会計ニュース2022年07月22日 有償SOの費用計上問題が再び論点化も(2022年7月25日号・№940) 権利行使義務付きの有償SO、ベンチャー企業中心に増加傾向
一時、上場企業を含む多くの企業で採用された有償ストックオプションだが、会計基準の変更により、権利確定条件(ストックオプションの行使するために求められる一定期間の継続勤務や一定の業績の達成など)付きのものについては、無償のストックオプションと同様、報酬性があるものとして費用処理することとされたのは周知のとおり(本誌723号)。会計基準(実務対応報告第36号「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」)の公開草案がパブコメに付された際には、史上最多となる253件ものコメント(主に会計処理変更への反対意見)が寄せられ一大騒動となったが(本誌707号)、平成30年4月1日以後に上記会計基準が適用されて以降、“有償ストックオプション・ブーム”は去り、その受皿として時価発行新株予約権信託が広がりを見せてきた(本誌667号)。
しかし、ここ最近は再び有償ストックオプションが一部の上場ベンチャー企業を中心に採用されている。この有償ストックオプションは従来の有償ストックオプションと異なり、株価が行使価額の一定割合を下回った場合には権利行使義務が発生するという行使条件が付されている。すなわち、株価下落した場合には、有償ストックオプションの付与を受けた者が市場価格よりも高い権利行使価額で株式を買い取らなければならず、この場合、権利行使価額と株価の差額分(×付与数)の損失を被ることになる。この点、従来の有償ストックオプションに比べリスクが高く、より金融商品に近い性格を持っているとの見方もできよう。会計専門家からは、「この権利行使義務があれば金融商品として取扱うことが可能であり、費用計上も不要ではないか」との意見も聞かれる。
また、この権利行使義務は購入者にとってはリスクであるため、有償ストックオプションの発行価額を低下させ、購入しやすくするというメリットも生んでいる。もともと発行のフレキシブルさなど有償ストックオプションのメリットは大きいだけに、会計上の取扱いが明確になれば、採用する企業はより増加する可能性もあろう。
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