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解説記事2021年06月07日 SCOPE 税務当局の収集資料、重要資料は50万円未満除外(2021年6月7日号・№885)

滞納整理の際、国際取引・贈与情報等も収集
税務当局の収集資料、重要資料は50万円未満除外


 税務当局が滞納整理の際、滞納者等の帳簿書類、預金口座等から把握した取引金額のうち、裏取引・偽装取引に係る情報に加え、国際的租税回避、贈与事実に関する情報等を収集することがわかった。特に重要資料については、その範囲を明示し、裏取引資料、偽装取引資料、活用先の不正の発見に直結する資料をその対象とする一方、現金取引又は現金決済に係る資料でその合計額が50万円未満のものを重要資料から除外している。また、税務当局は、滞納整理時の資料情報の活用について、滞納処分免脱罪や海外関連事案の端緒把握など高度な滞納整理事務の推進に必要不可欠なものと指摘している。

重要資料=活用先の不正発見に直結する資料

 コロナ禍における徴収事務として、税務当局は納税の猶予等の適用に優先的に対応してきており、滞納整理については電話・文書を中心に実施しているもようだ。しかし、今後、臨場による滞納整理が増加することも考えられ、滞納整理の際に収集される資料情報も気になるところだ。
 この点、税務当局は、滞納者等の帳簿書類、預金口座等から把握した取引金額などのうち、裏取引、偽装取引その他有効と見込まれる取引情報等を収集対象としており、収集情報が「重要資料」に該当する場合は、「重要資料せん」が作成される。ただし、現金取引、現金決済に係る資料でその合計額が50万円未満のものは、重要資料とはされない(表1参照)。

【表1】重要資料の範囲

 重要資料とは、収集した資料情報のうち、次に掲げるものをいう。ただし、現金取引又は現金決済に係る資料でその合計額が50万円未満のもの(顕著な活用効果が期待できると認められるものを除く)及び活用先の公表帳簿に正当に記帳されていることが収集過程で確認できたものは、重要資料としない。
イ 裏取引資料
  公表帳簿に記載されていない取引内容を解明した資料をいう。
ロ 偽装取引資料
  公表帳簿に記載されている取引のうち、取引内容が偽装されているもの(仮名、借名の預貯金等を含む)及び当該取引事実そのものが架空である取引内容を解明した資料をいう。
ハ 上記イ及びロ以外で活用先の不正の発見に直結すると認められる資料

他の個人に係る借地権設定土地の転借・取得情報も

 上記「重要資料せん」のほか、滞納整理で把握した情報の内容に応じて、「各課部門事務連絡せん」「国際取引連絡せん」「調査情報連絡せん」「贈与課税連絡せん」「印紙税不納付連絡せん」等が作成される。
 「各課部門事務連絡せん」は、課税上有効な情報又は更正決定等の課税処理が必要と認められる事実(表2参照)を把握した場合に作成するものだ(資料情報が重要資料であると認められる場合は、「重要資料せん」作成)。

【表2】滞納整理時に把握した事実等

1 申告所得税及び個人に係る消費税の申告漏れ
2 新設法人にたな卸資産の引継ぎがあるもの
3 法人税及び法人に係る消費税の申告漏れ
4 更正決定等の課税処理が必要と認められるもの
5 個人が他の個人に係る借地権の設定されている土地を転借又は取得した事実
6 間接諸税(印紙税を除く)の申告漏れ
7 印紙税の過怠税賦課決定
8 間接諸税について無許可又は営業開始申告書不提出の者及び不正な記帳を行っている者
9 その他課税に参考となる情報

同業者間の類型的な不正で調査情報連絡せん作成

 「国際取引連絡せん」は、国際取引、契約等に係るもので、租税回避を図っていると想定される取引等の情報を把握した場合に作成されるもの。
 「調査情報連絡せん」は、①同業者間等(所得税・法人税・消費税・間接諸税については同業者グループのほかの取引先を含むものとし、相続税・贈与税については特定の納税者グループをいう)で類型的に行われていると認められる不正取引(裏取引、偽装取引)、②同業者間で類型的に行われていると認められる不正経理(架空計上、過大計上等)、③同業者等における特異な取引又は慣習、④有効な資料の資料源(国際的租税回避スキームに係るものを含む)等を把握した場合に作成される。
 「贈与課税連絡せん」は、滞納整理の際、贈与の事実や贈与があると認められる事実を把握した場合に作成され、「印紙税不納付文書等連絡せん」は、印紙税が不納付となっている課税文書又は不納付と認められる課税文書を把握した場合に作成される。

収集先の秘匿に配意、記載内容を口頭伝達

財産調査の手段として、常に念頭に
 また、税務当局は、滞納整理で活用する各種資料情報について、①滞納整理事務の充実と効率化を図る上で重要、②滞納処分免脱罪や海外関連事案の端緒把握など高度な滞納整理事務の推進に必要不可欠なものと指摘。滞納整理における財産調査の手段の一つとして資料情報を常に念頭に置く必要があるとしている。
 なお、税務当局は重要資料の活用時における収集先の秘匿に特に配意する姿勢を示しており、場合によって統括官等から担当者に資料を交付せず、記載内容を口頭で伝達して滞納整理に当たらせるなどの措置を講じているようだ。

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