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コラム2020年11月23日 SCOPE 評価額の著しいかい離は通達評価が適切でないことを伺わせる(2020年11月23日号・№859)

“もう1つの6項適用事案”も課税庁勝訴
評価額の著しいかい離は通達評価が適切でないことを伺わせる


 課税庁が相続に係る土地・建物に評価通達6項を適用した課税処分の是非が争われた「もう1つの評価通達6項適用事案(本誌844号40頁参照)」について、東京地裁民事第2部(森 英明裁判長)は令和2年11月12日、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。
 森裁判長は、「本件通達評価額(4億7,761万円余)と本件鑑定評価額(10億4,000万円)の間に著しいかい離が生じており、これによって課税額に大幅な差異が生じていること自体、本件通達評価額によって時価を算定することが適切ではないことをうかがわせるものというべき」と判示したうえで、「本件被相続人が本件不動産を取得した経緯(相続税軽減目的の不動産取得)に照らせば、特別の事情があるというべきである。」とした。

もう一つの評価通達6項適用事案とは

 本件は、被相続人Xの相続人である原告らが、本件被相続人の相続により取得した財産の価額を財産評価基本通達の定める評価方法により評価して本件相続に係る相続税の申告をしたところ、課税庁が、本件相続に係る相続財産のうち一部の土地及び建物の価額について評価通達の定めにより評価することが著しく不適当と認められるとして、原告らに対し、本件鑑定評価額に基づく本件相続税の更正処分及びこれらの処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分をしたことから、原告らがこれを不服として、これらの課税処分の取消しを求める事案である。対象となる土地・建物は、神奈川県横浜市所在の一棟マンション(以下「本件マンション」という。)、原告の主張する土地評価額は339,256,689円、建物評価額は138,354,420円、被告の主張する土地評価額は830,000,000円、建物評価額は210,000,000円、当該不動産の取得価額は、土地882,352,942円、建物(消費税込)617,647,058円であり、当該不動産を取得するための借入金として15億円が併せて計上されている。
 Xが当該不動産を取得したのは、平成25年7月25日であり、Xの相続開始日は平成25年9月16日であった。

本件不動産の時価算定、裁判所は国側鑑定評価に不合理認めず

 原告らは、そもそも本件鑑定評価が採用した手法等に問題があり、これを本件不動産の評価として用いることは不適切である旨主張した。具体的には、本件鑑定評価が①開発法を適用しなかったこと、②排除すべき取引事例を採用していること、③標準価格の算出に信頼性を欠いていること、④恣意的な数値によって意図的に積算価格を上昇させていること、⑤原価法による積算価格の試算の際、収益還元法(土地残余法)を省略していること、⑥主観的要素が介入する可能性のある補正を2度も繰り返している点で不合理であり、信頼性を欠いていること、を主張してきた。
 裁判所は、上記の個々の主張を斥け、「本件鑑定評価の算定が不合理であるということはできない。」「本件通達評価額が本件鑑定価格と大きくかい離しており、これによって課税額に大きな差が生じていること自体が(評価通達によらないことが相当と認められる)特別の事情の存在をうかがわせるものであるということができる。」と判示した。

不動産取得の経緯(相続税の軽減目的)と合わせ“1本”

 判決は次に、Xが本件不動産を取得した経緯に照らし、以下のとおり判示し、「特別の事情」があるものと認めている。
 「本件不動産に係る本件通達評価額と本件鑑定評価額とのかい離の程度が極めて大きく、これによって本件相続税の額にも大きな差が生じていることに加えて、被相続人X及び原告Aが上記のような評価額の差異によって相続税額の低減が生じることを認識し、これを期待して本件不動産を取得したことに照らせば、本件不動産については、評価通達の定める評価方法によって財産を評価することによって、かえって租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかであるから、『特別の事情』があるというべきである。そして、本件鑑定評価額は、本件不動産の客観的な交換価値を示すものとして合理性を有するものであるから、本件不動産はこれによって評価することが許されるものと解される。したがって、本件不動産の時価は、本件鑑定評価額であると認めるのが相当である。」

「租税法律主義の趣旨に反する」との主張も排斥

 原告らは、「評価通達の定めによらずに評価することは予測可能性を著しく害し、租税法律主義に反する。」「本件のかい離の程度についても特異なものではないから特別な事情は存在しない。」「本件不動産は特殊な物件であるわけではない。」などと主張していたが、裁判所は、「そもそもXは、本件相続の2か月前に、本件鑑定評価額を大幅に上回る15億円で本件不動産を取得していたのであって、X及び原告らにおいて、本件通達評価額が本件不動産の時価と著しくかい離していることは十分に認識可能であったというべきであるから、本件課税処分が予測可能性を害するものであるとはいえない。」「本件不動産以外に評価通達の定めによる評価額と実際の取引価格とが大きくかい離する例があるとしても、本件不動産について評価通達の定めによらずに評価することが違法となるとはいえない。」「本件と同等の設備を有する類似の物件がほかに存在しているとしても、これによって特別の事情の存在が否定されるものとはいえない。」と判示し、原告の主張はいずれも斥けられた。

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