会社法ニュース2023年01月20日 DWG報告、企業の意見反映し案を変更(2023年1月23日号・№963) 有報の早期開示は四半期決算短信の任意化の前提とならず
金融庁・金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)は12月27日に「報告書」をとりまとめたが、その一部が同15日に公表された同報告書の「案」の段階から変更されていることが確認された。主な変更点は以下の通り。
1つは、将来的な四半期決算短信の任意化に関する部分だ。案の段階では、四半期決算短信の任意化を検討する前提として、「今後、適時開示の充実の達成状況や開示を巡る企業の意識の変化、有価証券報告書の開示タイミングの状況等を踏まえた上で」との一文が盛り込まれていたが、確定版ではこれが「今後、適時開示の充実の達成状況や企業の開示姿勢の変化のほか、適時開示と定期開示の性質上の相違に関する意見等を踏まえた上で」に変更されている。ポイントは、企業側の委員から異論が出ていた「有報の開示のタイミング」を四半期決算短信の任意化の条件とするかのような記述がカットされた点。案に盛り込まれていた「有価証券報告書の開示タイミングの状況」とは投資家がかねてから求めている有報の早期提出 (株主総会前)を意味しており、これがカットされたということは企業側の意向が通ったと考えてよい。
2つ目は、四半期決算短信におけるレビューの有無に関する部分だ。案の段階では四半期決算短信へのレビューについて「任意でレビューを受けることを妨げない」とされていた部分が、確定版では「レビューを受けるかどうかは任意とする」に変更されている。これは、企業側の委員から『「妨げない」という表現には、原則としてはレビューを受けるべきとの印象がある。レビューを受ける方向に誘導するような表現は望ましくない』旨の主張があり、これが受け入れられた。ただし、これに続く「投資家への情報提供の観点からレビューの有無を四半期決算短信において開示することが考えられる。」との一文は、企業側の委員が削除を求めていたものの、確定版にもそのまま盛り込まれた。「開示」が求められることで、企業にとってはレビュー実施へのプレッシャーは残る。果たしてどの程度の数の企業がレビューを実施するのか注目される。
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