税務ニュース2019年05月20日 米国に組成のキャプティブに合算課税(2019年5月20日号・№787) 「課税されない所得」が、租税負担割合の計算上「非課税所得」に
米国に組成のキャプティブに合算課税
「課税されない所得」が、租税負担割合の計算上「非課税所得」に
キャプティブ保険(自家保険)とは、自社(自社グループ)のリスクを専門に引き受ける保険であり、「キャプティブ保険子会社」(以下、キャプティブ子会社)の設立を伴う。ただ、日本の法制上は国内にキャプティブ子会社を設立することは困難であり、海外保険会社と直接保険契約を締結することもできない。また、専門的な保険業務を自前で担うことは現実的ではない。そこで、一旦は国内保険会社に保険料を支払ってリスクを移転した上で、海外に設立したキャプティブ子会社に当該国内保険会社が保険料を支払ってリスクを移転する仕組み(再保険)がとられるのが通常だ。
日本企業がキャプティブ子会社を設立することが多い米国の税法には、小規模キャプティブ子会社は、通常の所得全体に対する課税に代えて、一定の条件の下で「課税投資所得」のみに課税する優遇措置があるが、これを利用して米国に組成されたキャプティブ子会社を巡り、CFC税制により更正処分を受ける事例が発生していたことが判明した。本事例は国税不服審判へと進んだが、審判所も更正処分を支持する判断を下している。
「課税投資所得」とは投資性の所得のみを指しており、それ以外の所得(保険料収入)は米国では課税されない。本事例の場合、租税負担割合が20%未満になることから、CFC税制上、合算所得があるとして更正処分を受けるに至った。ポイントは、「米国で課税されない所得」が、租税負担割合の計算上、分母に加算される「非課税所得」に該当すると判断された点。納税者は累進税率の規定の適用や、課税投資所得以外の所得も課税標準になっているとの主張を展開したがともに認められなかった。
キャプティブ保険には、一旦は国内保険会社に支払った保険料の一部を、国内保険会社から再保険料として再度自社グループに取り込めるなどのメリットがあるが、平成31年度税制改正におけるCFC税制の見直しにより、キャプティブ子会社を事実上のキャッシュボックスに加える改正が行われるなど、近年はキャプティブ子会社に対する課税当局の対応が厳しくなっており、本事例はその証左と言えそうだ。
「課税されない所得」が、租税負担割合の計算上「非課税所得」に
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日本企業がキャプティブ子会社を設立することが多い米国の税法には、小規模キャプティブ子会社は、通常の所得全体に対する課税に代えて、一定の条件の下で「課税投資所得」のみに課税する優遇措置があるが、これを利用して米国に組成されたキャプティブ子会社を巡り、CFC税制により更正処分を受ける事例が発生していたことが判明した。本事例は国税不服審判へと進んだが、審判所も更正処分を支持する判断を下している。
「課税投資所得」とは投資性の所得のみを指しており、それ以外の所得(保険料収入)は米国では課税されない。本事例の場合、租税負担割合が20%未満になることから、CFC税制上、合算所得があるとして更正処分を受けるに至った。ポイントは、「米国で課税されない所得」が、租税負担割合の計算上、分母に加算される「非課税所得」に該当すると判断された点。納税者は累進税率の規定の適用や、課税投資所得以外の所得も課税標準になっているとの主張を展開したがともに認められなかった。
キャプティブ保険には、一旦は国内保険会社に支払った保険料の一部を、国内保険会社から再保険料として再度自社グループに取り込めるなどのメリットがあるが、平成31年度税制改正におけるCFC税制の見直しにより、キャプティブ子会社を事実上のキャッシュボックスに加える改正が行われるなど、近年はキャプティブ子会社に対する課税当局の対応が厳しくなっており、本事例はその証左と言えそうだ。
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