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会社法ニュース2003年11月03日 会社法制の現代化に関する要綱試案、まとまる 会社法ビッグバンが始動!

会社法制の現代化に関する要綱試案、まとまる
会社法ビッグバンが始動!



法制審議会会社法部会は10月22日、要綱試案を取りまとめた。公表は10月29日の予定。約2ヶ月にわたりパブリック・コメントを募集した後、平成17年の改正に向け準備作業に入ることとなる。

ことばの現代化と内容の現代化
 改正のポイントは大別して「ことばの現代化」と「内容の現代化」の2点にある。「ことばの現代化」とは、現在片仮名文語体で表記されている商法第2編と有限会社法を平仮名口語体に改めるというもの。その際に、商法第2編、有限会社法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律は会社法(仮称)として一体化することが予定されている。また、「内容の現代化」とは、社会情勢の変化に応じて制度の見直しを図るというもの。見直しの対象は会社法制の全範囲にわたっている。会社法制の外観から細部に至るまで大規模な改正が加えられることとなり、まさに会社法ビッグバンといった様相といえる。

株式会社・有限会社の一体化
 要綱試案によると、株式会社と有限会社は一つの会社類型として規律する方向で検討されている。また、譲渡制限会社においては現行の有限会社型の機関設計の選択的採用を認める案が提案されている。現行の有限会社型の機関設計とは、法定機関としての取締役会がなく、取締役も一人で十分(現行の株式会社は3人以上:商法255条)で任期規制もない(現行の株式会社は2年:商法256条1項)といったこと等を想定している。大規模で多数の資本を結集することを予定している株式会社に求められる各種規制の多くは、非公開会社の大半を占めている譲渡制限会社においては過度の規制となっており、実態に即した柔軟な機関設計を認める改正案といえる。
 最低資本金制度(現行の株式会社は1千万円、有限会社は300万円)については、①300万円、②300万円より更に引き下げた額、③規制なしといった3案が予定されている。平成2年の最低資本金引き上げから10年と少ししか経過しておらず、今年の2月には「中小企業挑戦支援法」により資本金が1円の株式会社の設立が可能となった(ただし5年間以内に資本金を1千万円以上に増資し届出をしなければ株式会社として存続できない)ばかり。制度改正の早さにはめまぐるしいものを感じる。

取締役の責任の軽減化
 取締役の責任に関しては、委員会等設置会社以外の株式会社における任務懈怠責任(商法266条1項5号)について、266条2項(当該行為が取締役会の決議に基づきなされた場合、その決議に賛成した取締役はその行為をしたものとみなす)・3項(2項の決議に参加した取締役で議事録に異議を留めなかった者はその決議に賛成したものと推定する)に相当する規定は設けないものとする提案がされている。また、委員会等設置会社以外の株式会社では無過失責任と解されている違法配当に関する責任、利益相反取引に関する責任、さらには株主の権利行使に関する利益供与に係る責任について過失責任化が検討されている。過酷と評されてきた取締役の責任であるが、過失責任主義の原則に戻ることとなる。いずれの提案も、すでに委員会等設置会社において先鞭がつけられていた内容の改正といえる。
 また、濫訴が問題視されている代表訴訟については訴訟委員会制度(同委員会が取締役の責任を追及しない旨の判断をしたときには裁判所がその判断を一定の限度で尊重する制度)を導入するとともに、原告適格を「訴訟の原因となった行為の時点での株主」に絞る(現行は「六月前ヨリ引続キ株式ヲ有スル株主」:商法267条1項)ことが提案されている。無過失責任の過失責任化とあいまって、取締役にとっては福音といえよう。

産業再生法が先行
 吸収合併等の際に消滅会社の株主に対して存続会社の株式ではなく、金銭その他の財産を交付することを可能とする(いわゆる現金合併や三角合併)といった提案がされている。また、簡易組織再編行為の要件の基準の緩和、略式組織再編行為といった提案もされている。そもそも、これらの提案は今年4月に改正された産業活力再生特別措置法(産業再生法)と同じもの。同法が、商法改正の先取りとなっていることが改めて確認された。

会計監査人の観点から見ると・・・
 会計監査人(公認会計士又は監査法人)にとっては、大規模有限会社の会計監査人の設置強制、任意設置会社における機関設計や随時配当の特典、会計監査人の氏名(名称)の登記事項化といった提案は職域拡大につながるといえる。しかし、一方で株主代表訴訟の対象に会計監査人が加えられるとともに、完全子会社の会計監査人の設置任意化(本誌10月27日号の10頁参照)といった案もある。また、会計監査人の設置強制の範囲の見直しについては税理士側からの要望も出されており、波乱含みの展開が予想される。

数案併記の提案も
 その他、前号でもお伝えした新たな会社類型(LLC)の創設(10月27日号の12頁、10月20日号の42頁)やDESの検査役調査不要化、現物配当等実務家にとっては見逃せない改正も多数提案されている。
 なお、提案の中には、前述の最低資本金制度のほか、20条の見直し(3案併記)、会計監査人が設置される場合の機関設計(3案併記)、株主からの配当議題提案権(4案併記)、決算公告の扱い(5案併記)等のように、会社法部会において一つの案にまとめることができず、数案が併記されるかたちで提案されているものもある。これらについてはパブリック・コメントの内容に左右される可能性もあり、結論は流動的といえる。

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