会社法ニュース2022年02月04日 業績連動報酬、ESG指標の普及状況(2022年2月7日号・№917) 評価ウェイトは10〜20%、CO2排出量、外部機関格付け利用するケースも
多くの企業がESG関連指標を業績連動報酬に組み込むことを検討しているが、損金損金算入できない問題や(本誌791号8頁参照)、定量化の難しさ、客観性の確保といったハードルが存在している。TOPIX100の2021年3月末決算企業でも、実行しているのは20社(77社中)にとどまる。
また、悩ましいのが、ESG指標をどの程度業績連動報酬に組み込むかという評価ウェイトの問題だが、例えばオリンパスでは、「営業利益」「相対TSR」の各40%に対し20%としている。
ESG指標は定量化が難しいとされているが、ENEOSホールディングスでは、「CO2排出量」を業績連動報酬に反映している。評価ウェイトは、「営業利益」「ROE」等の20%に対し、総還元性向と並び10%となっている。TCFDが開示を求めている「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」の4つの要素のうち「指標と目標」では、「気候変動関連リスクの重要性が高い場合は関連パフォーマンス指標が報酬規程に取り入れられているか、どのように取り入れられているか記載を検討すべき」とされている。特にコーポレートガバナンス・コード3-1③で「TCFDまたはそれと同等の枠組み」に基づく気候変動関連の開示が求められることとなるプライム市場選択企業にとっては参考になる事例と言えよう。
ただし、ESG指標には定量化できないものも多く含まれる。また、たとえ定量化しても客観性に乏しく、企業間比較も困難という問題がある。そこで、外部機関に基づく評価を利用することも考えられる。例えば第一三共では、世界で最も認知度が高いとされるダウジョーンズ・サステナビリティ・インデックスなど外部機関によるサステナビリティ格付けを利用している。また、東京エレクトロンでは、報酬委員会がESG指標を報酬に反映させることに関与している旨を開示し、客観性・透明性を高めている。
今後益々ESG投資が活発になることが予想される中、自社に投資を呼び込むためには、ESG指標を役員報酬に反映せざるを得なくなることは十分に考えられる。先行事例も参考にしながら制度設計を検討する時期に来ていると言えよう。
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