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家族2025年07月07日 利用終了後のサポート必要 成年後見見直し案に識者 提供:共同通信社

 認知症の人らを支援する成年後見制度の見直しに向けた議論が、法制審議会(法相の諮問機関)で進んでいる。本人が亡くなるまで利用が続く「終身制」の廃止を盛り込んだ中間試案への意見公募が、6月25日に開始。識者は、潜在需要に応えるため利用期間や場面を限定するという試案の方向性に賛同する一方、終了後も本人をサポートできる仕組みを構築する必要があると指摘する。
 試案では、本人の判断能力に応じて分けている「後見」「保佐」「補助」の3種類の柔軟利用や、特定の行為に絞った代理権の付与などが示された。いずれの案でも「終身制」は撤廃の方向だ。
 政府推計で認知症の高齢者は2025年に471万人に上るが、最高裁によると24年末時点の成年後見利用者は約25万人に過ぎない。
 社会福祉士として成年後見活動に取り組んできた同志社大の永田祐(ながた・ゆう)教授(社会福祉学)は、終身制廃止や、場面に応じたスポット的な利用が実現すれば、潜在的なニーズを引き出す可能性があるとみる。自身の経験を踏まえても、原則として最後まで利用を続けなければならず、あらゆる法律行為が対象となってしまう現行制度は柔軟性を欠くと感じてきたからだ。
 一方で「利用者の中には家族などに頼れない人もいる」とし、制度を使わない期間も日常生活をサポートしたり、本人の変化を察知したりする仕組みが不可欠だと指摘。利用停止を裁判所が判断する際も、支援態勢に関する情報が考慮される必要があるとした。
 厚生労働省が設けた「地域共生社会の在り方検討会議」は、後見制度見直しを見据えて議論を続けている。5月の中間取りまとめは、利用者を支えるため地域の福祉関係者らでつくる「中核機関」を法的に位置づけることを提案した。永田教授は「関係省庁が密に連携し、具体化に向けた議論が進むと良い」と話している。

成年後見制度

 認知症や知的障害などで判断能力が十分ではない人を、弁護士や司法書士、福祉関係者らが後見人となって支援する制度。民法などが規定する。本人に代わり預貯金管理や福祉サービスの手続きをしたり、契約を取り消したりできる包括的な代理権が与えられる。本人や家族らが利用を申し立て、家裁が選任する。途中で利用を止められない「終身制」を敬遠する声などもあり、法制審議会で見直しを検討中。政府は早ければ来年通常国会での改正法案提出を目指している。

(2025/07/07)

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