税務ニュース2021年01月29日 電子取引データの紙保存移行封じ込め(2021年2月1日号・№868) 改正検索要件満たせなければ紙保存も不可 一部事業者には高いハードル
電子帳簿保存法は、大きく分けて、国税関係帳簿書類の電磁的保存(電帳法4条①②)、国税関係書類のスキャナ保存(電帳法4条③)、電子取引のデータ保存(電帳法10条)から構成されるが、令和3年度税制改正ではいずれの類型においても検索要件が見直される。この結果、検索項目は「取引等の年月日」、「取引金額」及び「取引先」に限定されるとともに、税務調査において電磁的記録のダウンロードの求めに応じる場合には、範囲指定及び項目を組み合わせて設定できる検索機能の確保が不要となる。
今回の電子帳簿保存法上の検索要件の見直しは基本的には「規制緩和」と位置付けられるが、その一方で制度の「適正化」も図られる。具体的には、上記3つの類型のうち「電子取引のデータ保存」制度については、従来は申告所得税、法人税について、検索要件を含む諸要件が満たせない場合には、そのデータの出力書面をもって電子取引データに代えることができるとされていたが(電帳法10条)、今回の改正でこの措置が廃止される(与党版令和3年度税制改正大綱120ページ②ロ)。
すなわち、改正後は、「電子取引を行ったとしても、電子データ保存の要件を満たせなければ紙保存に逃げることができる」という代替手段が完全に封じられるということである。その上で、電子データ保存の要件を満たせなければ、災害その他やむを得ない事情がない限り、その電子データは国税関係書類等として扱われないこととなる(与党版令和3年度税制改正大綱120ページ②ハ)。
言い換えれば、電子データ保存をする以上、検索要件については、改正後は少なくとも日付、金額、取引先に基づいた検索が「できなければならない」ということだ。こうした中、この部分の改正は事業者によっては少々ハードルが高いのではないかとの指摘も出始めている。
なお、消費税については、消費税法上、仕入税額控除の要件として請求書等の保存が必要であると明記されているため(消法30条⑦)、この改正の対象から除かれる(改正前から変更なし)。
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