一般2026年08月19日 AI学習データの開示要請 知財侵害抑止、拘束力なし 事業者向け基本原則案 提供:共同通信社

政府は18日、生成人工知能(AI)の事業者が守るべき知的財産権保護のルールを定めた基本原則案を示した。AIによる権利侵害を抑えるため、事業者に学習データの収集方法の公表を要請するほか、権利者や利用者の開示要求に一定の条件下で応じるよう求めるのが柱だ。透明性を確保し、技術革新と知財保護の両立を図る狙いがある。法的拘束力はない。
昨年成立したAI法に基づく取り組みで、18日に開いた有識者会議でおおむね了承された。近く正式決定する。日本向けにサービスを展開する米グーグルなどの海外事業者も対象とする。
基本原則は学習データの概要開示、権利者への開示、AI利用者への開示の三つで構成される。
学習データの概要開示では、事業者がインターネット上で自動収集するプログラムの概要などをホームページで公開するほか、違法な海賊版サイトからのデータ収集を避けるよう要請する。
漫画や音楽、映画、新聞記事などの権利者や、AIを使って作品を生成した利用者への対応では、要求があれば、一定の条件下で著作物が学習データに含まれるかどうかなどを答えるよう促す。
例えば、作品を自身のウェブサイトに掲載している権利者が類似する生成物を発見し、訴訟準備に入った場合は、学習データに権利者の作品が含まれるかどうかを開示する。AIでつくった生成物が他者の権利を侵害していないかどうか心配する利用者には、生成物に似た作品が学習データに含まれていないか答えられるよう、体制整備を求める。
一方、基本原則では、企業が過度に萎縮しないよう、営業秘密やセキュリティーに関わる情報は「強制的な開示を求めるものではない」と明記し、罰則も見送った。原則を履行できない企業に対しては、理由を説明するよう促す。
技術と権利保護両にらみ ルールの実効性課題
政府は生成人工知能(AI)事業者が守るべき知的財産権保護のルール案を示した。著作物がAIに無断で学習されてきた権利者は厳しい規制を求めてきたが、最後は事業者の自主性に任せる形となった。米中を軸に技術開発競争が激化する中、日本が取り残されることを懸念した事業者にも配慮した両にらみの結論で、実効性が課題だ。
政府は昨年12月に基本原則の原案のパブリックコメント(意見公募)を実施した。2161件の意見のうち、議論が集中したのは強制力がない点で、権利者と事業者で意見が大きく分かれた。
許可や対価の支払いがない中、音楽データをAIに読み込ませるなどの権利侵害が懸念される日本レコード協会は「制度的な義務づけという選択肢も検討すべきだ」と注文。記事の無断利用やただ乗りに悩む日本新聞協会は「改善が見られない場合は法制化を迅速に検討するよう求める」と意見した。
一方、AI事業者側は学習データの開示要請に反発。営業秘密やノウハウが流出することへの懸念の声が上がり、新経済連盟は「詳細なプロセスの公表は、迅速な技術革新を阻害する要因となる」と主張していた。政府は意見を踏まえ、18日に示した案で、開示に強制性がないことをより詳しく説明した。
AIは企業活動や国民生活に恩恵が大きく、今後の日本経済発展の鍵を握る一方、プライバシーの侵害や著作権侵害などの負の側面もある。
政府は権利保護と技術革新の両立を図るため、今回は法的拘束力を伴わない形での開示とした。ただ実効性の確保につながるかどうかは不透明で、18日の有識者会議では「不断の見直しが非常に重要だ」との声が上がった。
(2026/08/19)
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