税務ニュース2014年09月29日 共同名義の海外預金口座は相続財産か?(2014年9月29日号・№564) 日本の相続税が課税され得るとしても“私法上の相続財産”を構成せず

共同名義の海外預金口座は相続財産か?
日本の相続税が課税され得るとしても“私法上の相続財産”を構成せず

米国ハワイ州の共同名義預金をめぐり、生存名義人(被告)に相続分相当額の支払いを請求していた相続人である子(原告)が敗訴。
死亡名義人の預金は生存名義人に自動的に移転。相続財産を構成しないため、遺産分割の対象外。
死因贈与として生存名義人に日本の相続税が課税され得るとしても“私法上の相続財産”を構成せず。
 本件で問題となった共同名義預金(ジョイント・アカウント)とは、2名以上の名義人で開設する預金口座のこと。日本の法制度上は認められていないが、欧米では、一般的に夫婦や親子が生活費などを共有するために開設するケースが多いようだ。
 本件は、この共同名義預金(ハワイの銀行で被相続人が配偶者と共同の名義で開設したもの)をめぐり、生存名義人である被告(配偶者)に対して、原告(子)が相続分相当額の支払いを請求した訴訟である。
 裁判で争点となったのは、共同名義預金が被相続人の“私法上の相続財産”を構成するか否かという点だ。原告の訴えに対し被告は、共同名義預金は相続財産を構成しないため原告が相続することはない旨を主張した。
 この点、裁判所は、ハワイの銀行との本件預金契約では、預金口座は預金口座の所在地(ハワイ)の法律により規律されるとの定めがあるため、共同名義預金が相続の客体となり得るか否かはハワイ州法によって判断すべきと指摘。ハワイ州法では共同名義人の一人の死亡により生存名義人が自動的に死亡名義人の財産を所有するとされていることなどを踏まえると、共同名義預金は相続の客体とはなり得ないから、被相続人の相続財産を構成しないと判断した。
 また、日本の課税実務上、生存名義人が死因贈与により共同名義預金を取得したと評価することがあり得るとしても、私法上の相続財産を構成しないとの判断を左右するものではないと指摘。相続分相当額の支払いを求めた原告の請求を棄却した(東京地裁平成26年7月8日判決)。

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