税務ニュース2026年07月31日 不動産小口化商品の駆込贈与を当局注視(2026年8月3日号・№1133) 当局は親族間の贈与等の発生を懸念、課税処分を念頭に資料情報収集
令和8年5月28日から29日にかけて国税庁の会議室で開催された全国国税局課税(第一・第二)部長会議では、租税回避スキームヘの対応が議題となった(本誌1127号39頁参照)。国税庁は、租税回避スキームを提案・販売するプロモーターの存在を把握しており、そのプロモーターが商品化して販売するスキームの利用が急速に拡大しているとみている。このような状況を踏まえ国税庁は、より一層的確に対応していく必要があることから、外部からの情報提供や税務調査などを通じて「スキームの早期探知」や「税制改正意見の提出」などのこれまでの取り組みをさらに強化する方針だ。令和8年度税制改正で実現した「総合課税の対象となる社債利子の範囲の整備(利子所得の分離課税等の改正)」は、「税制改正意見の提出」により租税回避スキームに対応することができた成果といえるものである(本誌1113号26頁参照)。
その令和8年度税制改正では、貸付用不動産の評価方法の見直しが令和9年1月1日以後の相続・贈与等から適用される旨が大綱に盛り込まれていたところ、貸付用不動産の評価方法の見直しの対象のうち、特に「不動産小口化商品」について国税当局が重大な関心を寄せていることが判明した。
国税庁は、(令和9年1月1日予定の)通達を施行するまでの間に、親族間における駆け込み贈与等の発生が懸念されることから、不動産小口化商品に係る取引の動向等に重大な関心をもって注視しているとしている。今回の課税部長会議のなかで国税庁は、今後、悪質な事例等を把握した場合には、課税処分を念頭に資料・情報収集を積極的に行うとともに、必要に応じて国税庁への情報提供を求めている。
不動産小口化商品の取得や贈与は、賃貸用マンション(1棟)の取得や贈与と比べると金銭面や手続き面のハードルが相当低いことから、令和8年中における駆け込み贈与をクライアントに提案する又は既に提案して実行している実務家は少なくないとみられる。不動産小口化商品の年内における贈与の提案や実行に当たっては、国税当局による否認リスクを念頭に十分な検討をする必要が求められるといえそうだ。
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