解説記事2023年12月25日 SCOPE 扶養控除は引き下げ方向も最終結論は令和7年度税制改正(2023年12月25日号・№1008)
子育て支援に関する政策税制を措置
扶養控除は引き下げ方向も最終結論は令和7年度税制改正
自由民主党及び公明党の税制調査会は12月14日、令和6年度税制改正大綱を取りまとめた。最後まで調整が続いた定額減税の所得制限については、合計所得金額が1,805万円超(給与収入2,000万円超に相当)の者について、定額減税の対象外とすることになった。また、扶養控除の見直しについては、現行の国税38万円を25万円(令和8年分以降)に、地方税33万円を12万円(令和9年度分以降)に引き下げる旨の方向性が示された。各府省庁において、扶養控除の見直しにより影響を受ける所管制度等を確認することを前提として、令和7年度税制改正で最終的な結論を得ることとされた。
令和8年分から引き下げの扶養控除は見直しによる影響等の確認が前提
最後まで自公の税制調査会で調整が続いたのは定額減税の所得制限と扶養控除の見直しだ。令和6年度税制改正では、納税者及び配偶者を含めた扶養家族1人につき、所得税及び住民税を合わせ4万円の定額減税が実施されるが、合計所得金額が1,805万円超(給与収入2,000万円超に相当)の者については、定額減税の対象外とすることになった。
なお、定額減税については、給与所得者や公的年金受給者に対しては6月以降の源泉徴収税額から減額(6月に減税しきれなかった場合には翌月(公的年金受給者の場合は翌々月)以降の税額から順次減税)、不動産所得・事業所得者等に対しては、原則として確定申告で減税し、予定納税対象者は6月の第1回予定納税の通知の機会に減税する。
16歳から18歳までの扶養控除の見直しについては、公明党側が児童手当の高校卒業までの延長など、異次元の少子化対策を実施しようとする中で「政治のメッセージとしてふさわしくない」と反対したものの、最終的には現行の国税38万円を25万円に、地方税33万円を12万円に引き下げることで決着した。ただし、これらの数字等はあくまでも方向性との位置づけだ。税制改正大綱には、各府省庁において、今回の扶養控除の見直しにより影響を受ける所管制度等を網羅的に把握し、課税総所得金額や税額等が変化することによる各制度上の不利益が生じないよう適切な対応を行うなど、これらの状況等を確認することを前提として、令和7年度税制改正で児童手当の支給期間の延長が満年度化した後の令和8年分以降の所得税と令和9年度分以降の個人住民税の適用について結論を得ることとされた。
ひとり親控除の所得要件を1,000万円に
その一方で、ひとり親の自立支援を進める観点から、ひとり親控除の対象となるひとり親の所得要件について、現行の合計所得金額500万円以下を1,000万円に引き上げるとともに、ひとり親控除の所得税の控除額について、現行の35万円を38万円に、個人住民税の控除額を現行の30万円を33万円に引き上げることとされた。
住宅ローン拡充は令和6年入居に限り借入限度額を上乗せ
また、子育て世帯等に特化した政策税制を実施する。なお、子育て世帯等とは、18歳以下の扶養親族を有する者又は自身もしくは配偶者のいずれかが39歳以下の者とされている。
まず、住宅ローン控除については、令和6年の入居分に限り、新築等の認定住宅については500万円、新築などのZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅については1,000万円の借入れ限度額を上乗せする。例えば、認定住宅の借入限度額は総額で5,000万円となる(図表参照)。また、床面積要件について、合計所得金額1,000万円以下の者に限り40㎡に緩和する。
リフォーム税制は最大控除額が25万円
加えて、既存住宅のリフォーム税制(工事費用の相当額の10%を税額控除)について、令和6年に限り、子育て世帯等が行う一定の子育て対応改修工事を対象に加える。対象は、①住宅内における子どもの事故を防止するための工事、②対面式キッチンへの交換工事、③開口部の防犯性を高める工事、④収納設備を増設する工事、⑤開口部・界壁・床の防音性を高める工事、⑥間取り変更工事(一定のものに限る)であって、その工事に係る標準的な工事費用相当額(補助金等の交付がある場合には、補助金等を控除した後の金額)が50万円を超える等の一定の要件を満たすものとされている。また、対象工事限度額は250万円となっており、最大控除額は25万円となる。
ただし、その年分の合計所得金額2,000万円を超える場合には対象外とされている。
生命保険料控除は2万円を上乗せ
そのほか、生命保険料控除における新生命保険料に係る一般枠(遺族保障)について、23歳未満の扶養親族を有する場合には、現行の4万円の適用限度額に対して2万円の上乗せ措置を講ずることとしている。
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