会社法ニュース2004年07月12日 最高裁・ポーラ元会長夫人に勝訴判決!(2004年7月12日号・№074) 会計帳簿閲覧請求には理由あり、原審にて閲覧範囲を審理すべし
最高裁・ポーラ元会長夫人に勝訴判決!
会計帳簿閲覧請求には理由あり、原審にて閲覧範囲を審理すべし
最高裁第一小法廷(泉 徳治裁判長)は7月1日、ポーラグループ各社の株式の4分の3を相続により取得したポーラ化粧品本舗元会長の妻が、①商法293条ノ6の規定に基づいて会計帳簿の閲覧を請求する際、請求の理由だけでなく理由を基礎付ける事実を立証する必要があるか、②株式の適正な時価を算定するためにした会計帳簿の閲覧請求は、商法293条ノ7第1号所定の拒絶事由に該当するか、が争われた事件について、「請求の理由を基礎付ける客観的事実まで立証しなければならない法的根拠はない」として原審判決を破棄。閲覧を認める会計帳簿の範囲を判断させるため、審理を東京高裁に差し戻す判決を下した(平成15年(受)第1104号)。
一審、二審はいずれも請求棄却
この事件は、平成12年11月に死亡したポーラ化粧品本舗元会長(故・鈴木常司氏)が有していた株式等の4分の3を準共有持分とする元会長の妻が、グループ会社から他の親族に対して不当な安値で行なわれた株式譲渡等に関する会計処理などの調査のために、会計帳簿の閲覧謄写を求めていたもの。原審では、「閲覧請求には具体的な理由と、その理由を裏付ける客観的事実の存在が必要」とし、「不正融資が行なわれた可能性をうかがわせる証拠はない」などとして、元会長の妻の請求を棄却していた。
請求理由、客観的事実まで立証の必要なし
上告人である元会長の妻は、会計帳簿等の閲覧謄写を請求する理由として、①グループ会社の無担保融資に係る調査の必要、②自らが相続税を支払うために相続により取得した株式等の時価算定の必要、③グループ会社がグループに属する財団法人に寄託した美術品取得に係る調査の必要、④グループ会社から他の親族になされた株式譲渡に係る調査の必要、などを書面に記載していた。
泉 徳治裁判長は、商法及び有限会社法が、株主又は社員が会社に対し会計帳簿等の閲覧謄写を請求するための要件として、株式会社については総株主の議決権の100分の3以上、有限会社については総社員の議決権の10分の1以上を有することのほか、理由を付した書面をもって請求することを要求(商法293条ノ6第1項、第2項、有限会社法44条ノ2第1項、46条本文)していることを示した上で、「請求の理由は、具体的に記載されなければならないが、理由を基礎付ける客観的事実まで立証しなければならない法的根拠はない」と判示。上告人が記載した請求理由についても、「具体性に欠けるところはなく、商法293条ノ7第1号所定の拒絶理由に該当しない」と判断し、閲覧謄写を認めるべき会計帳簿の範囲を判断させるため、審理を原審に差し戻した。
会計帳簿閲覧請求には理由あり、原審にて閲覧範囲を審理すべし
最高裁第一小法廷(泉 徳治裁判長)は7月1日、ポーラグループ各社の株式の4分の3を相続により取得したポーラ化粧品本舗元会長の妻が、①商法293条ノ6の規定に基づいて会計帳簿の閲覧を請求する際、請求の理由だけでなく理由を基礎付ける事実を立証する必要があるか、②株式の適正な時価を算定するためにした会計帳簿の閲覧請求は、商法293条ノ7第1号所定の拒絶事由に該当するか、が争われた事件について、「請求の理由を基礎付ける客観的事実まで立証しなければならない法的根拠はない」として原審判決を破棄。閲覧を認める会計帳簿の範囲を判断させるため、審理を東京高裁に差し戻す判決を下した(平成15年(受)第1104号)。
一審、二審はいずれも請求棄却
この事件は、平成12年11月に死亡したポーラ化粧品本舗元会長(故・鈴木常司氏)が有していた株式等の4分の3を準共有持分とする元会長の妻が、グループ会社から他の親族に対して不当な安値で行なわれた株式譲渡等に関する会計処理などの調査のために、会計帳簿の閲覧謄写を求めていたもの。原審では、「閲覧請求には具体的な理由と、その理由を裏付ける客観的事実の存在が必要」とし、「不正融資が行なわれた可能性をうかがわせる証拠はない」などとして、元会長の妻の請求を棄却していた。
請求理由、客観的事実まで立証の必要なし
上告人である元会長の妻は、会計帳簿等の閲覧謄写を請求する理由として、①グループ会社の無担保融資に係る調査の必要、②自らが相続税を支払うために相続により取得した株式等の時価算定の必要、③グループ会社がグループに属する財団法人に寄託した美術品取得に係る調査の必要、④グループ会社から他の親族になされた株式譲渡に係る調査の必要、などを書面に記載していた。
泉 徳治裁判長は、商法及び有限会社法が、株主又は社員が会社に対し会計帳簿等の閲覧謄写を請求するための要件として、株式会社については総株主の議決権の100分の3以上、有限会社については総社員の議決権の10分の1以上を有することのほか、理由を付した書面をもって請求することを要求(商法293条ノ6第1項、第2項、有限会社法44条ノ2第1項、46条本文)していることを示した上で、「請求の理由は、具体的に記載されなければならないが、理由を基礎付ける客観的事実まで立証しなければならない法的根拠はない」と判示。上告人が記載した請求理由についても、「具体性に欠けるところはなく、商法293条ノ7第1号所定の拒絶理由に該当しない」と判断し、閲覧謄写を認めるべき会計帳簿の範囲を判断させるため、審理を原審に差し戻した。
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