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税務ニュース2024年11月15日 ボランタリークレジット巡り当局と紛争(2024年11月18日号・№1051) 経済的価値ありとして取引対象なら、資産性前提に課税関係の検討を

  • いわゆるボランタリークレジットの課税上の取扱いを巡り、課税当局と納税者の間で紛争も。
  • 「経済的価値」ありとして取引対象なら、「資産性」を有することを前提に課税上の取扱いを検討すべき。

 政府主導で発行されるカーボン・クレジットの課税上の取扱いは、既に国税庁が複数の文書回答事例で示しているが、国内外の民間企業やNGO団体等、民間主導で発行されるカーボン・クレジット(ボランタリークレジット)の課税上の取扱いは今のところ明らかにされていない。
 政府主導のカーボン・クレジットは登録簿や移転の手続等が整備されているため取引の安全性が担保されている上、事業者間での流通が想定されていることなどから、文書回答事例では、法人税法及び消費税法上の資産性があることを前提に課税上の取扱いが示されている。具体的には、法人税法上は、政府に対する無償移転(無効化)を行った時点で「国等に対する寄附金」(法法37③一)として損金算入できる。また、消費税法上は、事業者間で有償により譲渡された場合、譲渡を行った事業者においては「課税資産の譲渡等」に該当し、消費税の課税対象となり、取得をした事業者においては「課税仕入れ」に該当し、仕入税額控除の対象となる。
 一方、ボランタリークレジットの中には、国の制度ではないことに加え、必ずしも事業者間での流通が想定されていないなど、資産性の根拠として挙げられている上記のいずれかの要素を欠くものもある。しかし、法人税法上の資産は、財産権のほか会計上の繰延資産なども含む幅広い概念である。また、消費税法上の資産とは取引の対象となる一切の資産をいい、権利等も含まれると解されており(消費税法基本通達5−1−3)、例えば特定の関係者の間で取引の対象とされていた契約上の権利であっても資産に当たるとした裁判例(福岡高判平成24年3月22日)もある。
 ボランタリークレジットは、少なくともクレジットの発行者から一定の役務提供等を受ける権利と見ることができ、また、CO2吸収量等について一定の検証が行われ、登録簿によりカーボン・クレジットの帰属先が管理され、帰属の明確性がある場合には、「経済的価値」があるものとして取引の対象とされているという実態がある。このようなものである限り、法人税法上及び消費税法上の資産該当性を否定する理由はないと考えられる。具体的な課税関係は各クレジットの仕組み次第となるが、少なくとも資産性を有することを前提に課税上の取扱いを検討するべきと言えよう。

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