税務ニュース2010年06月14日 最高裁、年金払生命保険の二重課税取消請求事案で口頭弁論を開催(2010年6月14日号・№358) 上告人側、総額主義の観点は「二律背反」と反論
最高裁、年金払生命保険の二重課税取消請求事案で口頭弁論を開催
上告人側、総額主義の観点は「二律背反」と反論
最高裁判所第三小法廷(那須弘平裁判長)は6月8日、年金払生命保険の受取時に雑所得として所得税課税を受けたこと(所得税更正処分)の取消しを求めていた上告受理事案について、口頭弁論を開催した。
口頭弁論で上告人側は、本件年金への所得税課税は二重課税であると主張し、また、総額主義の主張に対しては、「二律背反」であると反論した模様だ。
判決の言渡し期日は、7月6日の予定。
一審、二重課税は明らかと判示 本事案の主たる争点は、相続税の課税対象となった年金払い生命保険金の受取時に、所得税課税が行われることの是非。
第一審の長崎地裁は、受給権が年金の形で受け取る権利であるとしても、実質的にみて相続によって取得したものと同視すべき関係にあり、相法3条1項1号に規定する「保険金」に当たると指摘。
相続税法による年金受給権の評価は、将来にわたって受け取る各年金の当該取得時における経済的な利益を現価に引き直したものであり、これに対して相続税を課税したうえ、さらに個々の年金に所得税を課税することは、実質的・経済的には同一の資産に関して二重に課税するものであることは明らかだとして、所得税の更正処分を取り消した。
控訴審、非課税所得に該当せず
一方、控訴審の福岡高裁は、本件年金は、本件年金受給権に基づいて発生する支分権に基づいて受け取った最初の現金というべきであり、そうすると本件年金受給権とは法的に異なるものであり、Aの死亡後に支分権に基づいて発生したものであるから、相法3条1項1号の「保険金」に該当せず、所法9条1項15号所定の非課税所得に該当しないと指摘。
本件年金に係る所得は所得税の対象となるものと判示し、原判決を取り消している。
非課税所得に当たるとしても源泉徴収自体が誤り…… 上告審における口頭弁論で、上告人(納税者)側は、相続税と所得税の課税対象は異ならないなどとし、本件年金への二重課税を主張した模様だ。
また、本事案では、総額主義の観点からの問題も存する。これは、仮に本件年金に係る所得が非課税所得に当たるとしても、そもそも源泉徴収自体が誤りであったことになり、源泉徴収税額の還付を受けることができず、総額主義の観点から本件処分は適法であるというもの。
口頭弁論において上告人側は、この総額主義の点に対し、「二律背反」と反論したようだ。
上告人側、総額主義の観点は「二律背反」と反論
最高裁判所第三小法廷(那須弘平裁判長)は6月8日、年金払生命保険の受取時に雑所得として所得税課税を受けたこと(所得税更正処分)の取消しを求めていた上告受理事案について、口頭弁論を開催した。
口頭弁論で上告人側は、本件年金への所得税課税は二重課税であると主張し、また、総額主義の主張に対しては、「二律背反」であると反論した模様だ。
判決の言渡し期日は、7月6日の予定。
一審、二重課税は明らかと判示 本事案の主たる争点は、相続税の課税対象となった年金払い生命保険金の受取時に、所得税課税が行われることの是非。
第一審の長崎地裁は、受給権が年金の形で受け取る権利であるとしても、実質的にみて相続によって取得したものと同視すべき関係にあり、相法3条1項1号に規定する「保険金」に当たると指摘。
相続税法による年金受給権の評価は、将来にわたって受け取る各年金の当該取得時における経済的な利益を現価に引き直したものであり、これに対して相続税を課税したうえ、さらに個々の年金に所得税を課税することは、実質的・経済的には同一の資産に関して二重に課税するものであることは明らかだとして、所得税の更正処分を取り消した。
控訴審、非課税所得に該当せず
一方、控訴審の福岡高裁は、本件年金は、本件年金受給権に基づいて発生する支分権に基づいて受け取った最初の現金というべきであり、そうすると本件年金受給権とは法的に異なるものであり、Aの死亡後に支分権に基づいて発生したものであるから、相法3条1項1号の「保険金」に該当せず、所法9条1項15号所定の非課税所得に該当しないと指摘。
本件年金に係る所得は所得税の対象となるものと判示し、原判決を取り消している。
非課税所得に当たるとしても源泉徴収自体が誤り…… 上告審における口頭弁論で、上告人(納税者)側は、相続税と所得税の課税対象は異ならないなどとし、本件年金への二重課税を主張した模様だ。
また、本事案では、総額主義の観点からの問題も存する。これは、仮に本件年金に係る所得が非課税所得に当たるとしても、そもそも源泉徴収自体が誤りであったことになり、源泉徴収税額の還付を受けることができず、総額主義の観点から本件処分は適法であるというもの。
口頭弁論において上告人側は、この総額主義の点に対し、「二律背反」と反論したようだ。
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