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解説記事2019年10月21日 税務マエストロ 軽減税率制度(9)(2019年10月21日号・№808)

税務マエストロ
軽減税率制度(9)
#238
 熊王征秀(税理士)


略歴学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。現在東京税理士会会員相談室委員東京税理士会調査研究部委員東京地方税理士会税法研究所研究員日本税務会計学会委員大原大学院大学教授

※取り上げて欲しいテーマを編集部にお寄せください。ta@lotus21.co.jp

マエストロの解説
 今月は、カラオケボックスや映画館など、営業形態別に留意すべき適用税率の取扱いについて確認する。また、軽減税率が適用される「飲食料品の譲渡」について、前月号までに確認していない国税庁のQ&Aをまとめて解説する。

1 車内サービス
 列車内に設置されている食堂車両での飲食料品の提供は「外食」に該当し、標準税率の適用になる。
 他方、旅客列車の施設内に設置された売店や、移動ワゴンなどによる弁当や飲物などの販売は「外食」とは異なるものであり、軽減税率を適用することができる(Q&A(個別事例編)問69)。
 ただし、座席に設置されたメニューにより飲食料品を注文する場合又は予約した座席で飲食する場合には、たとえ移動ワゴン車から飲食料品の提供を受ける場合であっても軽減税率を適用することはできない。

2 カラオケボックス・映画館
 カラオケボックスに飲食メニューを設置し、顧客の注文に応じて飲食料品をボックス内で提供するサービスは、飲食設備がある場所での飲食料品の提供に該当し、標準税率の適用になる(Q&A(個別事例編)問70)。
 また、映画館の売店における飲食料品の提供は〔図表1〕のように取り扱うこととされている(Q&A(個別事例編)問71)。

参考:〜消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)より(車内サービス)

(旅客列車の食堂車での食事、移動ワゴン販売の飲食料品の販売)
 列車内食堂施設で行われる飲食料品の提供は、軽減税率の適用対象となりますか。また、列車内の移動ワゴンによる弁当や飲料の販売は、軽減税率の適用対象となりますか(問69)。
 軽減税率の適用対象とならない「食事の提供」とは、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。
 列車内の食堂施設において行われる飲食料品の提供は、これに該当し、軽減税率の適用対象となりません(改正法附則34①一イ、 軽減通達10(5))。
 他方、旅客列車の施設内に設置された売店や移動ワゴン等による弁当や飲み物等の販売は、例えば、その施設内の座席等で飲食させるために提供していると認められる次のような飲食料品の提供を除き、軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」に該当します(軽減通達10(注)2)。
① 座席等で飲食させるための飲食メニューを座席等に設置して、顧客の注文に応じてその座席等で行う食事の提供
② 座席等で飲食するため事前に予約を取って行う食事の提供
 したがって、列車内の移動ワゴンによる弁当や飲料の販売は、①又は②に該当する場合を除き、軽減税率の適用対象となります。

参考:〜消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)より(カラオケボックス・映画館)

(カラオケボックスでの飲食料品の提供)
 カラオケボックスの客室内で飲食メニューを設置し、顧客の注文に応じて飲食料品を提供していますが、軽減税率の適用対象となりますか(問70)。
 軽減税率の適用対象とならない「食事の提供」とは、飲食設備がある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。
 カラオケボックスの客室で顧客の注文に応じて行われる飲食料品の提供は、これに該当しますので、軽減税率の適用対象となりません(改正法附則34①一イ、軽減通達10(2))。
(映画館の売店での飲食料品の販売)
 映画館の売店での飲食料品の販売は、軽減税率の適用対象となりますか(問71)。
 映画館内に設置された売店で行われる飲食料品の販売は、単に店頭で飲食料品を販売しているものですので、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります。
 なお、売店のそばにテーブル、椅子等を設置して、その場で顧客に飲食させている場合には、飲食設備がある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供であり、「食事の提供」に該当しますので、持ち帰りによる販売(持ち帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う飲食料品の譲渡)である場合を除き、軽減税率の適用対象となりません(軽減通達10(4))。
(注)
1 持ち帰りの販売かどうかは、顧客への意思確認等により行うこととなります(問58(ファストフードのテイクアウト)参照)。
2 売店により、例えば、映画館の座席で次のような飲食料品の提供が行われる場合には、当該飲食料品の提供は、食事の提供に該当し、軽減税率の適用対象となりません(改正法附則34①一イ、軽減通達10(注)2)。
① 座席等で飲食させるための飲食メニューを座席等に設置して、顧客の注文に応じてその座席等で行う食事の提供
② 座席等で飲食するため事前に予約を取って行う食事の提供

3 ホテル
 ホテルの宴会場や会議室・研究室などで行われる飲食料品の提供、ルームサービス、客室の冷蔵庫内の飲食物の販売に対する適用税率は〔図表2〕のようになる。

【図表2】ホテル等における飲食料品の提供

① 宴会場、会議室、研究室などで行われる飲食料品の提供  宴会場、会議室、研究室のいずれもが飲食設備のある場所に該当するので、これらの場所で行われる飲食料品の提供には標準税率が適用される(Q&A(個別事例編)問72)。
② ルームサービス  ルームサービス(客室からフロントに飲食料品を注文し、ホテルの直営店などから客室に飲食料品を届けるシステム)による飲食料品の提供は、客室が飲食設備のある場所に該当することから標準税率が適用される(Q&A(個別事例編)問72)。
③ 客室に設置された冷蔵庫内の飲食物の販売  客室に設置された冷蔵庫内の飲食物の販売は、単なる飲食料品の販売として軽減税率を適用することができる(Q&A(個別事例編)問73)。

参考:〜消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)より

(旅館、ホテル等宿泊施設における飲食料品の提供)
 旅館、ホテルの宴会場や、会議室・研修室等で行われる飲食料品の提供は、軽減税率の適用対象となりますか。また、ホテルのレストランで提供している飲食料品を客室まで届ける、いわゆるルームサービスは、軽減税率の適用対象となりますか(問72)。
 旅館、ホテル等(以下「ホテル」といいます。)の宴会場や会議室・研修室等で行われる飲食料品の提供は、それがホテル自体又はホテルのテナントであるレストランが行うものである場合には、「食事の提供」に該当し、軽減税率の適用対象となりません(改正法附則34①一イ、軽減通達10(1))。
 また、ホテルの客室から、ホテルが直接運営する又はホテルのテナントであるレストランに対して飲食料品を注文し、そのレストランが客室に飲食料品を届けるようないわゆるルームサービスは、ホテルの客室内のテーブル、椅子等の飲食設備がある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供であり、「食事の提供」に該当し、軽減税率の適用対象となりません。
(ホテル等の客室に備え付けられた冷蔵庫内の飲料等)
 ホテル等の客室に備え付けられた冷蔵庫内の飲料を販売する場合は、軽減税率の適用対象となりますか(問73)。
 ご質問のように、ホテル等の客室に備え付けられた冷蔵庫内の飲料(酒税法に規定する酒類を除きます。)を販売する場合は、単に飲食料品を販売するものであることから、飲食料品を飲食させる役務の提供に該当せず、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります(改正法附則34①一)。

<筆者コメント>
 ホテル等の客室に備え付けられた冷蔵庫内の飲食料品を販売する場合、利用者は部屋の中で飲食することから、簡易課税の事業区分は「飲食サービス業」の売上高として第4種事業に区分することになる。これに対し、適用税率の判定では、客室に備え付けられた冷蔵庫内の飲食料品を単に販売するだけであるから軽減税率を適用することができるのである。実務では、適用税率と事業区分の微妙なミスマッチに注意する必要がありそうだ。

4 通信販売・カタログギフトの販売

 インターネットなどを利用した通信販売についても、販売する商品が「飲食料品」に該当する限りは軽減税率が適用されることになる(Q&A(個別事例編)問34)。
 ただし、カタログギフトの販売は、「商品の贈答」の代行サービスであり、飲食料品の譲渡ではない。したがって、取扱商品が飲食料品だけであったとしても、軽減税率を適用することはできない(Q&A(個別事例編)問35)。

参考:〜消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)より

(通信販売)
 通信販売による飲食料品の販売は、軽減税率の適用対象となりますか(問34)。
 インターネット等を利用した通信販売であっても、販売する商品が「飲食料品」に該当する場合には、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります(改正法附則34①一)。
【参考】
 消費税及び地方消費税の税率の引き上げに伴い、平成31年(2019年)4月1日前にその販売価格の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、平成31年(2019年)10月1日前に申込みを受け、提示した条件に従って平成31年(2019年)10月1日以後に行われる商品の販売については、通信販売に係る経過措置が設けられていますが、「飲食料品の譲渡」には、この経過措置は適用されず、軽減税率が適用されます。
 消費税と地方消費税を合わせた税率は8%ですが、平成31年(2019年)9月30日までの税率は、消費税率6.3%、地方消費税率1.7%で合計8%、平成31年(2019年)10月1日以後に適用される軽減税率は消費税率6.24%、地方消費税率1.76%で合計8%です。
(カタログギフトの販売)
 当社は、下の取引図のとおり、贈答を受けた者(受贈者)がカタログに掲載された商品の中から任意に選択した商品を受け取ることができる、いわゆるカタログギフトの販売を行っています。当該カタログギフトには、食品と食品以外の商品を掲載しており、受贈者の方は食品を選択して受け取ることができます。
 このカタログギフトの販売に適用される税率は、どのようになりますか(問35)。


【答】
 ご質問のカタログギフトの販売(取引①)は、贈与者による商品の贈答を貴社が代行すること(具体的には、様々な商品を掲載したカタログを提示するとともに、受贈者の選択した商品を手配する一連のサービス)を内容とする「役務の提供」を行うものですので、「飲食料品の譲渡」に該当せず、軽減税率の適用対象となりません(改正法附則34①一)。
 なお、食品のみを掲載するカタログギフトの販売であっても、同様の理由から「役務の提供」を行うものであり、「飲食料品の譲渡」には該当しないため、軽減税率の適用対象となりません。
(参考)百貨店等から購入者(贈与者)に対するカタログギフトの販売(取引②)も、軽減税率の適用対象とはなりません。

5 お土産付きのパック旅行
 交通、宿泊、食事などのサービスを複合させて商品にしたものを「パック旅行」というが、たとえパック旅行代金の内訳として飲食料品の値段を明示したとしても、パック旅行代金の全額について標準税率が適用されることになる(Q&A(個別事例編)問36)。

参考:〜消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)より

(飲食料品のお土産付きのパック旅行)
 当社は、旅行代理店を経営しています。当社が販売するパック旅行は、飲食料品のお土産が付くものもありますが、このパック旅行の販売について、適用税率を教えてください(問36)。
 ご質問のように、飲食料品のお土産が付いているパック旅行は、様々な資産の譲渡等(交通、宿泊、飲食など)を複合して提供されるものであり、旅行という包括的な一の役務の提供を行っていることとなりますので、たとえ飲食料品のお土産が付く場合であっても、その対価の全体が軽減税率の適用対象となりません。
(参考)旅行に係る対価の内訳として、飲食料品のお土産の対価の額を明らかにした場合であっても、パック旅行は、上記のとおり、一の役務の提供に該当しますので、そのお土産部分の対価についても、軽減税率の適用対象となりません。

6 レストランへの食材の販売とレストランでの食材の提供
 飲食料品の譲渡には軽減税率が適用されるので、レストランに販売する食材は、販売先であるレストランの用途に関係なく、軽減税率を適用することができる。
 なお、レストランにおける飲食料品の提供は「外食」となるので、料理の代金はもとより、清涼飲料水のように、仕入商品を何ら加工しないで顧客に提供する品物であっても軽減税率を適用することはできない(Q&A(個別事例編)問38)。

参考:〜消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)より

(レストランへの食材の販売)
 当社は食品卸売業を営んでいます。当社の取引先であるレストランに対して、そのレストラン内で提供する食事の食材を販売していますが、この場合は軽減税率の適用対象となりますか(問38)。
 貴社から飲食料品を仕入れたレストランが、店内飲食用の料理にその食材を利用したとした場合、レストランが行う食事の提供は軽減税率の対象とならない、いわゆる「外食」となりますが、貴社からレストランへの食材の販売は、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります(改正法附則34①一、軽減通達2)。

7 コーヒー豆の販売と焙煎
 コーヒー豆は飲用に供するために販売するものである。したがって、下記①~③のいずれの状態で販売する場合であっても軽減税率を適用することができる(Q&A(個別事例編)問5)。
①生豆で販売する場合
②焙煎した状態で販売する場合
③焙煎したコーヒー豆を挽き、粉末状にして販売する場合
 ただし、コーヒー豆の支給を受けて行う焙煎などの加工行為は役務の提供であり、その加工賃には標準税率が適用されることになる(Q&A(個別事例編)問40)。

参考:〜消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)より

(コーヒーの生豆の販売)
 当社はコーヒーの生豆の販売を行っていますが、軽減税率の適用対象となりますか(問5)
 人の飲用又は食用に供されるコーヒーの生豆は「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります(改正法附則34①一、軽減通達2)。
(食品の加工)
 当社は、取引先からコーヒーの生豆の支給を受け、焙煎等の加工を行っています。当社の行う加工は、軽減税率の適用対象となりますか(問40)。
 ご質問のコーヒーの生豆の加工は、役務の提供に該当しますので、軽減税率の適用対象となりません(改正法附則34①一)。

記事に関連するお問い合わせ先
記事に関するお問い合わせは週刊「T&Amaster」編集部にお寄せください。執筆者に質問内容をお伝えいたします。
TEL:03-5281-0020 FAX:03-5281-0030 e-mail:ta@lotus21.co.jp
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