税務ニュース2026年09月04日 評価通達6項適用事案で棄却裁決が続く(2026年9月7日号・№1137) 請求人は訴訟を提起、6項適用事案は現時点で3件が東京地裁で係属中
不動産や非上場株式に対して評価通達6項を適用した課税処分を適法と判断する裁決が相次いでいるなか(本誌1106号16頁・1111号4頁参照)、今回新たに紹介する裁決事例は、2棟の貸付用不動産をめぐり評価通達6項が適用された事案である。
事実関係をみると、被相続人は、令和元年6月に甲不動産を2億8,500万円で買い受ける旨の売買契約を締結する一方で、同年7月に同額を金融機関から借入れた。また、令和元年9月に乙不動産を7億1,800万円で買い受ける旨の売買契約を締結する一方で、7億5,300万円を金融機関から借り入れた。令和3年の相続開始後に相続人は、評価通達に基づき甲不動産を1億5,611万円、乙不動産を2億6,142万円と評価したうえで、不動産購入資金の借入債務の残額合計9億9,291万円を債務控除した。これに対し税務署は、評価通達6項に基づき不動産鑑定評価額により甲不動産を1億9,700万円、乙不動産を6億2,800万円と評価して課税処分を行った。
国税不服審判所は、他の裁決事例と同様に、最高裁令和4年4月19日第三小法廷判決の法令解釈に沿った解釈を示したうえで、評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情があるか否か(相続税の負担の軽減の程度及び負担を軽減する意図)について検討をしている。本件については、貸付用不動産の購入及び借入れにより相続税の負担が著しく軽減することに加えて、被相続人及び相続人は顧問税理士から相続税対策として説明や提案を受けて購入及び借入れを行うなど将来の相続税の負担を軽減させる意図があったことが認められるとした。そのうえで、評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情があるから、評価通達6項を適用した課税処分を適法と結論付けている。
なお、審査請求の棄却を不服とした請求人は、東京地裁に訴訟を提起していることが確認されている。また、本誌1111号7頁で紹介した裁決事例(関裁(諸)令6第72号)も東京地裁に取消訴訟が提起されていることがわかっている。本誌取材によると、裁判所で現在係争中の6項事案は、地裁レベルでの3件(東京)のみとみられる。
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