税務ニュース2021年11月05日 作業員に対する金員は外注費に該当せず(2021年11月8日号・№905) 審判所、請求人の指揮命令に服して提供した労務の対価(給与)に該当
本件は、原処分庁が請求人(会社)の作業員に支払った金員は給与等(所法28①)に該当するとして源泉徴収に係る所得税等の納税告知処分等を行い、また売上げの一部を除外したとして法人税及び消費税等の各更正処分等を行ったもの。請求人は消費税等を加算した上で各作業員に金員を支払っていることから外注費と判断すべきであり、給与等には該当しないなどとして原処分の全部の取消しを求めた。
審判所は、営利性や有償性を有し反復継続して行われる業務ないし労務の提供という経済的活動の対価として支給される給付が給与等に該当するか否かは、その経済的活動が使用者の指揮命令ないし組織の支配を受けて行われるものであるか否かという点、何らかの空間的、時間的な拘束を受けて行われるものであるか否かという点に加え、自己の計算と危険によってその経済的活動が行われているか否か、すなわち、経済的活動の内容やその成果等によって変動し得る収益や費用が誰に帰属するか、あるいは費用が収益を上回る場合などの危険を誰が負担するかという点などを総合的に考慮して個別具体的に判断すべきとした。
本件については、①作業員は請求人が作成した番割表(予定表)に従って作業現場において業務開始時間から業務終了時間まで元請先又は請求人が選んだ指揮監督者の指示に従い業務を行っていた、②作業員が番割表で予定が決定した後に欠勤した場合にはペナルティーが課された、③作業員は請求人が運営する寮に住み、寮費を支払った上で土木作業等の労務に服していた、④金員は請求人が決めた基本給に各種手当等の額を換算して算定していることなどからすると、審判所は、本件金員は各作業員と請求人との雇用契約に基づき、請求人の指揮命令に服して提供した労務の対価(給与等)に該当するとの判断を示した。
また、請求人は、作業員に対する金員を外注費と認識していたことから、当然にして作業員が扶養控除等申告書を請求人に提出することはなく、扶養控除等申告書の提出がないだけで、一律に月額表の乙欄を適用して源泉所得税等を課税することは酷であると主張するが、審判所は、扶養控除等申告書の提出がない場合には源泉所得税等の額の算定に当たり、月額表の乙欄を適用することは明らかであるとした。
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