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会計ニュース2002年12月20日 会計士協会・特別目的会社に関する調査結果まとめる SPC開示の統一した開示基準の設定が必要

 日本公認会計士協会はこのほど、特別目的会社(SPC)に関する調査結果をとりまとめた。新聞で報道されたSPCを利用していると思われる会社について、その利用目的やSPCに関連する会計処理及び監査の実施状況を調査したもの。それによると、今回の調査では、明らかに経済合理性のない異常なSPCの利用方法はなく、また会計処理も特に問題は見受けられなかったとしている。ただし、財務諸表利用者に有用な情報を与える目的から、今後、SPCに関する開示を充実する必要があると指摘している。
目的は債権の流動化が多数
 米国のエンロン事件では、本来連結すべきであった特別目的会社を意図的に連結除外し、多額の負債や損失を簿外処理したことが指摘されている。このため、日本公認会計士協会では、これを契機に特別目的会社の会計処理に問題がないか調査を行ったもの。調査対象は、新聞で報道されたSPCを利用していると思われる会社127社のうち該当がないとの回答があった11社を除く116社。このうち、105社(回答率91%)から回答を得ている。
 同協会が回答のあった105社が利用しているSPC延べ505社について分析したところでは、SPCを利用する目的で多いのが、債権の流動化(24%)、レバレジッドリース121件(24%)、不動産の流動化67件(13%)である。一般事業法人では、債権及び不動産の流動化目的が多い。これは、資金調達あるいは開発事業の際に資産のオフバランスができるメリットがあると分析している。
支配力基準に基づかない連結範囲の決定基準が必要
 投資の会計処理についてみてみると、連結(27社)及び持分法(3社)を適用しているケースは少なく、原価法が251社と多い。SPC法に基づいて設立されたSPCは財務諸表等規則上連結除外とされている他、それ以外のSPCも通常は倒産隔離となるように設立されることが理由に挙げられている。連結の範囲については、実質支配力基準が適用されるが、SPC法に基づかず任意に設立されたSPCでは、意思決定機関にその能力がない場合に支配力基準を適用するのは難しい。このため,支配力に基づかない連結範囲の決定基準を検討する必要があると述べている。
 また、連結又は持分法を適用していない場合の会計処理では、債権又は不動産の売却処理112件(24%)、その他196件(41%)となっているが、今回のアンケートでは、十分な分析は行うことができなかったとしている。
 なお、監査を受けているSPCは148社(29%)あり、予想に反して多い結果が出ている。
SPCの取引内容などを開示
 開示については、会社ごとに大きな差異があることを指摘している。例えば、有価証券報告書に業績等の概要や注記事項又は設備の状況等において詳細に記載している会社がある他、流動化による影響に重要性があるにもかかわらず、何ら開示を行っていない会社も存在する。
 このため、SPCの開示については、統一した開示基準の設定等を検討する必要があると指摘しており、具体的には、①SPCの概要、②SPC設立の目的、③SPCとの取引の内容、④前述の取引がオリジネーターの財務諸表に与える影響、⑤関連当事者に関する開示と同様の情報-を挙げている。

http://www.jicpa.or.jp/about_the_jicpa/jicpa-topics/20021219-press-spc.html

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