税務ニュース2024年11月22日 国税庁、資料提出拒否事案を問題視(2024年11月25日号・№1052) 政府税調、資料提出なければ損金算入を認めない措置の導入を
政府税制調査会に設置された「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」(座長:岡村忠生京都大学名誉教授)の第1回目の会合が11月13日に開催されたが、議題の1つとなったのが「税に対する公平感を大きく損なうような行為への対応」だ。
政府税調が令和5年6月30日に取りまとめた「わが国税制の現状と課題 −令和時代の構造変化と税制のあり方−」では、質問検査権に基づく資料の提示・提出の求めを正当な理由なく長期間にわたって拒否する行為などの税務調査への非協力的な行為については、現行の加算税による対応の限界を考慮し、新たな行政上の措置等を講ずることも視野に入れた検討を行う必要があるとされている。また、国際的な経済取引への対応については、租税条約に基づく情報交換や、国外財産調書制度等の拡充のほか、共通報告基準(CSR)に基づく非居住者の金融口座情報の自動的情報交換により、税務調査が行われているが、執行管轄権の制約上、日本の税務当局が相手国に赴いて質問検査権に基づく情報提供を求めることに限界があると指摘されている。
これらの状況を踏まえ、専門家会合では、国税庁が調査時における各種資料の提示や提出を正当な理由なく長期間にわたって拒否した事例を紹介。最終的には反面調査により架空経費の計上等が認められ更正処分を行うことになったものの、調査日数は600日以上を要し、終結まで2年程度かかったという。また、国外取引に関する事例では、国税庁は、外国当局との情報交換により、調査対象法人の社長が外国法人を介して資金還流を行っているのではと疑ったものの、外国法人は調査対象法人と取引関係のない別法人であることを理由に関連資料の提出が得られず、事実解明に至らなかったとしている。
現行制度においても、質問検査権を拒否した場合には罰則が設けられており、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられるとしているが、実際の適用のハードルは高いとされている。このため、委員からは、調査対象法人が資料提供の求めに応じない場合には、損金算入を否定する仕組みを導入すべきとの意見が寄せられている。今後、納税環境整備として法改正が行われる可能性が高そうだ。
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