企業法務2025年07月23日 手仕事の魅力深掘り発信 中小企業、採用難を克服 長期インターンで相性確認 執筆者:共同通信社

東京商工リサーチが7月発表した2025年1~6月の倒産調査(負債額1千万円以上)で、人手不足が原因の倒産は上半期として過去最多になった。特に中小企業の採用は厳しい傾向にあるが、欲しい人材を獲得できている会社も少数ながら存在する。手仕事の魅力を深掘りして発信したり、長期インターンでミスマッチを防いだりと工夫を凝らす。
▽更衣室
「感覚的には採用から1年以内に7~8割が辞めていた」。原田左官工業所(東京)の3代目、原田宗亮(はらだ・むねあき)社長(50)は、父親が経営していた2000年ごろを振り返る。工業高校の卒業生が「何となく流れで」入社する時代だった。
03年にホームページを立ち上げると、左官の仕事に興味を持つ女性が入り始めた。男社会だった職人の世界に変化が生まれ、更衣室を設置するなど働く環境を改善した。
▽実感
職人教育を手厚くした結果、離職率が大幅に低下。一人前になるまでの過程をホームページで詳しく紹介し、イメージを得やすくした。社員数は過去25年で52人に倍増し平均年齢は約35歳。そのうち15人は女性職人だ。
原田さんは「左官は自分の手で塗る超アナログな仕事。だからこそ仕上げた実感を得やすい」と話す。仕事の魅力を掘り下げ、丁寧に伝えることで訴求力が高まった。
▽全部見てもらう
「うちの会社を全部見てもらい成長できる環境だとアピールしています」。千葉県内を中心に街づくりを手がける不動産デベロッパー、拓匠(たくしょう)開発(千葉市)の工藤英之(くどう・ひでゆき)社長(51)が言う。1年に及ぶ断続的なインターンを受け入れ、ミスマッチが減った。
09年に創業者の父の後を継いだ。平屋建て住宅に注力して急成長。小さな森におしゃれなカフェを併設したコミュニティースペースや千葉公園で開催する夜祭り「YohaS(ヨハス)」を運営し知名度が上がり、地域とのつながりも強まった。正社員はグループ全体で約160人。社長就任後、約10倍に増えた。
今春の新卒入社は7人。立命館アジア太平洋大(大分県別府市)に在学中、オンライン作業を含む1年のインターンを経験した鹿嶋奏沙(かしま・かなさ)さん(22)は千葉市出身。「任される仕事の範囲は広く、やりがいがある。地域活性化にも貢献したい」と入社を決めた。
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中小企業の人手不足 大企業との賃金格差が広がり深刻な状況が続く。
(2025/7/23)
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