コラム2011年02月07日 【SCOPE】 「金融負債の分類及び測定」の見直しの概要が明らかに(2011年2月7日号・№389)
ASBJ、2月17日にも決定へ
「金融負債の分類及び測定」の見直しの概要が明らかに
企業会計基準委員会(ASBJ)は2月17日にも、「金融商品会計基準(金融負債の分類及び測定)の見直しに関する検討状況の整理」を決定する予定だ。検討状況の整理では、公正価値オプションおよび複合商品の区分処理を含め、主に金融負債の分類および測定に関する論点を取り扱っている。2月17日にも決定する予定。その後、意見を募集した後、2011年第3四半期に公開草案を公表する。
償却原価で測定も条件により公正価値で測定するケースも 企業会計基準委員会では、現在、コンバージェンスの観点から、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」の全面的な見直しを行っている。すでに、「金融資産の分類及び測定」に関しては、昨年8月に検討状況の整理が公表されている。今回の検討状況の整理はこの第2弾となるものであり、すでに国際会計基準審議会(IASB)が公表しているIFRS第9号「金融商品」とのコンバージェンスを念頭に置いたものとなっている。
適用範囲は金融負債と複合商品の一部 具体的な内容をみると、まず、適用範囲は、原則、金融負債に係るものとされるが、主契約にデリバティブが組み込まれている複合商品については、当該複合商品の主契約が金融資産に該当しないもののうち、払込資本を増加させる可能性のある部分を含まないものすべてを対象とする方向だ。
金融負債の発生の認識は現行のとおりとされ、今回の検討状況の整理では、特段の検討は行われていない。金融負債の分類については、①売買目的による金融負債、およびデリバティブ(金融保証契約に該当するもの、指定された有効なヘッジ手段であるものを除く)、②金融保証契約、③市場金利よりも低い金利を貸出条件とする貸出コミットメントを除き、当初認識後、償却原価で測定するものとして分類することとされている。
しかし、金融負債を公正価値で測定し評価差額を純損益に認識するものとして当初認識時に指定することを容認することも考えられるとし、条件として、①このような指定を通じて、資産もしくは負債の測定、または資産もしくは負債に関する純損益の認識に生じる不整合が、取り除かれるか大幅に削減されること、②金融負債のグループ、または、金融資産および金融負債のグループが文書化されたリスク管理戦略に従って公正価値ベースで管理され業績評価されており、当該情報が企業の経営幹部に対して提供されていることのいずれかに該当する場合に限ることとしている。
3つの要件が必要 契約の一方の当事者の払込資本を増加させる可能性のある部分を含まない複合商品については、原則として、それを構成する個々の資産または負債と区分せず、一体として処理することが考えられるとしている。複合商品に組み込まれたデリバティブは、①組込デリバティブの経済的特徴およびリスクが、組込対象である主契約の経済的特長およびリスクと密接に関連していないこと、②組込デリバティブと同一条件の独立したデリバティブが、デリバティブの定義を満たすこと、③当該複合商品について、公正価値の変動による評価差額が純損益に反映されないことの3つの要件を満たした場合には、組込対象である主契約とは区分して公正価値で測定し、評価差額を純損益に認識することが考えられるとしている。
公正価値で測定 金融負債の当初認識については、当該金融負債の公正価値により測定することが考えられるとし、償却原価で測定するものとして分類される金融負債について、当初認識時における付随費用(支払手数料等)は、金融負債の当初認識時の測定に含めることとしている。
当初認識後については、たとえば、売買目的による金融負債、およびデリバティブ(金融保証契約、指定された有効なヘッジ手段であるものを除く)については、公正価値で測定し、評価差額を純損益に計上することとされている。
リサイクリングの禁止または要求? 公正価値で測定し評価差額を純損益に認識するものとして当初認識時に指定された金融負債については、公正価値で測定したうえで、評価差額を、①金融負債の公正価値の変動額のうち、当該負債の信用リスクの変動に起因する金額は、その他の包括利益に表示、②当該負債の公正価値の変動額のうち、当該負債の信用リスクの変動に起因しない金額は、純損益に表示する。
また、同金融負債について、当該負債の満期前に負債の消滅が認識される場合、当該負債の信用リスクの変動に起因するものとしてその他の包括利益累計額に認識された金額の取扱いについては、組替調整(リサイクリング)を禁止する案と組替調整(リサイクリング)を要求する案の2つを提示し、意見を募ることとしている。
「金融負債の分類及び測定」の見直しの概要が明らかに
企業会計基準委員会(ASBJ)は2月17日にも、「金融商品会計基準(金融負債の分類及び測定)の見直しに関する検討状況の整理」を決定する予定だ。検討状況の整理では、公正価値オプションおよび複合商品の区分処理を含め、主に金融負債の分類および測定に関する論点を取り扱っている。2月17日にも決定する予定。その後、意見を募集した後、2011年第3四半期に公開草案を公表する。
償却原価で測定も条件により公正価値で測定するケースも 企業会計基準委員会では、現在、コンバージェンスの観点から、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」の全面的な見直しを行っている。すでに、「金融資産の分類及び測定」に関しては、昨年8月に検討状況の整理が公表されている。今回の検討状況の整理はこの第2弾となるものであり、すでに国際会計基準審議会(IASB)が公表しているIFRS第9号「金融商品」とのコンバージェンスを念頭に置いたものとなっている。
適用範囲は金融負債と複合商品の一部 具体的な内容をみると、まず、適用範囲は、原則、金融負債に係るものとされるが、主契約にデリバティブが組み込まれている複合商品については、当該複合商品の主契約が金融資産に該当しないもののうち、払込資本を増加させる可能性のある部分を含まないものすべてを対象とする方向だ。
金融負債の発生の認識は現行のとおりとされ、今回の検討状況の整理では、特段の検討は行われていない。金融負債の分類については、①売買目的による金融負債、およびデリバティブ(金融保証契約に該当するもの、指定された有効なヘッジ手段であるものを除く)、②金融保証契約、③市場金利よりも低い金利を貸出条件とする貸出コミットメントを除き、当初認識後、償却原価で測定するものとして分類することとされている。
しかし、金融負債を公正価値で測定し評価差額を純損益に認識するものとして当初認識時に指定することを容認することも考えられるとし、条件として、①このような指定を通じて、資産もしくは負債の測定、または資産もしくは負債に関する純損益の認識に生じる不整合が、取り除かれるか大幅に削減されること、②金融負債のグループ、または、金融資産および金融負債のグループが文書化されたリスク管理戦略に従って公正価値ベースで管理され業績評価されており、当該情報が企業の経営幹部に対して提供されていることのいずれかに該当する場合に限ることとしている。
3つの要件が必要 契約の一方の当事者の払込資本を増加させる可能性のある部分を含まない複合商品については、原則として、それを構成する個々の資産または負債と区分せず、一体として処理することが考えられるとしている。複合商品に組み込まれたデリバティブは、①組込デリバティブの経済的特徴およびリスクが、組込対象である主契約の経済的特長およびリスクと密接に関連していないこと、②組込デリバティブと同一条件の独立したデリバティブが、デリバティブの定義を満たすこと、③当該複合商品について、公正価値の変動による評価差額が純損益に反映されないことの3つの要件を満たした場合には、組込対象である主契約とは区分して公正価値で測定し、評価差額を純損益に認識することが考えられるとしている。
公正価値で測定 金融負債の当初認識については、当該金融負債の公正価値により測定することが考えられるとし、償却原価で測定するものとして分類される金融負債について、当初認識時における付随費用(支払手数料等)は、金融負債の当初認識時の測定に含めることとしている。
当初認識後については、たとえば、売買目的による金融負債、およびデリバティブ(金融保証契約、指定された有効なヘッジ手段であるものを除く)については、公正価値で測定し、評価差額を純損益に計上することとされている。
リサイクリングの禁止または要求? 公正価値で測定し評価差額を純損益に認識するものとして当初認識時に指定された金融負債については、公正価値で測定したうえで、評価差額を、①金融負債の公正価値の変動額のうち、当該負債の信用リスクの変動に起因する金額は、その他の包括利益に表示、②当該負債の公正価値の変動額のうち、当該負債の信用リスクの変動に起因しない金額は、純損益に表示する。
また、同金融負債について、当該負債の満期前に負債の消滅が認識される場合、当該負債の信用リスクの変動に起因するものとしてその他の包括利益累計額に認識された金額の取扱いについては、組替調整(リサイクリング)を禁止する案と組替調整(リサイクリング)を要求する案の2つを提示し、意見を募ることとしている。
注記事項 |
○金融負債を公正価値で測定し評価差額を純損益に認識するものとして当初認識時に指定された金融負債で、当該金融負債の信用リスクの変動に起因する金額を、その他の包括利益に表示する場合 ① 当該負債の信用リスクの変動に起因する公正価値の変動額累計 ② 当該負債の帳簿価額と満期時点で当該負債の保有者に支払われる金額との差額 ③ その他の包括利益に認識された金額について、純資産の部における移動額およびその理由(リサイクリングが禁止される場合) ④ 当期中に当該負債の消滅が認識される場合、その時点で、その他の包括利益累計額に計上されていた金額(リサイクリングが禁止される場合) ⑤ その他の包括利益に認識された金額について、純資産の部から純損益への振替額(リサイクリングが要求される場合) ○金融負債を公正価値で測定し評価差額を純損益に認識するものとして当初認識時に指定された金融負債で、当該金融負債の評価差額をすべて純損益に表示する場合 ① 当該負債の信用リスクに起因する部分の公正価値について、当期中の変動額および変動額累計 ② 当該負債の帳簿価額と満期時点で当該負債の保有者に支払われる金額との差額 ○金融負債を公正価値で測定し評価差額を純損益に認識するものとして、当初認識時に指定された金融負債について ① 当該負債の信用リスクに起因する部分の公正価値の変動額について、算定方法および当該方法を使用した理由 ② 要求される開示によって当該負債の信用リスクに起因する公正価値の変動額が忠実に表現されないと判断された場合、その理由、およびその他有用と考える要因 ③ 当該負債の信用リスクに起因する公正価値の変動額をその他の包括利益に計上することによって、純損益における会計上のミスマッチを生じさせる(または拡大させる)と判断した場合、経済的関係を含め、その根拠 ○借入金に関する契約違反について ① 当期中に借入金の元本、利息、減債基金、償還条件に関する債務が不履行となった場合、その旨および条件 ② 貸借対照表日において債務不履行となっている借入金の帳簿価額 ③ 財務諸表の公表が承認される前に債務不履行が解消された場合、または当該借入金の条件が再交渉されている場合、その旨 |
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