会計ニュース2022年12月16日 内部統制、例示の機械的適用は不要(2022年12月19日号・№959) 内部統制評価基準の改訂案が了承、令和6年4月1日以後から適用へ
企業会計審議会の内部統制部会(部会長:橋本尚青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授)は12月8日、財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査の実施基準の改訂案を了承した。改訂基準及び改訂実施基準は、令和6年4月1日以後開始する事業年度から適用する。
今回の改訂は、米国のCOSO(トレッドウェイ委員会支援組織委員会)の内部統制の基本的枠組みに関する報告書の改訂のほか、経営者による内部統制の評価範囲の外で開示すべき重要な不備が明らかになるといった事例が見受けられるなど、内部統制報告制度の実効性に関する懸念が指摘されていることを踏まえたものである。
非財務情報に係る開示の進展やCOSO報告書の改訂を踏まえ、内部統制の目的の一つである「財務報告の信頼性」を「報告の信頼性」に変更。報告の信頼性は、組織内及び組織の外部への報告(非財務情報を含む)の信頼性を確保することと定義した。また、内部統制とガバナンス及び全組織的なリスク管理は一体的に整備及び運用されることの重要性を明らかにし、これらの体制整備の考え方として、3線モデル等を例示した。
経営者が内部統制の評価対象とする重要な事業拠点や業務プロセスを選定する指標については、例示されている「売上高等の概ね2/3」や「売上、売掛金及び棚卸資産の3勘定」を機械的に適用すべきでないことなどを記載。今後、段階的な削除を含め、内部統制部会で検討を行うとしている。
そのほか、開示すべき重要な不備が当初の内部統制報告書ではなく、後日、内部統制報告書の訂正によって報告される事例が多いことを踏まえ、事後的に内部統制の有効性の評価が訂正される際には、訂正内部統制報告書において、具体的な訂正の経緯や理由の開示を求めるとしている。この点は改訂基準及び改訂実施基準ではなく、今後、関係法令を改正するとしている。
なお、サステナビリティ等の非財務情報の内部統制報告制度における取扱いや、ダイレクト・レポーティングの採用などは、法改正を含む更なる検討が必要なことから、中長期的な課題となっている。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.