税務ニュース2021年04月09日 “名義変更保険”使った節税封じ込めへ(2021年4月12日号・№878) 「解約返戻金<資産計上額×70%」なら資産計上額を売却額に
国税庁が、法人契約の逓増定期保険を個人に名義変更した際の税務上の取扱いの見直しを検討していることが判明した。
この保険は通称“名義変更プラン”と呼ばれるもので、当初法人が契約し、一定期間保険料を支払った後、解約返戻率が低い期間に、法人が払い込んだ保険料よりもはるかに低額で当該保険契約を法人の役員または使用人に名義変更(売却)するというもの。この結果、法人には譲渡損失(払い込んだ保険料-売却額)が発生することになる。
国税庁は名義変更プランの高い節税効果を問題視、法人名義で契約した解約返戻率の高い保険契約を、解約返戻率が低い期間に法人から役員または使用人に名義変更(売却)する場合、解約返戻金が法人税基本通達9-3-5の2(定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い)に基づく資産計上額の「70%相当額未満」であれば、解約返戻金ではなく「資産計上額」で売却したことと取り扱う方向で検討している。具体的には、所得税基本通達36-37(保険契約等に関する権利の評価)が見直されるものとみられる。現状では、この通達に基づき、「保険の買取金額=解約返戻金」となっている。この見直しにより、名義変更時に法人に大きな譲渡損失を発生させるという節税効果は封じ込められることになる。
名義変更プランは中小企業の節税策としてかなり広まっているが、名義変更プランを利用する中小企業にとって最も気になるのは、新たな取扱いの適用開始日だろう。本誌の取材によると、新たな取扱いは、「2019年7月8日以降」に契約された名義変更プランを、新たな取扱いの施行日以降に名義変更した場合に適用されることが有力となっている。施行日は今事務年度中の6月になることが予想される。ちなみに、「2019年7月8日」とは、いわゆる全損保険の損金算入を制限する改正通達が施行された日である(本誌798号28頁参照)。
既に契約済の名義変更プランにも適用されることとなれば、影響はかなり大きいだろう。
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