カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

税務ニュース2024年06月21日 相続開始後の取得時効援用への救済策は(2024年6月24日号・№1032) 相続開始時点で土地の所有権の取得時効完成なら更正請求可

  • 相続した土地について相続開始後に取得時効が援用された場合、当該土地は相続財産に。ただし、相続開始時点で土地の所有権の取得時効が完成していれば、当該土地の価額は零円となり、更正請求が可能。

 相続した土地について相続開始後に取得時効が援用された場合、当該土地は相続税の課税対象財産に含まれるのかという問題がある。この点、最高裁昭和61年3月17日判決は、時効による所有権取得の効力について「時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、時効により利益を受ける者が、時効を援用することによりはじめて確定的に生ずる」と判示している。課税実務上も、個人が時効により時効の起算日に遡って所有権を取得した場合には、時効の援用時に一時所得が課され、また、法人が時効により所有権を喪失した場合には、時効の遡及効にかかわらず、時効の援用時に同時点における簿価相当額の損失が発生する、と取り扱われている。
 ただし、過去の裁決を辿ると、相続開始時点で既に土地の所有権の取得時効が完成する期限(10年又は20年)が到来していた事例について平成19年11月1日裁決は、「本件土地については、相続開始時において既に時効期間が経過しており、相続人にとっては、所有権を確保すべき攻撃防御方法がないために、相手方に時効を援用されれば所有権の喪失を甘受せざるを得ない状態の土地であることが本件判決の確定によって明らかとなったところ、このような状態の土地は、相続人が所有権を確保しようとすれば、時効を援用する相手方に対し、課税時期現在における当該土地の客観的交換価値に相当する金員の提供を要するのが一般的である土地ということができるから、そのことを価額に影響を与える要因として考慮すると、土地の価額と提供を要する金額が同額であるから、結局のところ、その財産の価額は零円になると理解するのが相当と認められる。」旨の判断を示している(平成14年10月2日裁決も同旨)。すなわち、例えば相続税の申告後に相続した土地について時効が援用された場合には、その時効援用の判決が確定したことにより当該土地の価額は零円になるため、国税通則法23条2項1号の規定に基づき更正の請求ができる。
 ただし、相続開始時点で時効期間が経過していなかった場合には、相続人等は相続開始時点で相続した土地について完全なる所有権を有していたことになるため、上記のような救済策はない(大阪高裁平成14年7月25日判決)。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索