税務ニュース2022年12月09日 「優良な電子帳簿」から賃金台帳を除外(2022年12月12日号・№958) 源泉徴収票・給与支払明細書の電子交付の際の従業員の承諾手続も簡素化

  • 優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を受けるために整備すべき帳簿書類から「賃金台帳」を除外。
  • 従業員に源泉徴収票及び給与支払明細書を電子交付するために必要な「従業員の承諾手続」も簡素化。

 令和3年度税制改正で導入された優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置は、要件を満たすために整備すべき帳簿書類(対象帳簿)が網羅的であることから、同措置自体は企業に好評であるにもかかわらず、適用が難しいとの指摘がある(本誌957号6頁参照)。この問題に対応すべく、令和5年度税制改正では、対象帳簿の合理化・明確化を行う。具体的には、現行制度上、対象帳簿として「総勘定元帳、仕訳帳その他必要な帳簿」とあるところ、このうち「その他必要な帳簿」については、「損益計算書に記載する科目については、課税標準や税額の計算に直接影響を及ぼすことを踏まえ、その科目に関する補助帳簿の全て」「貸借対照表に記載する科目については、損益計算書に記載する科目との関連性が強く、その科目の変動について把握する必要性が高い科目に関する補助帳簿に限定」するとの基本的な制度設計方針に基づき、対象帳簿を例えば「売上帳」「仕入帳、経費帳(賃金台帳を除く)」「売掛帳」「買掛帳」「受取手形記入帳、支払手形記入帳」「貸付帳、借入帳、未決済項目に係る帳簿」「有価証券受払い帳(法人税のみ)」「固定資産台帳」「繰延税金資産台帳」のように“限定列挙”する方式に改める。ここで例示した帳簿の中で最も注目されるのは、「仕入帳、経費帳(賃金台帳を除く)」のカッコ書きの部分だ。賃金台帳のような人事データは経理部の統制の及ばないところであり、電子化はできていても「優良な電子帳簿の要件を満たして保存等」ができている可能性は著しく低い。賃金は「損益計算書に記載する科目」であり、本来であれば「その科目に関する補助帳簿の全て」の対象となるはずだが、これだけは例外とされることとなった。同措置の適用を受ける上での最大のボトルネックを解消する改正と言えよう。
 このほか、従業員に源泉徴収票及び給与支払明細書の電子交付に必要な「給与支払いを受ける者による承諾要件」が簡素化される。この改正により、源泉徴収票、給与支払明細書の電子交付が進まない原因となっていたこの承諾手続きの問題(本誌957号8頁参照)が解消することになる。人事部門にとっては見逃せない重要な改正と言える。本誌取材によると、令和5年度から即日施行される見込みだ。

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