税務ニュース2019年07月22日 固定資産評価の取消訴訟で追加主張は可(2019年7月22日号・№796) 最高裁、審査の申出の際に主張しなかった事由の主張は許されると判断
固定資産評価の取消訴訟で追加主張は可
最高裁、審査の申出の際に主張しなかった事由の主張は許されると判断
本件は、寺院である納税者が所有する鉄骨・鉄筋コンクリート造の建物(地下1階地上9階)の固定資産税評価額が問題となっていた税務訴訟である。
東京都は、建物全体を一単位として鉄筋コンクリート造の補正率を適用したうえで、登録価格を約6億8,800万円と決定していた。これに対し納税者は、一審のなかで、家屋の大部分を占める鉄骨造である部分には鉄骨造の補正率を適用すべきと指摘し、登録価格は約5億8,700万円であると主張していたものの、東京地裁は納税者の主張を棄却していた(平成29年3月17日判決)。
一審で敗訴した納税者は、控訴審のなかで、従来の主張を拡張するかたちで登録価格に関する違法事由(鉄筋及びコンクリート使用量の誤り)を追加主張したうえで、登録価格は約5億4,727万円であると主張していた。これに対し東京高裁は、従来の主張を棄却したうえで、控訴審における追加主張は裁決前置の要件を充足せず、不適法であるとして追加主張を却下していた(平成29年12月14日判決)。
最高裁における争点は、固定資産評価審査委員会に対する審査の申出をした者がその申出に対する同委員会の決定の取消訴訟(税務訴訟)を提起する場合において、同委員会による審査の際に主張しなかった事由を追加主張することができるか否かという点である。
この点に関し最高裁第三小法廷(宮崎裕子裁判長)は、審査申出人(納税者)は固定資産評価審査委員会による審査の際に主張しなかった事由であっても、審査決定の取消訴訟においてその違法性を基礎付ける事由として、これを主張することが許されるというべきであると判断した。そして最高裁は、追加主張に係る事由によって、本件における登録価格が家屋(建物)の価格(時価)を上回ることとならないか否かについて審理判断をすることなく適法とした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があると指摘。以上を踏まえ最高裁は、原審である東京高裁判決を破棄したうえで、さらに審理を尽くさせるために本件取消訴訟を原審である東京高裁に差し戻した。
最高裁、審査の申出の際に主張しなかった事由の主張は許されると判断
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東京都は、建物全体を一単位として鉄筋コンクリート造の補正率を適用したうえで、登録価格を約6億8,800万円と決定していた。これに対し納税者は、一審のなかで、家屋の大部分を占める鉄骨造である部分には鉄骨造の補正率を適用すべきと指摘し、登録価格は約5億8,700万円であると主張していたものの、東京地裁は納税者の主張を棄却していた(平成29年3月17日判決)。
一審で敗訴した納税者は、控訴審のなかで、従来の主張を拡張するかたちで登録価格に関する違法事由(鉄筋及びコンクリート使用量の誤り)を追加主張したうえで、登録価格は約5億4,727万円であると主張していた。これに対し東京高裁は、従来の主張を棄却したうえで、控訴審における追加主張は裁決前置の要件を充足せず、不適法であるとして追加主張を却下していた(平成29年12月14日判決)。
最高裁における争点は、固定資産評価審査委員会に対する審査の申出をした者がその申出に対する同委員会の決定の取消訴訟(税務訴訟)を提起する場合において、同委員会による審査の際に主張しなかった事由を追加主張することができるか否かという点である。
この点に関し最高裁第三小法廷(宮崎裕子裁判長)は、審査申出人(納税者)は固定資産評価審査委員会による審査の際に主張しなかった事由であっても、審査決定の取消訴訟においてその違法性を基礎付ける事由として、これを主張することが許されるというべきであると判断した。そして最高裁は、追加主張に係る事由によって、本件における登録価格が家屋(建物)の価格(時価)を上回ることとならないか否かについて審理判断をすることなく適法とした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があると指摘。以上を踏まえ最高裁は、原審である東京高裁判決を破棄したうえで、さらに審理を尽くさせるために本件取消訴訟を原審である東京高裁に差し戻した。
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