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解説記事2012年07月02日 【税制改正解説】 平成23年12月・24年度資産税関係の改正について(2・了)(2012年7月2日号・№457)

税制改正解説
平成23年12月・24年度資産税関係の改正について(2・了)
 金山裕道

平成24年度改正関係(承前)
〈5〉贈与税の納税猶予を適用している場合の特定貸付けの特例の創設

1.改正の内容
(1)制度の概要
 農地等についての贈与税の納税猶予制度(措法70の4①本文)の適用を受ける受贈者のうち一定の者(以下〈5〉において「猶予適用者」という。)が、贈与者の死亡の日前に納税猶予制度の適用を受ける農地等のうち農地又は採草放牧地の全部又は一部について農業経営基盤強化促進法による次の①から③までに掲げる貸付け(以下〈5〉において「特定貸付け」という。)を行った場合において、その特定貸付けを行った日から2ヶ月以内に、特定貸付けを行っている旨の届出書を納税地の所轄税務署長に提出したときは、その猶予適用者に係る納税猶予制度の適用については、その特定貸付けを行った農地又は採草放牧地の全部又は一部(以下〈5〉において「特定貸付農地等」という。)に係る地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権(以下〈5〉において「賃借権等」という。)の設定はなかったものと、農業経営は廃止していないものとみなされ、特定貸付農地等について引き続き贈与税の納税猶予制度が適用される(新措法70の4の2①)。
① 賃借権等の設定による貸付けであって、農業経営基盤強化促進法第4条第2項に規定する農地保有合理化事業(同項第1号に掲げる事業に限る。)のために行われるもの
② 賃借権等の設定による貸付けであって、農業経営基盤強化促進法第4条第3項に規定する農地利用集積円滑化事業(同項第1号に定める事業(同号ハに掲げるものを除く。)及び同項第2号に定める事業に限る。)のために行われるもの
③ 賃借権等の設定による貸付けであって、農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところにより行われるもの
(注1)「猶予適用者」とは、受贈者の次に掲げる区分に応じ、それぞれ次の要件を満たすものをいう(新措法70の4の2②)。
 イ 特定貸付けを行った日において65歳以上である受贈者 納税猶予の適用を受ける贈与に係る贈与税の申告書の提出期限からその貸付けを行った日までの期間(適用期間)が10年以上であること。
 ロ イに掲げる受贈者以外の受贈者 適用期間が20年以上であること。
(注2)特定貸付けを行った旨の届出書には、特定貸付農地等の明細、貸付けの相手方、賃借権の存続期間等を記載し、その行った特定貸付けごとに提出しなければならない(新措令40の6の2①、新措規23の7の2①)。
(2)特定貸付農地等の貸付期限が到来した場合  特定貸付農地等の貸付けに係る期限(その期限の到来前に中途解約などにより特定貸付けに係る賃借権等の消滅があった場合には、その消滅の日。以下〈5〉において「貸付期限」という。)が到来した場合において、猶予適用者は、その貸付期限から2ヶ月以内に、その貸付期限が到来した特定貸付農地等について、新たな特定貸付けを行うか、又は自らの農業の用に供し、新たな特定貸付けを行っている旨又は猶予適用者の農業の用に供している旨等の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされ、その提出があった場合には、貸付期限が到来した特定貸付農地等のうち新たな特定貸付けを行った部分については、新たな特定貸付けに係る賃借権等の設定はなかったものと、農業経営は廃止していないものとみなされ、引き続き納税猶予制度の適用を受けることができることとされている(新措法70の4の2③)。
(備考)契約更新により貸付期間を延長する場合は、貸付期限の到来には該当しない。
(3)貸付期限から2ヶ月以内に新たな特定貸付けを行うことができない場合
 ① 税務署長の承認
 猶予適用者が、貸付期限が到来した特定貸付農地等について、新たな特定貸付けを行っていない場合又は猶予適用者の農業の用に供していない場合には、貸付期限の翌日から1年を経過する日(以下〈5〉において「貸付猶予期日」という。)までに新たな特定貸付けを行う見込みであることにつき、貸付期限から2ヶ月以内に納税地の所轄税務署長に承認の申請を行うことができ、この税務署長の承認を受けたときは、貸付期限の翌日から1年を経過する日まで納税猶予の期限は確定せず、引き続き納税猶予制度の適用を受けることができ、その間に新たな特定貸付けを行うこととなる(新措法70の4の2④)。
 ② 承認後の手続  上記の承認を受けた猶予適用者は、承認を受けた特定貸付農地等について新たな特定貸付けを行った日から2ヶ月以内に、新たな特定貸付けを行っている旨等を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされ、その提出があった場合には、承認を受けた特定貸付農地等のうち新たな特定貸付けを行った部分については、新たな特定貸付けに係る賃借権等の設定はなかったものと、農業経営は廃止していないものとみなされ、引き続き納税猶予制度の適用を受けることができることとされている(新措法70の4の2⑤)。
 なお、新たな特定貸付けを行う予定で期限を延長したものの、特定貸付けの借り手が見つからない場合には、貸付猶予期日までに自らの農業の用に供し、農業の用に供した日から2ヶ月以内にその旨の届出書を納税地の所轄税務署長に提出したときは、引き続き納税猶予の適用を受けることができることとされている(新措法70の4の2⑤)。
(4)納税猶予期限の確定  猶予適用者が次の①から④までに掲げる場合のいずれかに該当することとなった場合には、特定貸付農地等に対応する納税猶予分の贈与税額については、その特定貸付農地等に係る貸付期限(次の③又は④に掲げる場合に該当することとなった場合には、その特定貸付農地等に係る貸付猶予期日(上記(3)②の新たな特定貸付けを行った日又は猶予適用者の農業の用に供した日が貸付猶予期日前である場合には、その新たな特定貸付けを行った日又は猶予適用者の農業の用に供した日。次の④において同じ。))においてその特定貸付農地等(特定貸付農地等のうち、次の①又は③に該当する場合にあっては新たな特定貸付けを行っている部分又は猶予適用者の農業の用に供している部分以外の部分に限り、④に該当する場合にあっては④の届出書に係る部分に限る。)について、賃借権等の設定があったものとみなされ、これらの日から2ヶ月を経過する日に納税猶予の期限が確定し、その賃借権等の設定があったものとみなされた特定貸付農地等に対応する納税猶予分の贈与税額(租税特別措置法第70条の4第1項ただし書の規定の適用がある場合(全部確定の場合)には、納税猶予分の贈与税額の全額)を猶予期間中の利子税と併せて納付しなければならない(新措法70の4の2⑦、70の4①ただし書、④)。
① 貸付期限から2ヶ月を経過する日において、貸付期限が到来した特定貸付農地等の全部又は一部について、新たな特定貸付けを行っていない場合又は猶予適用者の農業の用に供していない場合(②に掲げる場合を除く。)
② 貸付期限から2ヶ月を経過する日までに上記(2)の届出書を提出しない場合
③ 貸付猶予期日において、貸付猶予期日が到来した特定貸付農地等の全部又は一部について、新たな特定貸付けを行っていない場合又は猶予適用者の農業の用に供していない場合(④に掲げる場合を除く。)
④ 貸付猶予期日から2ヶ月を経過する日までに上記(3)②の届出書を提出しない場合
(5)特定貸付農地等について耕作の放棄があった場合  特定貸付けを行っている特定貸付農地等について、特定貸付農地等を借り受けた者がその特定貸付農地等の耕作をしなかったことにより、耕作の放棄となった場合には、新租税特別措置法第70条の4第1項第1号又は第4項の規定により、贈与税の納税猶予税額の全部又は一部について猶予期限が確定し納税することとなるのが原則である。
 しかしながら、この耕作の放棄は、猶予適用者が耕作をしなかったことに基因するものではなく、猶予適用者から特例農地等を借り受けた者が耕作をしなかったことに基因するものであるから、この耕作の放棄があった日から2ヶ月以内に特定貸付けに係る契約を解約し、新たな特定貸付けを行うか、又は猶予適用者自らが農業を行う場合には、その旨の届出書を耕作の放棄があった日から2ヶ月以内に納税地の所轄税務署長に提出したときに限り、耕作の放棄はなかったものとみなし、引き続き納税猶予の適用を受けることができることとされている(新措法70の6の2⑦)。具体的な手続は次のとおり。
① 特定貸付農地等に係る耕作の放棄があった場合において、猶予適用者は、耕作の放棄があった日から2ヶ月以内に、耕作の放棄があった特定貸付農地等について、新たな特定貸付けを行っている旨又は猶予適用者の農業の用に供している旨等を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされ、その提出があった場合には、耕作の放棄があった特定貸付農地等のうち新たな特定貸付けを行った部分又は猶予適用者の農業の用に供した部分については、耕作の放棄及び新たな特定貸付けに係る賃借権等の設定はなかったものと、農業経営は廃止していないものとみなすこととされた(新措法70の4の2⑧)。
(注)上記「耕作の放棄」とは、農地法第32条の規定による通知(同条ただし書の規定による公告を含む。)があったことをいう(措法70の4①一)。
② 猶予適用者が、耕作の放棄があった特定貸付農地等について、耕作の放棄があった日から2ヶ月以内に新たな特定貸付けを行っていない場合又は猶予適用者の農業の用に供していない場合において、耕作の放棄があった日の翌日から1年を経過する日(④において「貸付猶予期日」という。)までに新たな特定貸付けを行う見込みであることにつき、耕作の放棄があった日から2ヶ月以内に納税地の所轄税務署長に承認を申請し、税務署長の承認を受けたときに限り、耕作の放棄はなかったものとみなし、納税猶予の期限は確定しないこととされた(新措法70の4の2⑧)。
③ 上記②の承認を受けた猶予適用者は、承認を受けた特定貸付農地等について新たな特定貸付けを行った日又は猶予適用者の農業の用に供した日から2ヶ月以内に、新たな特定貸付けを行っている旨又は猶予適用者の農業の用に供している旨等を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされ、その提出があった場合には、承認を受けた特定貸付農地等のうち新たな特定貸付けを行った部分については、新たな特定貸付けに係る賃借権等の設定はなかったものと、農業経営は廃止していないものとみなすこととされた(新措法70の4の2⑧)。
④ 猶予適用者が次に掲げる場合のいずれかに該当することとなった場合には、租税特別措置法第70条の4第1項に規定する納税猶予分の贈与税額に係る同項ただし書及び同条第4項の規定の適用については、特定貸付農地等に係る耕作の放棄があった日(ハ又はニに掲げる場合に該当することとなった場合には、その特定貸付農地等に係る貸付猶予期日(上記③の新たな特定貸付けを行った日又は猶予適用者の農業の用に供した日が貸付猶予期日前である場合には、これらの日。ニにおいて同じ。))において特定貸付農地等(特定貸付農地等のうち、イ又はハに掲げる場合にあっては、新たな特定貸付けを行っている部分又は猶予適用者の農業の用に供している部分以外の部分に限るものとし、ニに掲げる場合にあってはニの届出書に係る部分に限る。)について、耕作の放棄があったものとみなすこととされた(新措法70の4の2⑧)。
 イ 耕作の放棄があった日から2ヶ月を経過する日において、耕作の放棄があった特定貸付農地等の全部又は一部について、新たな特定貸付けを行っていない場合又は猶予適用者の農業の用に供していない場合(ロに掲げる場合を除く。)
 ロ 耕作の放棄があった日から2ヶ月を経過する日までに上記イの届出書を提出しない場合
 ハ 貸付猶予期日において、貸付猶予期日が到来した特定貸付農地等の全部又は一部について、新たな特定貸付けを行っていない場合又は猶予適用者の農業の用に供していない場合(ニに掲げる場合を除く。)
 ニ 貸付猶予期日から2ヶ月を経過する日までに上記ハの届出書を提出しない場合
(備考)上記イの届出書、ロの承認の申請に係る書類(以下〈5〉において「承認申請書」という。)及びハの届出書がそれぞれの期限内に提出されなかった場合においても、納税地の所轄税務署長がこれらの期間内にその提出がなかったことについてやむを得ない事情があると認める場合には、その届出書又は承認申請書を期限までに提出することができなかった事情の詳細を記載した届出書又は承認申請書が提出されたときは、その届出書又は承認申請書は期限内に提出されたものとみなすこととされた(新措法70の4の2⑧)。
(6)旧法猶予適用者の扱い  平成24年度税制改正前の贈与により農地等についての贈与税の納税猶予制度の適用を受けている者(以下「旧法猶予適用者」という。)についても本特例の適用ニーズは強く、また、適用を可能とすることが農地の集約化にも資すると考えられることから、旧法猶予適用者についても選択により特定貸付けを行うことができる仕組みが整えられた(新措法70の4の2⑨)。
 ただし、自らの選択により特定貸付けを行った旧法猶予適用者は、特定貸付け以後はそれぞれの贈与時点における租税特別措置法の関係規定は適用されず、平成24年度税制改正後の租税特別措置法第70条の4第1項に規定する受贈者とみなして同条が適用されることから、耕作の放棄の規定、継続届出書の規定等はすべて新租税特別措置法第70条の4の規定によることとなる(新措法70の4の2⑩)。
(注1)「旧法猶予適用者」とは、過去の贈与により現在も納税猶予制度の適用を受けている者で、具体的には租税特別措置法第70条の4の2第9項各号に掲げる者のうち上記(1)(注1)に掲げる適用期間の要件を満たす者をいう(新措法70の4の2⑨)。
(注2)上記①又は②の旧法猶予適用者が、新租税特別措置法第70条の4第1項に規定する受贈者とみなされた場合において、その受贈者が有する納税猶予の規定の適用を受ける農地等のうちに新租税特別措置法第70条の4第2項第3号に規定する特定市街化区域農地等があるときは、その特定市街化区域農地等については同条第1項に規定する農地等とみなして、同条の規定を適用することとされている(新措令40の6の2⑨)。
(注3)それまで継続届出書を提出する必要がなかった旧法猶予適用者が、納税猶予の適用を受ける農地等の全部を担保に供した場合の継続届出書の提出の不適用の規定の適用を受けている場合には、特定貸付けをした後に適用される新租税特別措置法第70条の4第26項に規定する届出書(継続届出書)については、特定貸付けを行っている旨の届出書を提出した日の翌日から起算して3年を経過するごとの日までに提出しなければならないこととされている(新措令40の6の2⑩)。

2.適用関係  上記1による改正後の規定は、平成24年4月1日以後に農地等の特定貸付けを行った場合について適用される(改正法附則1)。

〈6〉農地等の贈与を受けた場合の贈与税の納税猶予制度の見直し

1.改正の内容
 上記〈5〉の贈与税の特定貸付けの特例の創設にあわせ、農地の有効利用に資する観点から、一定の受贈者がより政策的意義の高い農業経営基盤強化促進法の規定に基づく下記①~③の譲渡をした場合には、特例農地等の総面積の20%以上の譲渡等をした場合に全部確定となる20%のカウントについて、20%カウント除外の対象に追加することとされた(新措令40の6⑨四)。
 具体的には、農用地区域内にある農地等の次に掲げる譲渡が対象となる。
① 農業経営基盤強化促進法第4条第2項に規定する農地保有合理化事業(同項第1号に掲げる事業に限る。)のための譲渡
② 農業経営基盤強化促進法第4条第3項に規定する農地利用集積円滑化事業(同項第1号に定める事業(同号ハに掲げるものを除く。)及び同項第2号に定める事業に限る。)のための譲渡
③ 農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところによる譲渡
 なお、特定貸付けの特例と同様、一定期間は自ら耕作を継続することを必要とする要件が設けられている。具体的には、次に掲げる受贈者の区分に応じ、それぞれ次の要件を満たす者が適用対象となる(新措令40の6⑤四)。
イ 譲渡を行った日において65歳以上である
受贈者 納税猶予制度の適用を受けようとする贈与に係る贈与税の申告書の提出期限からその譲渡を行った日までの期間(適用期間)が10年以上であること。
ロ イに掲げる受贈者以外の受贈者 適用期間が20年以上であること。

2.適用関係  上記1の改正は、平成24年4月1日以後に農地等の譲渡をする場合について適用される(改正措令附則1)。
 なお、平成24年4月1日以後に、上記〈5〉1(6)(注1)の旧法猶予適用者が、納税猶予の適用を受ける農地等について上記1の①から③までの譲渡をする場合には、その受贈者についても上記1の改正後の規定が適用される(改正措令附則28②)。

〈7〉山林についての相続税の納税猶予制度の創設

1.改正の内容
(1)概要
 特定森林経営計画(注1)が定められている区域内に存する山林(立木又は土地をいう。以下〈7〉において同じ。)を有していた被相続人から相続又は遺贈により特例施業対象山林(注2)の取得をした林業経営相続人(注3)が、その相続に係る相続税の期限内申告書の提出により納付すべき相続税額のうち、特例山林(注4)に係る納税猶予分の相続税額に相当する相続税については、その相続税の申告書の提出期限までにその納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合に限り、その林業経営相続人の死亡の日まで、その納税を猶予する(新措法70の6の4①)。
 なお、この制度は、相続税の申告書の提出期限までに、その相続又は遺贈により取得をした山林の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によって分割されていない場合には適用されない(新措法70の6の4⑥)。
(注1)「特定森林経営計画」とは、森林法に基づいて市町村長等の認定(変更の認定を含む。)を受けた森林経営計画であって、次に掲げる要件の全てを満たすものをいう(新措法70の6の4②二、新措規23の8の4⑥⑦)。
① その対象とする山林が同一の者により一体として整備することを相当とするものとして森林法施行令第3条で定めるものであること。
② その森林経営計画に森林法第11条第3項に規定する事項が記載されていること。
③ ①及び②に掲げるもののほか、その森林経営計画の内容が同一の者による効率的な山林の経営(施業又はその施業と一体として行う保護をいう。以下〈7〉において同じ。)を実現するために必要とされる一定の要件を満たしていること。
(注2)「特例施業対象山林」とは、被相続人がその被相続人の相続開始の直前に有していた山林のうちその相続開始の前に特定森林経営計画が定められている区域内に存するもの(森林の保健機能の増進に関する特別措置法第2条第2項第2号に規定する森林保健施設の整備に係る地区内に存するものを除く。)であって、次に掲げる要件の全てを満たすものをいう(新措法70の6の4②三、新措令40の7の4④)。
① その被相続人によりその相続開始の直前まで引き続きその特定森林経営計画に従って適正かつ確実に経営が行われてきた山林であること。
② その特定森林経営計画に記載されている山林のうち作業路網の整備を行う部分が、同一の者により一体として効率的な施業を行うことができるものとして一定の要件を満たしていること。
(注3)「林業経営相続人」とは、被相続人から相続又は遺贈によりその被相続人がその相続開始の直前に有していた全ての山林の取得をした個人であって、次に掲げる要件の全てを満たす者をいう(新措法70の6の4②四、新措規23の8の4⑧)。
① その個人が、その相続開始の直前において、その被相続人の推定相続人であること。
② その個人が、その相続開始の時からその相続に係る相続税の申告書の提出期限(その提出期限前にその個人が死亡した場合には、その死亡の日)まで引き続きその相続又は遺贈により取得をしたその山林の全てを有し、かつ、その特定森林経営計画に従ってその経営を行っていること。
③ その個人が、その特定森林経営計画に従ってその山林の経営を適正かつ確実に行うものと認められる一定の要件を満たしていること。
(注4)「特例山林」とは、特例施業対象山林で相続税の期限内申告書にこの制度の適用を受ける旨の記載があるもので、林業経営相続人が自ら経営を行うものであって、次に掲げる要件の全てを満たすものをいう(新措法70の6の4①、新措令40の7の4②、新措規23の8の4③④)。
① その特定森林経営計画において、作業路網の整備を行う山林として記載されているものであること。
② 都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域内に所在するものでないこと。
③ 立木にあっては、その相続開始の日からその立木が森林法第10条の5第1項に規定する市町村森林整備計画に定める標準伐期齢に達する日までの期間がその林業経営相続人のその相続開始の時における平均余命期間(その相続開始の日からその林業経営相続人に係る余命年数(厚生労働省作成の完全生命表に掲げる年齢および性別に応じた平均余命をいう。)を経過する日までの期間(最高30年))を超える場合における立木であること。
(2)適用手続
 ① 期限内申告
 この制度の適用を受けるためには、相続税の申告書を申告期限内に提出し、その申告書に、特例施業対象山林の全部につきこの制度の適用を受けようとする旨を記載し、次に掲げる書類を添付する必要がある(新措法70の6の4⑧、新措規23の8の4⑯~⑲)
イ 特例施業対象山林の明細及び納税猶予分の相続税額の計算に関する明細を記載した書類その他の書類
ロ 特例施業対象山林に係る被相続人の死亡の日の翌日以後最初に到来する経営報告基準日の翌日から5月を経過する日がその被相続人に係る相続税の申告書の提出期限までに到来する場合には、その特例施業対象山林の経営に関する一定の事項を記載した書類
ハ 林業経営相続人等の要件その他一定の要件を満たしていることを証する書類
 ② 担保の提供  この制度の適用を受けるためには、相続税の申告書の提出期限までに納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供する必要がある(新措法70の6の4①)。
(3)納税猶予分の相続税額の計算
 ①「農地等についての相続税の納税猶予制度(措法70の6①本文)」の適用がある者がいない場合の納税猶予分の相続税額の計算
 次のイに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した残額が納税猶予分の相続税額となる(新措法70の6の4②五、新措令40の7の4⑤~⑦)。
イ 特例山林の価額(相続税法第13条の規定により控除すべき債務がある場合には、控除すべき林業経営相続人の負担に属する部分の金額を控除した残額(以下〈7〉において「特定価額」という。))を林業経営相続人に係る相続税の課税価格とみなして、相続税法第15条から第19条まで、第21条の15第1項及び第2項並びに第21条の16第1項及び第2項の規定を適用して計算した林業経営相続人の相続税の額
ロ 特定価額に100分の20を乗じて計算した金額を林業経営相続人に係る相続税の課税価格とみなして、相続税法第15条から第19条まで、第21条の15第1項及び第2項並びに第21条の16第1項及び第2項の規定を適用して計算した林業経営相続人の相続税の額
 ② 「農地等についての相続税の納税猶予制度(措法70の6①本文)」の適用がある者がいる場合の納税猶予分の相続税額の計算  上記により納税猶予分の相続税額を計算する場合において、被相続人から相続又は遺贈により財産の取得をした者のうちに「農地等についての相続税の納税猶予制度(措法70の6①本文)」の適用を受ける者があるときにおけるその財産の取得をした全ての者に係る相続税の課税価格は、租税特別措置法第70条の6第2項第1号の規定により計算される相続税の課税価格(農業投資価格ベースの課税価格)となる(新措令40の7の4⑧)。
(注)この制度の適用を受ける林業経営相続人が「農地等についての相続税の納税猶予制度(措法70の6①本文)」又は「非上場株式等についての相続税の納税猶予制度(措法70の7の2①、70の7の4①)」の適用を受ける者である場合における納税猶予分の相続税額の調整計算は、租税特別措置法施行令第40条の7の4第9項の規定により行う。
(4)納税猶予期間中の継続届出書の提出義務
 ① 概要
 この制度の適用を受ける林業経営相続人は、相続税の申告期限の翌日から猶予中相続税額(注1)の全部につき納税の猶予に係る期限が確定する日までの間に経営報告基準日(注2。なお、特例山林に係る被相続人の死亡の日の翌日以後最初に到来する経営報告基準日の翌日から5月を経過する日が相続税の申告書の提出期限までに到来する場合におけるその最初に到来する経営報告基準日を除く。)が存する場合には、届出期限(経営報告基準日の翌日から5月を経過する日をいう。)までに、引き続きこの制度の適用を受けたい旨その他一定の事項を記載した届出書(以下〈7〉において「継続届出書」という。)並びに所定の添付書類を納税地の所轄税務署長に提出する必要がある(新措法70の6の4⑨、新措令40の7の4⑯、新措規23の8の4⑳ )。
(注1)「猶予中相続税額」とは、納税猶予分の相続税額から、既に納税の猶予に係る期限が確定した税額を除いたものをいう(新措法70の6の4②七ロ)。
(注2)「経営報告基準日」とは、
 イ 施業整備期間にあっては、当初認定起算日から1年を経過するごとの日をいい(新措法70の6の4②七イ)、
 ロ 施業整備期間(注3)の末日の翌日(当初認定起算日(注4)以後10年を経過する日の翌日以後にこの制度の適用に係る被相続人について相続が開始した場合には、その翌日)から猶予中相続税額の全部について納税の猶予に係る期限が確定する日までの期間にあっては、その末日の翌日から3年を経過するごとの日をいう(新措法70の6の4②七ロ)。
(注3)「施業整備期間」とは、当初認定起算日からその当初認定起算日以後10年を経過する日までの間にこの制度の適用に係る被相続人について相続が開始した場合における、その相続の開始の日の翌日から当初認定起算日以後10年を経過する日又はその相続に係る林業経営相続人の死亡の日のいずれか早い日までの期間をいう(新措法70の6の4②六)。
(注4)「当初認定起算日」とは、特定森林経営計画に係る被相続人(特定森林経営計画につき過去に森林法第17条第1項の規定の適用があった場合にあっては、最初の適用に係る同項の認定森林所有者等)が市町村長等の認定(変更の認定を含む。)を受けた特定森林経営計画(森林法第11条第3項に規定する事項が記載された最初のものに限る。)の始期をいう(新措法70の6の4②六、新措令40の7の4⑩)。
 ② 継続届出書の時効中断効  猶予中相続税額に相当する相続税並びにその相続税に係る利子税及び延滞税の徴収を目的とする国の権利の時効については、国税通則法第73条第4項の規定の適用がある場合を除き、継続届出書の提出があった時に中断し、その継続届出書の届出期限の翌日から新たに進行する(新措法70の6の4⑩)。
 ③ 継続届出書不提出の場合  継続届出書が届出期限までに納税地の所轄税務署長に提出されない場合には、その届出期限における猶予中相続税額に相当する相続税については、その届出期限の翌日から2月を経過する日(その届出期限の翌日から2月を経過する日までの間にその相続税に係る林業経営相続人が死亡した場合には、その林業経営相続人の相続人がその林業経営相続人の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)をもって納税の猶予に係る期限となる(新措法70の6の4⑪)。
 ただし、その継続届出書がその届出期限までに提出されなかった場合においても、納税地の所轄税務署長がその届出期限内にその提出がなかったことについてやむを得ない事情があると認める場合において、そのやむを得ない事情を記載したその継続届出書に所定の書類を添付してその税務署長に提出されたときは、その継続届出書がその届出期限内に提出されたものとみなされる(新措法70の6の4⑯、新措令40の7の4⑲、措規23の8の4⑳)。
(5)担保の変更の命令違反等の場合の納税猶予期限の繰上げ  税務署長は、次に掲げる場合には、猶予中相続税額に相当する相続税に係る納税の猶予に係る期限を繰り上げることができる(新措法70の6の4⑫)。
① この制度の適用を受ける林業経営相続人が(2)②の担保について国税通則法第51条第1項の規定による命令に応じない場合
② その林業経営相続人から提出された継続届出書に記載された事項と相違する事実が判明した場合
(6)納税猶予が打ち切られる場合
 ① 納税猶予税額の全部確定
 この制度の適用を受ける林業経営相続人又は特例山林について次のいずれかに掲げる場合に該当することとなった場合には、それぞれに掲げる日から2月を経過する日(それぞれに掲げる日からその2月を経過する日までの間に林業経営相続人が死亡した場合には、その林業経営相続人の相続人がその林業経営相続人の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)が納税の猶予に係る期限となる(新措法70の6の4③)。
イ 林業経営相続人による特定森林経営計画に従った特例山林の経営が適正かつ確実に行われていない場合として一定の場合に該当する場合において、その特定森林経営計画に係る農林水産大臣等(注1)からその林業経営相続人の納税地の所轄税務署長にその該当する旨の通知があったとき その通知があった日(新措法第70条の6の4③一、新措令40の7の4⑪)
ロ 林業経営相続人が特例山林の譲渡、贈与若しくは転用(注2)をし、若しくは特例山林につき地上権、永小作権、使用貸借による権利若しくは賃借権の設定をした場合(収用交換等による譲渡があった場合を除く。)又は特例山林が路網未整備等(注3)に該当することとなった場合において、その譲渡、贈与、転用若しくは設定(以下〈7〉において「譲渡等」という。)又は路網未整備等があったその特例山林に係る土地の面積(その譲渡等又は路網未整備等の時前に特例山林につき譲渡等(租税特別措置法第33条の4第1項に規定する収用交換等による譲渡を除く。)又は路網未整備等があった場合には、その譲渡等又は路網未整備等に係る土地の面積を加算した面積)が、その林業経営相続人のその時の直前における特例山林に係る土地の面積(その時前に特例山林につき譲渡等又は路網未整備等があった場合には、その譲渡等又は路網未整備に係る土地の面積を加算した面積)の100分の20を超えるとき 農林水産大臣等から林業経営相続人の納税地の所轄税務署長にその100分の20を超えることとなった譲渡等又は路網未整備等に係る通知があった日(新措法70の6の4③二)
(注1)「農林水産大臣等」とは、農林水産大臣、都道府県知事又は市町村長をいう(新措法70の6の4③一)。
(注2)「転用」とは、特例山林の土地を立木の生育以外の用に供する一定の行為をいう(新措法70の6の4③二、新措規23の8の4⑭)。
(注3)「路網未整備等」とは、作業路網の一部の整備が適正に行われていない場合又は一体的かつ効率的な経営に適さなくなった山林となった場合として一定の場合をいう(新措法70の6の4③二、新措令40の7の4⑫、新措規23の8の4⑮、森規8の20一)。
ハ 特例山林に係る山林の経営を廃止した場合 その廃止した日(新措法70の6の4③三)
ニ 林業経営相続人のその年分の山林所得に係る収入金額が零となった場合 その収入金額が零となった年の12月31日(新措法70の6の4③四)
ホ 林業経営相続人がこの制度の適用を受けることをやめる旨を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出した場合 その届出書の提出があった日(新措法70の6の4③五)
 ② 納税猶予税額の一部確定  猶予中相続税額に相当する相続税の全部について納税の猶予に係る期限が確定する日までに、林業経営相続人が特例山林の一部の譲渡等をした場合又は特例山林が路網未整備等に該当することとなった場合には、猶予中相続税額のうち、その譲渡等をした特例山林又はその路網未整備等に該当することとなった特例山林の価額に対応する部分の金額に相当する相続税については、農林水産大臣等からその林業経営相続人の納税地の所轄税務署長にその譲渡等又は路網未整備等があった旨の通知があった日から2月を経過する日(その通知があった日からその2月を経過する日までの間にその林業経営相続人が死亡した場合には、その林業経営相続人の相続人がその林業経営相続人の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)が納税の猶予に係る期限となる(新措法70の6の4④⑤、新措令40の7の4⑮)。
(7)納税猶予税額の免除 
 この制度の適用を受ける林業経営相続人が死亡した場合には、猶予中相続税額に相当する相続税が免除される。この場合には、その林業経営相続人の相続人は、その死亡した日から同日以後6月を経過する日(以下〈7〉において「免除届出期限」という。)までに、一定の事項を記載した届出書に所定の書類を添付して納税地の所轄税務署長に提出する必要がある(新措法70の6の4⑮、新措令40の7の4⑱、新措規23の8の4 )。
 ただし、その届出書が免除届出期限までに提出されなかった場合においても、納税地の所轄税務署長がその免除届出期限内にその提出がなかったことについてやむを得ない事情があると認める場合において、そのやむを得ない事情を記載した届出書に所定の書類を添付してその税務署長に提出されたときは、その届出書がその期限内に提出されたものとみなされる(新措法70の6の4⑯、新措令40の7の4⑲、新措規23の8の4 )。
(8)利子税の納付  この制度の適用を受けた林業経営相続人は、納税の猶予に係る期限が確定し猶予中相続税額の全部又は一部を納付する場合には、納付する税額を基礎とし、その林業経営相続人がこの制度の適用を受けるために提出する相続税の申告書の提出期限の翌日から、次に掲げる納付する場合の区分に応じ次に掲げる日までの期間に応じ、年3.6パーセントの割合を乗じて計算した金額に相当する利子税を、あわせて納付する必要がある(新措法70の6の4⑰)。
① (6)①に該当する場合(ハに該当する場合を除く。) (6)①の納税の猶予に係る期限
② (6)②又は(4)②に該当する場合(ハに該当する場合を除く。) (6)②又は(4)②の納税の猶予に係る期限
③ (5)又は(9)①に該当する場合 (5)又は(9)①の繰り上げられた納税の猶予に係る期限
(注)利子税の割合(年3.6パーセント)は、日本銀行の定める基準割引率に応じた割合に軽減される(措法93④)。
(9)その他
 ① 同族会社等の行為又は計算の否認等
 同族会社等の行為又は計算で、これを容認した場合にはその株主若しくは社員である林業経営相続人又は林業経営相続人若しくは林業経営相続人に係る被相続人と特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、税務署長は、この制度の適用に関し、その行為又は計算にかかわらず、その認めるところにより、納税の猶予に係る期限を繰り上げ、又は免除する納税の猶予に係る相続税を定めることができる(新措法70の6の4⑭、新措令40の7の4⑰)。
 ② 農林水産大臣等の通知義務  農林水産大臣等は、この制度の適用を受ける林業経営相続人又は特例山林について、(6)の納税の猶予に係る期限の確定に係る事実に関し、法令の規定に基づき認定、確認、報告の受理その他の行為をしたことによりその事実があったことを知った場合には、遅滞なく、その特例山林についてその事実が生じた旨その他一定の事項を、書面により、国税庁長官又はその林業経営相続人の納税地の所轄税務署長に通知する必要がある(新措法70の6の4⑱、新措規23の8の4 )。
 ③ 農林水産大臣等への通知  税務署長は、農林水産大臣等の事務(この制度の適用を受ける林業経営相続人に関する事務で、②の適用に係るものに限る。)の処理を適正かつ確実に行うため必要があると認めるときは、農林水産大臣等に対し、その林業経営相続人がこの制度の適用を受ける旨その他一定の事項を通知することができる(新措法70の6の4⑲、新措規23の8の4 )。

2.適用関係  この特例の規定は、平成24年4月1日以後に相続又は遺贈(死因贈与を含む。)により取得をする山林に係る相続税について適用される(改正法附則41①)。

〈8〉特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例の改正

1.改正の内容
(1)森林経営計画への改組(森林施業計画の廃止)に伴う所要の見直し
 平成23年の通常国会で森林法が改正されたことにより、森林施業計画が森林経営計画へと変更(具体的には、従来人工林を主体に策定されていた森林施業計画が廃止され、天然林を含む全ての森林を計画の対象とし、生物多様性の保全等の公益的機能の発揮に関する事項を新たな計画事項とする森林経営計画制度が創設)された。
 これに伴い、新たな森林経営計画についても、基本的にはこの特例の適用を引き続き認めることとされた。ただし、この特例の対象となる特定計画山林の範囲については、同計画が定められている区域内に存する山林のうち、一体として効率的に森林施業を行うこととされているもの(具体的には、森林法施行規則第10条第1号に規定する計画的伐採対象山林)に限ることとされた(新措法69の5②一、二、四イ・ロ、新措規23の2の2②)。
(2)森林経営計画への改組(森林施業計画の廃止)に伴う経過措置 ① 平成24年4月1日前に平成23年の改正前の森林法(以下〈10〉までにおいて「旧森林法」という。)第11条第4項等の規定による市町村長等の認定を受けた森林施業計画が定められている区域内に存する山林に係る相続税については、改正前のこの特例の規定は、その森林施業計画の期間(注)中は、なおその効力を有する(改正法附則41②)。
(注)「森林施業計画の期間」とは、その認定に係る5年を一期とする期間(旧森林法11①)をいう。
② 上記①の場合(その森林施業計画に係る認定森林所有者等(注)が死亡した場合において、その死亡に係る相続税の申告書の提出期限までにその森林施業計画の期間(5年間)が満了するときに限る。)において、その認定森林所有者等から相続又は遺贈により上記①の山林の取得をした個人が、その相続税の申告期限までにその山林に係る森林経営計画(その森林施業計画と期間が連続するものに限る。)について旧森林法第11条第4項等の規定による市町村長等の認定を受けたときは、その取得をした山林に係る相続税については、改正前のこの特例の規定は、なおその効力を有する(改正法附則41③)。
(注)「認定森林所有者等」とは、旧森林法第11条第4項等の規定による認定を受けた森林所有者その他権限に基づいて森林の立竹木の使用又は収益をする者をいう(旧森林法12①)。
③ 特定計画山林相続人等(被相続人である特定贈与者(相法21の9⑤)からの贈与により特定受贈森林施業計画対象山林の取得をした特定計画山林相続人等であって、その特定受贈森林施業計画対象山林に係る贈与税の申告期限までにこの特例の適用を受ける旨その他一定の事項を記載した書類その他一定の書類を納税地の所轄税務署長に提出した者をいう。)が、その特定受贈森林施業計画対象山林について、森林施業計画の期間満了後その特定贈与者の死亡に係る相続税の申告期限まで引き続いて森林法第11条第5項等の規定による市町村長等の認定を受けた森林経営計画に基づき施業を行っている場合には、上記(1)による改正後のこの特例が適用される(改正法附則41④)。

2.適用関係  改正後のこの特例の規定は、平成24年4月1日以後に相続又は遺贈により取得をする山林に係る相続税について適用され、同日前に相続又は遺贈により取得をした山林に係る相続税については従前どおり(改正法附則41①)。

〈9〉農地等についての贈与税の納税猶予等に係る利子税の特例措置の改正

1.改正の内容
 平成24年度税制改正において「山林についての相続税の納税猶予」(上記〈7〉参照)が創設されたことに伴い、(「農地」のみを対象としていた)この特例の適用対象の範囲について、新たに「山林」が追加された(新措法70の8①②④⑤、新措規23の13①~④)。これは、公共事業用地の取得の円滑化に資する観点から、納税猶予の特例の適用を受けている山林が公共事業の施行のため買収される場合であっても、農地と同様の事情にあると考えられることから、同様に創設することとされたもの。

2.適用関係  改正後のこの特例の規定は、租税特別措置法第70条の6の4第1項の規定の適用を受けている山林につき平成24年4月1日以後に収用交換等による譲渡をした場合に適用される(改正法附則41①)。

〈10〉計画伐採に係る相続税の延納等の特例の改正

1.改正の内容
 山林についての相続税の納税猶予の創設(上記〈7〉参照)及び森林経営計画への改組(森林施業計画の廃止)(上記〈8〉参照)に伴い、次の見直しが行われた。
(1)森林経営計画への改組(森林施業計画の廃止)に伴う所要の見直し  森林法の改正による森林施業計画から森林経営計画への改組に伴い、新たな森林経営計画についても、基本的にはこの特例の適用を引き続き認めることとされた(新措法70の8の2①②⑤~⑦、新措令40の9①③④、新措規23の14①~③)。
 ただし、(従来人工林を主体に策定されていた森林施業計画と異なり、)天然林を含む全ての森林を対象とする「森林経営計画」の性格等に鑑み、次の見直しが行われた。
① 延納期間の特例の適用を受けるための要件及び森林計画立木部分の税額の算定に係る「森林施業計画が定められている区域内にある立木」について、森林の保健機能の増進に関する特別措置法第2条第2項第2号に規定する森林保健施設の整備に係る地区内に存する立木を除くことに加え、一体として効率的に森林施業を行うこととされているもの(具体的には、森林法施行規則第10条第1号に規定する計画的伐採対象山林)に限ることとされた(新措規23の14①)。この改正に伴い、この特例の適用を受ける際に納税地の所轄税務署長に提出する申請書(措法70の8の2⑤)に係る記載事項についても、所要の見直しが行われた(新措規23の14③)、
② 上記①に加え、森林法施行規則の改正に伴う所要の改正が行われた。
(2)山林についての相続税の納税猶予の特例への適用拡大  平成24年度税制改正において、「山林についての相続税の納税猶予」が創設されたことに伴い、課税相続財産の価額に租税特別措置法第70条の6の4第1項に規定する特例山林に係るものがある場合には、相続税に係る他の納税猶予制度(措法70の6①本文、70の7の2①、70の7の4①)と同様に、森林計画立木部分の税額(措令40の9①)を求める算式中、納付すべき相続税額から「山林についての相続税の納税猶予(措法70の7の4①)」の適用を受けた部分の税額を除くこととされ、課税相続財産の価額を構成する特例山林の価額は、その特例山林の価額に20%を乗じて計算した金額とすることとされた(新措法70の8の2①)。

2.適用関係  改正後のこの特例の規定は、平成24年4月1日以後に相続又は遺贈により取得をする財産に係る相続税について適用される(改正法附則41①)。
 なお、平成24年4月1日前に旧森林法第11条第4項等の規定による市町村長等の認定を受けた森林施業計画が定められている区域内に存する山林に係る相続税については、改正前のこの特例の規定は、その森林施業計画の期間中は、なおその効力を有する(改正法附則41②)。

〈11〉認定低炭素住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減措置の創設

1.制度の内容
(1)個人が、都市の低炭素化の促進に関する法律の施行の日から平成26年3月31日までの間に認定低炭素住宅の新築をし、又は建築後使用されたことのない認定低炭素住宅の取得をし、その者の居住の用に供した場合には、その認定低炭素住宅の所有権の保存登記で、その新築又は取得後1年以内に登記を受けるものに対する登録免許税については、その税率が1,000分の1(本則1,000分の4、一般住宅1,000分の1.5)に軽減された(新措法74の2①)。
(2)個人が、上記(1)の期間内に建築後使用されたことのない認定低炭素住宅の取得(売買又は競落によるものに限る。)をし、その者の居住の用に供した場合には、その認定低炭素住宅の所有権の移転登記で、その取得後1年以内に登記を受けるものに対する登録免許税については、その税率が1,000分の1(本則1,000分の20、一般住宅1,000分の3)に軽減された(新措法74の2②)。

2.適用関係  この特例の規定は、都市の低炭素化の促進に関する法律(平成24年6月27日現在審議中)の施行の日(同法の公布の日から3月以内で政令で定める日)以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(新措法74の2①、改正法附則1十二、都市の低炭素化の促進に関する法律附則1)。

〈12〉新関西国際空港株式会社が移転補償事業により買い取った土地の所有権の移転登記の免税措置の創設

1.制度の内容
 新関西国際空港株式会社が、関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(以下〈12〉において、「設置管理法」という。)の施行の日(平成24年7月1日)から次に掲げる日のうちいずれか早い日までの間に、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(以下〈12〉において「航空機騒音障害防止法」という。)第9条第2項の規定により環境対策事業として同条第1項に規定する第二種区域に所在する土地の所有者からの申出に基づきその土地の買入れを行った場合には、その土地の所有権の移転の登記については、その買入れ後2年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さないこととされた(新措法82)。
① 平成26年3月31日
② 設置管理法第29条第2項に規定する空港運営権者が同条第1項に規定する特定空港運営事業に係る民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律第2条第7項に規定する公共施設等運営権について設定の登録をする日

2.適用関係  この特例の規定は、平成24年7月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(新措法82、改正法附則1二イ)。

〈13〉特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減措置の改正

1.改正の内容

 一戸建ての特定認定長期優良住宅に係る所有権の移転登記の軽減税率について1,000分の2(改正前:1,000分の1)に引き上げた上、適用期限が平成26年3月31日まで2年延長された。

2.適用関係  上記1の改正は、平成24年4月1日以後に取得をする特定認定長期優良住宅の所有権の移転登記に係る登録免許税について適用され、平成24年3月31日以前に取得をした特定認定長期優良住宅の所有権の移転登記に係る登録免許税については従前どおり(改正法附則42①)。

〈14〉マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等の免税措置の改正

1.改正の内容
 マンション建替事業に係る特例の適用要件について、施行再建マンションの住戸の規模及び構造が国土交通大臣の定める基準に適合するものとされるとともに(新措法76、新措令42の3①、平成24年3月国土交通省告示第395号)、適用期限が平成26年3月31日まで2年延長された。

2.適用関係  上記1の改正は、平成24年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1)。

〈15〉認定事業再構築計画等に基づき行う登記の税率の軽減措置の改正

1.改正の内容
 この特例の軽減税率について次のとおり引き上げた上、適用期限が平成26年3月31日まで2年延長された(新措法80①、81⑤)。
(1)分割による株式会社の設立又は資本金の額の増加の登記
 1,000分の5(改正前:1,000分の3.5)
(2)分割による法人の設立等の場合における次の登記
 ① 不動産の所有権の移転登記 1,000分の4(改正前:1,000分の2)
 ② 船舶の所有権の移転登記 1,000分の23(改正前:1,000分の12)

2.適用関係  上記1(1)の改正は、平成24年4月1日以後に産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の規定に基づく計画の認定がされる場合における登記に係る登録免許税について適用され、平成24年3月31日以前に認定がされた場合におけるこれらの登記に係る登録免許税については従前どおり(改正法附則1、42②)。
 また、上記1(2)の改正は、平成24年4月1日以後に新設分割又は吸収分割を行った場合における登記に係る登録免許税について適用され、平成24年3月31日以前に新設分割又は吸収分割を行った場合におけるこれらの登記に係る登録免許税については従前どおり(新措法81⑤、改正法附則1、42⑧)。

〈16〉預金保険法に規定する第1号措置を行うべき旨の内閣総理大臣の決定に基づく預金保険機構による金融機関の株式の引受け等に係る資本金の額の増加の登記の税率の軽減措置の改正

1.改正の内容

 この特例の対象に、銀行等が行う株式移転によりその銀行等の株式移転設立完全親会社となった株式会社が受ける設立の登記を追加した上、適用期限が平成26年3月31日まで2年延長された(新措法80②)。

2.適用関係  上記1の改正は、平成24年4月1日以後に内閣総理大臣の決定がされる場合における資本金の額の増加又は株式会社の設立の登記に係る登録免許税について適用され、平成24年3月31日以前に内閣総理大臣の決定がされた場合における資本金の額の増加の登記に係る登録免許税については従前どおり(改正法附則1、42③)。

〈17〉認定経営基盤強化計画等に基づき行う登記の税率の軽減措置の改正

1.改正の内容
 上記〈15〉と同様に、この特例の軽減税率について次のとおり引き上げた上、適用期限が平成26年3月31日まで2年延長された(新措法80の2①②、81⑤)。
(1)分割による株式会社の設立又は資本金の額の増加の登記
  1,000分の5(改正前:1,000分の3.5)
(2)分割による法人の設立等の場合における次の登記
① 不動産の所有権の移転登記 1,000分の4(改正前:1,000分の2)
② 抵当権の移転登記 1,000分の1(改正前:1,000分の0.6)

2.適用関係  上記1(1)の改正は、認定経営基盤強化計画又は経営強化計画若しくは変更後の経営強化計画が平成24年4月1日以後に提出される場合における登記に係る登録免許税について適用され、これらの計画が平成24年3月31日以前に提出された場合におけるこれらの登記に係る登録免許税については従前どおり(改正法附則1、42④)。
 また、上記1(2)の改正は、平成24年4月1日以後に新設分割又は吸収分割を行った場合における登記に係る登録免許税について適用され、平成24年3月31日以前に新設分割又は吸収分割を行った場合におけるこれらの登記に係る登録免許税については従前どおり(新措法81⑤、改正法附則1、42⑧)。

〈18〉会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等の税率の軽減措置の改正

1.改正の内容
(1)
株式会社が取得した不動産に関する権利の移転登記に係る軽減税率を次のとおり見直した上、適用期限が平成27年3月31日まで3年延長された(新措法81①)。


 なお、先取特権、質権又は抵当権の移転登記及び根抵当権の法人の分割による移転登記に係る軽減措置については、適用期限の到来をもって廃止された。
(2)仮登記がされている不動産について、その仮登記に基づき所有権、地上権、永小作権、賃借権又は採石権の移転の登記を受ける場合に控除する割合を次のとおり見直した上、適用期限が平成27年3月31日まで3年延長された(新措法81③)。
① 不動産の所有権の移転登記 イ 平成26年3月31日までの分割に係るもの 1,000分の7.5
ロ 平成27年3月31日までの分割に係るもの 1,000分の9
② 不動産の地上権、永小作権、賃借権又は採石権の移転登記 イ 平成26年3月31日までの分割に係るもの 1,000分の3.75
ロ 平成27年3月31日までの分割に係るもの 1,000分の4.5
(3)租税特別措置法第81条第4項の規定について、適用期限が平成27年3月31日まで3年延長された(新措法81④)。

2.適用関係  上記1の改正は、平成24年4月1日以後に新設分割又は吸収分割により不動産に関する権利を取得する場合の登記又は仮登記に係る登録免許税について適用され、平成24年3月31日までに新設分割又は吸収分割により不動産に関する権利を取得した場合の登記又は仮登記に係る登録免許税は従前どおり(改正法附則1、42⑤~⑦)。

〈19〉国際船舶の所有権の保存登記等の税率の軽減措置の改正

1.改正の内容
 軽減税率を1,000分の3.5(改正前:1,000分の3)に引き上げた上、適用期限が平成26年3月31日まで2年延長された(新措法82の2①②)。

2.適用関係  上記1の改正は、平成24年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1)。

〈20〉認定民間都市再生事業計画に基づき建築物を建築した場合の所有権の保存登記の税率の軽減措置の改正

1.改正の内容
 特定都市再生の特例(措法83②)の対象となる認定民間都市再生事業計画に、都市再生特別措置法の規定により民間都市再生事業計画の認定があったものとみなされる場合における整備計画を追加することとされた(新措法83②)。

2.適用関係  上記1の改正は、平成24年4月1日以後に国土交通大臣の認定を受ける場合における建築物の所有権の保存登記に係る登録免許税について適用され、平成24年3月31日以前に国土交通大臣の認定を受けた場合の建築物の所有権の保存登記に係る登録免許税については従前どおり(改正法附則42⑨)。

〈21〉租税特別措置等の廃止
 次の特例措置については、適用期限の到来等をもって廃止された。
1 関西国際空港株式会社等の登記の税率の軽減措置(旧措法82)
2 帝都高速度交通営団が行う出資に係る財産の給付に伴い東京地下鉄株式会社が受ける登記又は登録に係る登録免許税の免税措置(旧措法84の3②)
3 旧自作農創設特別措置法等に基づく売渡し等に係る土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置(農地法施行法22②)

〈22〉東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の改正

1.改正の内容
(1)非課税限度額の引上げ等
 非課税限度額(改正前:1,000万円)について、被災受贈者が住宅取得等資金を充てて新築若しくは取得又は増改築等をした次に掲げる住宅用の家屋の区分に応じ、それぞれに定める金額とされた(新震災税特法38の2①、②六)。
① 省エネ住宅又は耐震住宅 1,500万円
② ①に掲げる住宅以外の住宅 1,000万円
(注1)「省エネ住宅又は耐震住宅」とは、エネルギーの使用の合理化に著しく資する住宅用の家屋又は大規模な地震に対する安全性を有する住宅用の家屋として国土交通大臣が財務大臣と協議して定める基準に適合するものをいい(新震災税特令29の2⑥)、具体的には、次のとおりとされている(平成24年3月国土交通省告示第392号)。
 ① 省エネ住宅  イ 住宅用家屋の新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得の場合
    評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号)第5の5の5-1(3)(省エネルギー対策等級)の等級4の基準に適合する住宅
 ロ 既存住宅用家屋の取得又は増改築等の場合
   評価方法基準第5の5の5-1(3)の等級4の基準に適合する住宅用の家屋と同程度にエネルギーの使用の合理化に著しく資すると認められる住宅
 ② 耐震住宅  イ 住宅用家屋の新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得の場合
  評価方法基準第5の1の1-1(3)(耐震等級)の等級2若しくは等級3の基準又は評価方法基準第5の1の1-3(3)の免震建築物の基準に適合する住宅
 ロ 既存住宅用家屋の取得又は増改築等の場合
  評価方法基準第5の1の1-1(4)の等級2若しくは等級3の基準又は評価方法基準5の1の1-3(4)の免震建築物の基準に適合する住宅
  なお、贈与税の申告の際には、建設住宅性能評価書の写しなど、住宅用の家屋が省エネ住宅又は耐震住宅に該当する旨を証する書類を贈与税の申告書に添付することとされている(新震災税特規14の2⑦、平成24年3月国土交通省告示第393号)。
(注2)上記の改正に伴い、この特例の対象となる増改築等の範囲に、省エネ住宅又は耐震住宅に適合させるための修繕又は模様替が追加された(新震災税特令29の2③五)。
(2)適用期間の延長  適用期間が平成24年1月1日から平成26年12月31日まで(改正前:平成23年3月11日から平成25年12月31日まで)とされた(新震災税特法38の2①)。
(参考)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置(措法70の2)についても同様の改正がされたが、非課税限度額については以下のように逓減することに加え、対象となる住宅用家屋の床面積については240㎡という上限が設けられている。


2.適用関係  改正後のこの特例の規定は、平成24年1月1日以後に贈与により取得をする住宅取得等資金に係る贈与税について適用される(改正法附則66①)。
 なお、平成24年1月1日前に贈与により取得をした住宅取得等資金について、改正前のこの特例の適用を受けた被災受贈者が同日以後に贈与により取得をした住宅取得等資金については、改正前のこの特例の規定は、なおその効力を有する(改正法附則66②)。

〈23〉信託会社等が地方公共団体との信託契約に基づき建築する特定施設に係る土地等の所有権の信託登記の免税措置の創設

1.制度の内容
 信託会社等(投資信託及び投資法人に関する法律第3条に規定する信託会社等をいう。以下〈23〉において同じ。)が、平成24年4月1日から平成28年3月31日までの間に、特定地方公共団体との信託契約(次に掲げる事項を内容とするものに限る。)に基づき一定の建築物(公共施設その他の公益的施設と一体となった一定の施設であって、その信託契約において一定の事項が定められているものに限る。以下〈23〉において「特定施設」という。)の建築をする場合には、その特定施設及びその特定施設の敷地の用に供される土地の所有権の信託の登記については、上記の期間内に受けるものに限り、登録免許税を課さないこととされた(新震災税特法40の5本文)。ただし、その登記に係る登録免許税の額のうち、特定施設中に公用又は公共の用に供される部分以外の部分がある場合におけるその部分に対応する登録免許税の額については、免税とならない(新震災税特法40の5ただし書)。
(1)その特定地方公共団体を委託者とし、その信託会社等を受託者とすること。
(2)その信託契約の締結後速やかに、その特定地方公共団体の所有する土地の所有権がその信託会社等に移転し、その土地の所有権の信託の登記を行うこと。
(3)その特定地方公共団体が所有する土地が、その信託契約に基づく信託財産となること。
(4)(3)の土地の上にその特定施設の建築をすることを信託の目的の全部又は一部とすること。
(5)その土地について所有権の信託がなされた後速やかにその特定施設の建築に係る工事に着手すること。
(6)その特定施設の建築に係る工事の完了後速やかに、その特定施設のその特定地方公共団体への引渡し又は所有権の信託の登記を行うこと。
(注1)「特定地方公共団体」とは、東日本大震災により相当な損害を受けた地域の地方公共団体をいい、具体的には、震災税特法第34条第1項に規定する指定地域内の以下の県及び市町村が該当する(新震災税特規16の5①)。
 ① 対象となる県
  青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県
 ② 対象となる市町村
  青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉各県内の全市町村、埼玉県加須市、埼玉県久喜市、新潟県十日町市、新潟県中魚沼郡津南町、長野県下水内郡栄村
(注2)「一定の施設」とは、公共施設その他の公益的施設と一体となった建築物であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう(新震災税特令31の5①)。
 ① その建築物中公用又は公共の用に供される部分の床面積の合計が、その建築物の床面積の合計の2分の1未満であること。
 ② その建築物中公用又は公共の用に供される部分の整備に要する費用の額の合計額が、その建築物の整備に要する費用の合計額の2分の1未満であること。
(注3)「一定の事項」とは、公共施設その他の公益的施設と一体となった施設に係る次に掲げる事項をいう(新震災税特規16の5②)。
 ① その施設の用途、その用途の公用又は公共の用の別並びにその用途別の床面積及びその整備に要する費用の額
 ② その施設の規模、構造及び所在地
 ③ その施設の建築工事の完了及び引渡しの予定年月日

2.適用関係  この特例の規定は、平成24年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(新震災税特法40の5、改正法附則1)

〈24〉株式会社商工組合中央金庫が受ける抵当権の設定登記等の税率の特例に係る適用期間の延長の特例の創設

1.制度の内容
 平成24年度税制改正では、株式会社商工組合中央金庫の行う業務のうち、東日本大震災の被災者を対象として行われるものに係る抵当権の設定の登記又は登録については、軽減税率の適用期限を3年間延長することとされた(新震災税特法41の4)。

2.適用関係  この特例の規定は、平成25年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(新震災税特法41の4、改正法附則1)。

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