税務ニュース2022年11月04日 炭素税新規導入、温対税引上げともなし(2022年11月7日号・№953) 第3回GX実行会議における総理発言で明確に
菅前総理が2050年までにカーボンニュートラルを実現することを宣言して以来、カーボンプライシング(CO2排出に価格をつけ、CO2を排出した企業などに金銭を負担させることで、CO2排出者の行動を脱炭素に向かわせる政策手法のこと)を巡る議論が加速し、令和4年度税制改正では、カーボンプライシングの手法の一つである「炭素税」の導入が検討される可能性も浮上したところだ(本誌902号4頁〜参照)。
こうした中、令和5年度税制改正に向けた動きが注目を集めているが、日本のカーボンプライシングにおいて炭素税が採用される可能性は消滅したことが本誌の取材により確認された。このことを裏付けるのが、10月26日に総理大臣官邸で開催された第3回GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議における岸田総理の下記の発言だ。
第1に、成長志向型カーボンプライシングは、炭素に対する賦課金と排出量取引市場の双方を組み合わせるハイブリッド型とするなど、効果的な仕組みを検討するとともに、排出量取引市場では炭素価格の過大な変動を起こさせず、安定化させる公的機能を組み込むこと。
岸田総理は、(日本の)カーボンプライシングは「炭素に対する賦課金と排出量取引市場の双方を組み合わせ」とすることを明言しており、ここで「炭素税」という文言は一切出て来ない。これは、日本におけるカーボンプライシングは「賦課金と排出権取引」の組み合わせとなり、炭素税の代わりに「賦課金」が採用されたということを意味する。
炭素税としては、既に事実上の炭素税として存在している石油石炭税の“上乗せ課税”の分である「地球温暖化対策のための課税」(42頁参照)を増税するか、全く新たな炭素税を創設するかのいずれかが想定されていたが、そのいずれのパターンも実現には至らなかったということだ。
もっとも、本件は、令和5年度税制改正のアイテムから炭素税の議論が外れたということに過ぎず、企業の負担が減るわけではない。今回の総理指示により、「賦課金+排出量取引」の合計が企業の負担額になるということは頭に入れておきたい。
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