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解説記事2021年01月11日 SCOPE グループ通算制度の税効果、表示も連結納税制度と同様(2021年1月11日号・№865)

ASBJ、グループ通算制度の適用の有無を注記へ
グループ通算制度の税効果、表示も連結納税制度と同様


 企業会計基準委員会(ASBJ)では、現在、グループ通算制度を適用する場合の税効果会計に関する検討を行っているが、表示については連結納税制度の取扱いを踏襲する方向だ。また、注記に関しては税効果会計基準に従うほか、グループ通算制度の適用の有無について注記することとしている。なお、保証債務に関しては連結納税制度とは異なり、各社の実態に応じて注記の要否を判断することが適当との方向で検討が進められている。

繰延税金資産と繰延税金負債は相殺して表示

 企業会計基準委員会では、現在、グループ通算制度を適用する場合の税効果会計に関する検討を行っているが、表示については、①連結財務諸表において、通算グループ内の各法人で生じた繰延税金資産及び繰延税金負債を相殺して表示するか否か、②個別財務諸表において、税金費用に含めることとした通算税効果額を法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)を表示した科目(法人税等会計基準第9項)に含めて表示するか否か、③個別財務諸表において、通算税効果額に係る債権・債務について、法人税、住民税及び事業税等のうち納付されていない税額を表示した科目(法人税等会計基準第11項)又は、還付税額のうち受領されていない税額を表示した科目(法人税等会計基準第12項)に含めて表示するか否かが論点となっている。
 まず、連結財務諸表における繰延税金資産及び繰延税金負債の相殺表示に関しては、グループ通算制度においては、「通算グループ内のすべての納税主体を1つに束ねた単位」で税効果会計を適用することとしている。このため、通算グループ全体で一時差異等が生じていると捉えて税効果会計を適用することから、連結納税制度の取扱いと同様に、各社で計上した法人税及び地方法人税に係る繰延税金資産と繰延税金負債は、相殺して表示する方向だ。繰延税金資産と繰延税金負債は、将来の税金(課税所得)を減額又は増額するものであり、各社の一時差異が解消された結果の課税所得や欠損金を損益通算等によって相殺することから、各社の繰延税金資産と繰延税金負債は、通算グループ全体の将来の課税所得を減額又は増額する効果を有するといえ、このような効果を総額ではなく、純額で表すことが考えられるためであるとしている。
「法人税、住民税及び事業税」に含めて表示
 また、個別財務諸表における通算税効果額の表示については、グループ通算制度においても、通算税効果額を利益に関連する金額を課税標準とする税金とみなして税金費用に含めることとしているため、連結納税制度と同様に、「法人税、住民税及び事業税」に含めて表示することが適当としている。
「未払法人税等」に含めず
 個別財務諸表における通算税効果額に関する債権・債務の表示に関しては、グループ通算制度においても、通算税効果額を利益に関連する金額を課税標準とする税金とみなしたとしても通算税効果額に係る債権・債務は通算グループ内の他の会社に対するものであるため、連結納税制度における取扱いと同じく、「未払法人税等」に含めず、他の通算グループ内の他の会社に対する債権・債務と同様に表示することが適当としている。

グループ通算制度も税効果会計基準に従い注記

 注記に関しては、グループ通算制度においても税効果会計基準第四と同様の記載が求められる(参照)。なお、連結納税制度では、の①及び②の注記に関しては税金の種類ごとに注記する必要はないものの、税金の種類ごとに繰延税金資産の回収可能性が異なる場合には、税金の種類を示して注記することが望ましいとされている。グループ通算制度においては、繰延税金資産の回収可能性の判断にあたり将来の通算税効果額の影響を考慮することとしているが、当該影響は法人税及び地方法人税のみで生じ、住民税及び事業税(所得割)では影響が生じないため、税金の種類ごとに繰延税金資産の回収可能性が異なる場合があるとし、連結納税制度と同様に税金の種類を示しての注記が適切としている。

【表】税効果会計基準第四 注記事項

① 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生原因別の主な内訳
② 税引前当期純利益又は税金等調整前当期純利益に対する法人税等(法人税等調整額を含む)の比率と
法定実効税率との間に重要な差異があるときは、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳
③ 税率の変更により繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が修正されたときは、その旨及び修正額
④ 決算日後に税率の変更があった場合には、その内容及びその影響

 また、グループ通算制度特有の注記としては、グループ通算制度の適用の有無は会計方針の選択には該当しないため、同制度を適用したこと(取りやめたこと)及び適用していることについて、重要性が乏しい場合を除き、税効果会計の注記又は追加情報として記載することが適切であるとしている。
保証債務の注記は連結納税制度と異なる
 そのほか、保証債務に関しては連結納税制度と異なる方向で検討が行われている。連結納税制度の場合、連結納税子会社は連帯納付義務を負っているため、連結納税子会社の財務諸表において、偶発債務として注記が必要となる場合があると考えられるが、通常、連結納税子会社が連帯納付義務を履行する可能性は極めて低いと考えられるため、そのような場合には注記の必要はないものとしている。
 しかし、グループ通算制度においては、各会社が連帯納付義務を負っているのは連結納税制度と同様だが、債務者が親会社であるとは限らず、通算グループ内の他の子会社が債務者となることもあり得ることから、履行する可能性は極めて低いとまでは言えない可能性があると指摘。連結納税制度の取扱いとは異なり、各社の実態に応じて注記の要否を判断することが適当としている。

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