カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2019年08月26日 SCOPE スマート税務行政の実現に向けICTなどのインフラを整備(2019年8月26日号・№800)

星野国税庁長官にインタビュー
スマート税務行政の実現に向けICTなどのインフラを整備


 令和元年7月5日付けで財務省主税局長から第50代国税庁長官に就任した星野次彦氏にインタビューを行った。星野長官は、「スマート税務行政」の実現に向けて引き続き必要なインフラを整備するとしたほか、消費税率の引上げと軽減税率制度の実施については、制度が早期に定着するよう、周知・広報や相談対応等に取り組む姿勢を示した。

「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」の2本柱

本誌:国税庁長官に就任されての抱負をお願いします。
長官:国税庁の使命である「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことを着実に果たしていきたいと考えています。最近では、経済活動の国際化や、ICT化が急速に進展しており、税務行政を取り巻く環境も大きく変化しています。ICTやマイナンバーなどの積極的な活用を通じて、「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を2本柱とする「スマート税務行政」の実現に向けて、引き続き、必要なインフラの整備や業務改革等に計画的に取り組んでいきたいと考えています。また、本年10月には、消費税率の引上げと軽減税率制度の実施が予定されています。事業者の方々の準備が円滑に進み、制度が早期に定着するよう、周知・広報や相談対応等に、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
すべての国税局にPTを設置
本誌:
シェアリングエコノミーや暗号資産など、新しい分野に対する今後の税務調査等の取組などについてお聞かせください。
長官:新分野に対する適正申告のための環境づくりとして、①国税庁ホームページを通じた申告等の税務手続や取引に関する課税上の取扱いの情報発信、②仲介事業者や業界団体等を通じた適正申告の呼びかけ、③スマートフォン専用画面の提供やQRコードを利用したコンビニ納付の導入の取組みなどについて、引き続き推進していくこととしています。
 また、国税庁ではこれまでも、「電子商取引専門調査チーム」を中心に、電子商取引に関する情報収集・分析を行っていますが、本年7月以降、すべての国税局にプロジェクトチームを設置しており、国税局間や関係部署間で連携・協調を図り、情報収集・分析等を充実させていくこととしています。加えて、令和元年度税制改正において、事業者等への任意の協力要請と担保措置を伴った事業者等への報告の求めが整備されたことから、今後、こうした情報照会手続の法的枠組みも活用して情報収集に努めていきます。

情報照会手続とは?
 現行の実務で行われている事業者等に対する任意の照会について税法上明確化するとともに、高額・悪質な無申告者等を特定するため特に必要な場合に限り、事業者等に対する情報照会を行うことができる(2020年1月1日適用)。ただし、適正かつ慎重な運用を求める観点から、照会できる場合及び照会情報を必要最小限の範囲に限定するとともに、相手方となる事業者等が不服申立てを行うことも可能としている。
 照会できる場合とは、①多額の所得(年間1,000万円超)を生じうる特定の取引の税務調査の結果、半数以上で当該所得等について申告漏れが認められた場合、②特定の取引が違法な申告のために用いられるものと認められる場合、③不合理な取引形態により違法行為を推認させる場合であり、照会情報は氏名、(保有している場合には)住所・番号(個人/法人)に限定されている。

BAツール等で税務上の高リスク対象を抽出
本誌:ICTの活用についてお聞かせください。
長官:ICTの活用による納税者の利便性向上については、スマホ等による電子申告、e-Taxやマイナポータルを活用した確定申告の簡便化に取り組んでいます。具体的には、令和元年分の確定申告に向けて、利用可能対象者をすべての給与所得者や年金収入のある方に拡大することとしています。また、マイナンバーカード読取機能を搭載したスマホ等でマイナンバーカードを用いたe-Taxを可能とすることなども予定しています。
 税務相談及び課税・徴収の効率化・高度化については、AIやBIツール(大量のデータを分析・可視化し、迅速な意思決定を補助するツール)やBAツール(統計学や機械学習等の技術を用いてデータ分析を行うツール)といった高度なデータ分析ツールを活用したシステム構築を進めています。調査事務では、BAツール等を用いて、膨大な情報リソースを加工・分析することで、税務上の高リスク対象を抽出するなど、調査選定等の事務を効率化・高度化する取組を進めています。

CRSと各種調書を併せて検討
本誌:
CRS(共通報告基準)を含む情報交換の現状と今後の税務調査への活用状況について教えてください。
長官:国税庁は、CRS情報について、昨年から諸外国の税務当局との交換を開始しています。昨年10月末時点で、日本の非居住者に係る金融口座情報約9万件を58か国・地域に提供した一方で、日本の居住者に係る金融口座情報約55万件を64か国・地域から受領しています。諸外国の税務当局から受領したCRS情報は、海外にある金融資産及びそこから生じる所得の把握などに効果的です。国外送金等調書や国外財産調書といった各種調書や既に保有している他の資料情報等と併せて分析を行った上で、課税上問題のあると見込まれる納税者を把握し、税務調査を実施しています。
本誌:ありがとうございました。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索