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解説記事2020年01月13日 第2特集 既存の1部上場企業、基準を満たさなくても“当分の間”はプライム市場への上場が可能(2020年1月13日号・№818)

第2特集
早わかり! 東証の新市場Q&A
既存の1部上場企業、基準を満たさなくても“当分の間”はプライム市場への上場が可能


 金融審議会市場ワーキング・グループ「市場構造専門グループ」(座長:神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授)は12月27日、東京証券取引所の新たな市場構造の方向性を示す「市場構造専門グループ報告書~令和時代における企業と投資家のための新たな市場に向けて~」を公表した。
 報告書では、現在5区分となっている市場区分を「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つに再編。プライム市場については、単純な時価総額だけではなく、流通時価総額を基準とすることが適当であるとされており、100億円を目途とすることが提案されている。また、現在の東証1部上場企業については、新たな基準を満たさなくても基本的にプライム市場に移行できる経過措置が設けられる。ただし、改訂される予定のガバナンス・コードについてのコミットメントなどが求められる。
 本特集では、金融審議会市場ワーキング・グループ「市場構造専門グループ」が取りまとめた報告書の概要をQ&A形式でお伝えする。

東証の市場を5区分から3区分に
Q
 今回の市場区分の見直しが行われることになった経緯について教えてください。また、新たな市場区分はどのようになりますか。
A

 東京証券取引所と大阪証券取引所が2013年に統合されたが、統合後も5つの市場区分(1部、2部、マザーズ、JASDAQスタンダード及びJASDAQグロース)が並存したままとなっている。
 この点、各市場区分のコンセプトは曖昧であり、特に2部、マザーズ、JASDAQは位置付けが重複してわかりにくいとの指摘がある。また、1部へのステップアップ基準が低いことのほか、上場時の基準に比べて1部から2部への移行や上場廃止に係る基準が低いことなどから、上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けの点で期待される役割を十分に果たせていないとの指摘があった。これらの指摘を踏まえ、今回の市場構造の見直しでは、明確なコンセプトに基づき「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」(いずれも仮称)の3つの市場区分に再編することが提案されている(参照)。

流通時価総額は100億円以上
Q
 プライム市場の上場基準はどのようになりますか。
A

 プライム市場は、多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額・流動性を持ち、より高いガバナンス水準を備えた市場であり、現在の1部上場企業を想定している。今後、プライム市場に上場する企業の時価総額に関する基準については、単純な時価総額だけではなく、流通時価総額(流通株式の数×(1株当たりの)株価)を基準とすることが適当であるとされており、現在の1部に直接上場する際の時価総額である250億円を踏まえ、100億円を目途とすることが提案されている。

時価総額基準の存否は今後の検討次第
Q
 プライム市場では流通時価総額を基準とすることが適当とのことですが、現行の時価総額基準の位置付けはどのようなものになりますか。
A

 時価総額基準をどの程度上場基準に組み込むか、あるいは存否も含め、今後の東京証券取引所の検討次第ということになる。

上場維持のための流通株式の比率を35%程度に引上げ
Q
 上場時の流通株式比率基準は35%となっていますが、何か変更はありますか。
A

 現在、市場第1部へ上場する際には、流通株式の比率が上場株式等の35%以上であることが必要となっているが、この点は変わらない方向だ。
 ただし、この35%という基準は上場維持基準となってはいない。現行制度では、上場株式数が5%未満になると上場廃止とされているため、流通株式の比率が上場時より大きく低下したまま上場を維持している企業が存在することが指摘されている。このため、上場維持基準を35%程度の水準に引き上げる方向となっている。

赤字企業でもプライム市場への上場が可能に
Q
 直近の決算が赤字の場合でもプライム市場への上場が可能となりますか。
A

 可能となる。ただし、無条件に認めるわけではなく、上場基準に時価総額、売上や開示などの条件を加重することが検討される。

マザーズから市場第1部に上場する場合の上場基準は引上げ
Q
 現在、マザーズから市場第1部に上場する場合には時価総額が40億円とされていますが、この基準も変わることになりますか。
A

 プライム市場への上場基準と同様、マザーズ等を経由し1部へ上場する際の基準も、プライム市場への新たな上場基準と同様(流通時価総額100億円等)になる。ただし、マザーズに現在上場する企業の中には、緩和された基準を念頭に置いて市場第1部への上場に取り組んでいる企業も存在する。このため、上場規則等の改正までに申請を行った企業に限り、緩和された時価総額基準に基づき所要の審査を経て市場第1部への上場を認めることとしている。

市場第1部から第2部への降格、プライム市場への上場基準と同等に
Q
 市場第1部から第2部への移行基準も引き上げられますか。
A

 市場第1部から2部への移行基準は、時価総額20億円未満となっているが、プライム市場から他の市場への移行については所要の経過期間を設けたうえで、プライム市場への上場時と同水準(流通時価総額100億円等)とすることが考えられるとしている。

上場廃止基準、画一的な取扱いを見直しへ
Q
 上場廃止基準については変更がありますか。
A

 市場第1部上場企業については、決算期末時点で債務超過となった場合には、市場第2部へ移行し、2期連続で債務超過となった場合には上場廃止となる。詳細は今後、東京証券取引所で検討されることになるが、早期に資産超過へ回復する見込みがある場合などのケースについては、機械的・画一的な運用とならないよう基準の見直しを行う予定だ。受け皿市場の整備とセットで検討されることになる。

市場第1部上場企業は全企業がプライム市場への上場が可能も条件あり
Q
 現在、市場第1部上場企業であれば、そのままプライム市場に移行することは可能ですか。流通時価総額基準等を満たさなければ他の市場に移行することになりますか。
A

 ご質問のように、気になるのはすべての1部上場企業がプライム市場に移行できるかどうかという点だろう。降格するということになれば、雇用や取引、ブランドイメージに傷がつきかねないからだ。
 この点、既存の市場第1部に上場している企業については、経過措置を設ける予定であり、企業が希望すれば、仮に上場・退出基準に関する新たな流通時価総額基準を満たしていなくても「当分の間」はプライム市場への上場が認められることになる。ただし、無条件に認めるわけではなく、条件としては今年(2020年)から改訂の検討が開始されるコーポレートガバナンス・コードについてのコミットメントが求められる。
 また、流通時価総額を引き上げることは一朝一夕にはできないが、流通株式の比率については、持合株式の解消や新規発行などの企業努力により達成できる可能性があるため、流通株式比率に関する基準を満たしていない場合には、流通株式向上に向けた取組等を策定・開示することにより「当分の間」はプライム市場への上場を認めるとしている。

「当分の間」とはいつまで?
Q
 流通時価総額基準等を満たさなくても「当分の間」はプライム市場の上場が認められるとのことですが、「当分の間」とはいつまでとなりますか。一定期間後に基準を満たさなければ、やはり他の市場に移行することになるのですか。
A

 この「当分の間」とは1年後、5年後、10年度といった期間が区切られているものではない。更なる次の制度改革までは有効ということになりそうだ。したがって、前述した改訂後のコーポレートガバナンス・コードへのコミットメントなどの条件を満たせば、新しい市場区分においては基本的にプライム市場で上場を維持することができる。

スタンダード市場、CGコードの全原則を適用
Q
 スタンダード市場の上場基準はどのようになりますか。特に市場第2部及びJASDAQスタンダードではコーポレートガバナンス・コードの適用について違いがあると思いますが、この点はどうなりますか。
A

 スタンダード市場は現在の市場第2部及びJASDAQスタンダードに上場している企業で構成されることが想定されている。
 スタンダード市場への上場基準はプライム市場と同様に流通時価総額を基準とすることが考えられるとし、現在の市場第2部への上場基準(時価総額20億円)を目途に検討するとされた。詳細はこれから検討されることになるが、時価総額が20億円であるため、流通時価総額基準はさらに低いことが想定される。例えば、流通株式比率を35%と仮定した場合には7億円となる。
 また、ガバナンス基準については、現在、市場第2部上場企業にはコーポレートガバナンス・コードの全原則が適用され、JASDAQスタンダードの上場企業は同コードの基本原則のみの適用となっている。この点、今回のスタンダード市場への見直しを契機に同市場に上場する企業にはコーポレートガバナンス・コードの全原則を適用する方針となっている。

グロース市場、マザーズ上場と同じく時価総額10億円以上に
Q
 グロース市場の上場基準はどのようになりますか。
A

 グロース市場については、現在のマザーズ及びJASDAQグロースの上場企業が移行することが想定される。
 上場基準等は、現在のマザーズ市場は時価総額10億円で上場することが可能となっているが、これを原則として維持するとしている。流通時価総額基準を採用するプライム市場及びスタンダード市場とは異なることになる。
 なお、ガバナンス基準については、コーポレートガバナンス・コードの改訂後も基本原則のみの適用となる見込みだ。

TOPIX、スタンダード市場からも
Q
 今回の市場区分の変更でTOPIXに関してはどのような変更がありますか。
A

 今後はTOPIXの算出に用いられている浮動株の定義(現在は浮動株から除かれる株式は上位10先の大口保有者分などとされている)を見直した上で、「流通時価総額(浮動株時価総額)」を基準として検討されることになる。現行、TOPIXは市場第1部の全ての銘柄で構成されているため、投資対象の機能性に欠けているほか、TOPIXに連動したインデックス投資の隆盛により、時価総額や流動性の低い銘柄の価格形成に歪みが生じているとの指摘があるからだ。
 このため、TOPIXの変更に当たっては、対象企業は主にプライム市場から選定されることが想定されるが、スタンダード市場等からも選定できるようにする方向だ。なお、仮にグロース市場からTOPIXの対象とする場合には、ガバナンス等の要件を加重することなどの対応が考えられている。
 なお、選定銘柄については、一定の時期に機械的に対象から外すのではなく、数年程度かけて移行していくとしている。

プライム市場の経過措置企業はTOPIXから除外
Q
 経過措置によりプライム市場に上場している企業は、TOPIXの選定銘柄になりますか。
A

 市場第1部上場企業約2,100社のうち、流通時価総額基準等を満たしていない企業は数百社とされているが、当分の間は経過措置として、これらの企業であってもプライム市場に上場することができる。
 ただし、TOPIXに関しては新たな浮動株の定義を用いて計算される「流通時価総額(浮動株時価総額)」を基準とすることが検討されるため、経過措置によりプライム市場に上場している企業はその選定銘柄から除外されることになる。

2022年上半期から実施予定
Q
 今後のスケジュールを教えてください。
A

 今後、具体的な制度設計は東京証券取引所で行われることになる。東京証券取引所では、今年2月にも制度骨子を公表し、夏頃から段階的に制度設計を明らかにし、2022年上半期を目途に市場区分やTOPIXの変更を開始する予定だ。
 なお、コーポレートガバナンス・コードについては今年中に改訂に向けた検討が開始される。2021年前半にも改訂作業を終え、1年程度の周知期間を経た後に適用する予定となっている。

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