し、「給与所得」を狭く(厳格に)解して、被告の主張を斥けた。
 また、ストック・オプションの行使益についても、多分に偶発的、一時的な要因によって定まるものと認定し、付与会社から給付されたものとして評価することの合理性を否定している。
 なお、本判決及び、平成14年11月26日の東京地裁民事3部判決については、訴訟代理人を務めている鳥飼総合法律事務所のホームページで閲覧することができる。

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