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税務ニュース2004年09月20日 納税告知は、「所得の種類」・「年月」ごとに総額主義(2004年9月20日号・№083) 最高裁、「報酬」・「賞与」の争いに、納付義務の同一性を認める

納税告知は、「所得の種類」・「年月」ごとに総額主義
最高裁、「報酬」・「賞与」の争いに、納付義務の同一性を認める


 最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は、9月7日、同族会社が代表者に代わって、代表者個人の利息を支払ったことによる代表者への経済的利益に対する課税(源泉所得税の納税告知処分等)について、当該利息の支払が役員賞与と判断される場合でも、利息相当額の役員報酬と判断して行われた納税告知等は、所得の種類が一致することから、利息を支払った年月及びその額が一致する限度で適法であると判示し、納税者勝訴に係る第1審・控訴審判決の一部を取消した(平成10年(行ツ)77号)。

事案の概要
 本件の被上告人(原告)X(同族会社となる株式会社)は、代表者A名義の株式会社Bからの借入金(2億6,250万円)について、Aに代わって借入金の利息を支払った。Xは、A名義を借用して借入及び投資をしたものであるから、借入金及び借入金により取得した有価証券は、Xに帰属するものであるとして、税務申告を行っていた。上告人Y(税務署長)は、(有価証券について)A自身が購入したものであるとし、本件借入金もAが借主であるとし、Xに対して、支払利息等の損金算入を否認する法人税の更正処分を行うとともに、本件貸付金に対する利息相当額は、Aに対する役員報酬に当たるとし、Xがこれに対する所得税を源泉徴収していないとして、本件納税告知及び不納付加算税の賦課決定を行った。
 原審は、借入金及び借入金により取得した有価証券はAに帰属するものと認定したが、本件支払利息の性質は、同金員につき返済の合意が認められないことから、Aに対する貸付金ではなく、XからAに対する支払相当額の経済的利益の供与であって、Aに対する臨時的な給与の支給であり、賞与の支給に該当するとし、Yの認定した役員報酬と同じ給与所得に属するものではあるが、基本的事実関係は全く異なるとして、Yの納税告知等は違法であるとして取消した。
 Yは、Aへの賞与に該当するものとしても、同一の所得の区分(給与所得)内で、同一の法定納期に服する税額については、納付義務の同一性があるとして、その一致する(重なり合う)限度において適法であるとして最高裁に上告していた。


「支払年月とその額が一致する限度において処分は適法」と判示
 上告審では、原審が納税告知及び源泉徴収による所得税の不納付加算税を取消したことについてのみ争われることとなった。
 控訴審が、「一個の納付義務であるからといって、その義務の発生原因事実は個々の給与等の支払事実であることに変わりはなく、ただその事実が複数あるというだけであって、原因となる支払事実が異なることになれば、その納付義務の存在を公に示した当該納税告知の同一性も失われることになると解すべきだからである。」と判示してきたのに対し、最高裁は、「Yが納税告知によりXに対して納税義務の履行として実際に請求した金額は、納税義務が客観的に成立し税額が自動的に確定していた源泉所得税の金額に包含されるものである上、納税告知書に記載された所得の種類にも食い違いはみられない。以上の事実関係の下においては、本件納税告知及び本件賦課決定は、Xが本件支払利息を支払った年月及びその額が一致する限度で適法であるというべきである。」と判示して、Yの主張を認め、原審の当該部分を取消すことになった。

国は、「複数の納税義務が発生するが徴収は別個の事柄」と主張
 本件において、賞与と認定された利息の支払額は、多額であり、理論上利息支払月における源泉徴収税額も数百万単位で計算されることになるが、報酬として認定して行われた納税告知は月割りで利息相当額を一定の利率で算定したため、十数万単位の金額が算定されるにとどまった(下表:対比表参照)。
 Yは、「源泉所得税の個々の納付義務は、個々の支払事実の発生により自動確定するから、支払事実ごとに複数の納税義務が発生すると考えて差し支えない。」としながらも、徴収手続きは別個の事柄として、原審が国税通則法36条(納税の告知)2項の解釈適用を誤った違法があると主張した。源泉所得税の加算税賦課決定通知書及び納税告知書が納期等の区分として「所得種類」と「年月分」ごとに区別していることの徴収実務からすれば、課税庁としてやむをえない主張でもある。
 

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