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会社法ニュース2021年09月03日 役員報酬が総会決議枠を超えるミス散見(2021年9月6日号・№896) コーポレートガバナンス改革に伴う社外取締役の増員等が要因に

  • 役員報酬額が総会で決議した上限額を超過するミスが複数発生。
  • 社外取締役等増員の際には、報酬上限の引上げ議案の提案を併せて検討するとともに、取締役会は授権された金額の枠内か確認を。

 社外取締役をはじめとする監督機能の増強を図る動きが続く中、役員報酬が株主総会で決議した上限額を超過するミスが複数の上場会社で発生している。
 東証一部上場の前澤工業は2021年5月期の株主総会で、取締役の報酬の総額を年額200百万円以内(うち、社外取締役分は年額15百万円以内)と決議したが、社外取締役に支給した報酬の総額は16.5百万円と、上限の15百万円を超過していた。その要因として、同社が2020年8月から社外取締役を1名増員して3名体制としたことが挙げられる。本来ならこのタイミングで取締役の報酬総額の上限も引き上げるべきだったが、同社は2012年8月30日開催の定時株主総会で決議した上限額を変更していなかった。上限額を超える報酬は会社法上無効であるため、同社は社外取締役に対して超過部分の返還請求を行うとした。
 東証一部上場のメディアスホールディングスでは、監査役への報酬が上限額を超過した。同社は2010年6月期定時株主総会で監査役報酬の上限を年額50,000千円と決議した。当時、同社の監査役は3名だったが、その後、監査役を増員し、2018年6月期以降、監査役は6名体制(常勤2名、社外4名)となっていた。しかし、監査役報酬の上限は年額50,000千円のままだったため、2019年6月期以降は当該上限額を超過した報酬が監査役に支払われていた。同社の場合、2019年6月期のみ社外監査役の合計報酬額が前期と比べ600千円増加していることを除けば、2019年6月期以降の社外監査役の報酬額合計は19,200千円に据え置かれており、常勤監査役の報酬増加額がそのまま超過額となった。同社は、上限を超過した額を監査役に対し返還請求を行うことについて、全監査役から同意を得たとしている。
 上記のようなミスを防ぐには、社外取締役等の選任議案を株主総会に提案する際に、報酬上限額の引上げ議案もセットで提案するか検討する必要がある。また、2021年3月期の有報からは取締役報酬ガバナンスに関する開示が強化され、報酬決定プロセスの透明化が図られただけに、こうした単純なミスは、ガバナンスの欠如を疑われかねない。各社外取締役の報酬額を決定する際には、株主総会で取締役会に授権された金額の枠内かの確認は必須となろう。

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