会計ニュース2021年12月10日 ISSB、年初に気候変動開示基準公開草案(2021年12月13日号・№910) サプライチェーンを含むGHG排出量の開示を射程とした厳しい内容に
11月3日にCOP26で正式にISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の設立を表明したIFRS財団が、来年6月を目途に国際的に統一された気候変動開示基準を公表すべく、作業を加速している。設立表明の際には気候変動開示基準のプロトタイプを公表、来年早々にも公開草案を明らかにする。
こうした中、ISSBの設立に対応して、日本でも国内体制整備の議論が始まっている。10月29日に開催された金融庁金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ(第3回)では、「サステナビリティ開示基準対応を行う組織」を新設し、「ISSBへの意見発信」と「ISSB基準を踏まえた我が国におけるサステナビリティ開示の個別項目の検討」を行うことが提案された。
既に日本の財務会計基準機構(FASF)は、「サステナビリティ報告基準の調査研究及び開発」「国際的なサステナビリティ報告基準の開発への貢献」を事業内容に盛り込む定款変更を完了している。これにより、FASFにおいてISSB対応と国内基準の開発が行われることが実質的に固まったと言える。今後、FASFが新たに組成することが見込まれる「サステナビリティ基準委員会(仮称)」が、ISSBの開発する基準に対するわが国からの意見発信の中核を担うことになる。ISSBが最終化した基準を踏まえて、サステナビリティ基準委員会が国内基準を策定し、それをもとに金融庁が開示府令を改正、金融商品取引法に基づく有報開示の対象が定まる、といった国内プロセスとなることが見込まれている。
したがってまず重要なのは、ISSBでどのような基準が作られるかということだ。上述のとおり、ISSBは、設立の前から気候変動開示基準のプロトタイプを公表している。今後これをベースに、ISSBの第1号基準(気候変動開示基準)が来年の6月までに作られる。プロトタイプでは、TCFD提言に加え、SASBスタンダード(42頁参照)の業種別基準の内容も色濃く反映されている。また、いわゆるGHG排出量の開示も「スコープ3(企業のサプライチェーンまでを含めたGHG排出量の開示)」までを射程とした厳しい内容になっている。ISSBの気候変動開示基準の公開草案に対しては、日本としての意見発信が重要となろう。
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