会社法ニュース2024年11月08日 温対法の温室効果ガス排出量報告を変更(2024年11月11日号・№1050) SSBJ、範囲を限定して年内にも公開草案を公表へ
サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が公表した「気候関連開示基準(案)」では、追加コストを減らす観点から、すでに当局に提出した温対法に基づく温室効果ガス排出量のデータのうち、直近のデータを用いることを提案(気候基準案第53項)した上で、データの算定期間と報告期間の差異が1年を超える場合には追加の開示を求めることとしている(同第54項)。
この公開草案の提案に対しては、賛成意見はあるものの、当局に提出した温対法に基づく排出量を用いることで得られるコスト低減よりも、サステナビリティ関連財務開示の報告期間と温室効果ガス排出量の算定期間に差異が生じることにより、関連情報のつながりが希薄となり、情報の有用性が低下する可能性に対する強い懸念が寄せられている。また、温対法で報告が求められる温室効果ガス排出量は、スコープ1及びスコープ2相当であり、スコープ3についてはGHGプロトコル(2004年)を用いることになるため、メリットは限定的であり、むしろ同じ報告企業であってもスコープ1及びスコープ2と、スコープ3との間で算定期間が異なることに対する懸念も寄せられている。
このため、SSBJでは、公開草案を変更し、気候基準案第53項及び第54項の温対法に関する定めを削除し、用いる測定方法(GHGプロトコル及び温対法)に関係なく、報告期間に係る排出量を算定することに変更するとしている。なお、温室効果ガス排出量の算定期間が報告期間に一致していない場合には期間調整が必要になるが、調整方法はさまざまな方法が考えられるため、SSBJ基準において限定的に定めることはせず、企業の活動を忠実に表現できるよう、「合理的な方法により調整しなければならない」と定めるにとどめるとしている。この点、「合理的な方法による調整」について、具体的にどのように行えばよいかわからないとの作成者の懸念に対処するため、解説記事において、調整計算の事例を提供することとしている。
今回の見直しは、公開草案の内容を大きく変更するものであるため、再度、早急に範囲を限定し公開草案により意見を募る。2025年3月末に最終基準化する方針に変更はないため、公開草案は年内にも公表される予定だ。
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