税務ニュース2023年03月03日 課税当局、国会答弁で信託型SOに言及(2023年3月6日号・№969) 「現状の課税状況」として改めて権利行使時課税の見解を示す

  • 信託型ストックオプション(以下「SO」)スキームの「現状の課税状況」として、国税庁次長が国会答弁で改めて「権利行使時課税」との見解示す。
  • 詳細は課税当局が4月以降の公表を検討している情報を待つ必要があるが、現状の実務等に大きな影響を与えることは避けられない情勢。

 令和5年2月20日に行われた予算委員会第三分科会で、土田慎自民党衆議院議員が信託型SOスキームの課税関係について、国税庁次長星屋和彦氏に質問した。土田衆議院議員は、信託型SOスキームの概要を説明した上で、信託型SOの課税関係については、スキームを作った事業者が普通のSO税制と同様に、株式売却時の売却益に対して課税されるというニュアンスで商品を開発している一方で、国税とは解釈が違う部分があると思っているとし、「信託型SOに関する現状の課税状況、どういう段階で課税するのか」を、国税庁の星屋次長に質問した。
 これに対し星屋次長は、SOに関する一般的な課税関係として、「税制適格SOに該当する場合か、役務提供の対価に該当しない場合、これらの場合を除いてSOを行使した日の属する年分の給与所得と取り扱っている」と前置きした上で、信託型SOについて、「信託にSOを付与していることから、役員等の給与所得として課税されないのではないかとの見解があることは承知しているが、信託型SOが役員等への付与を目的としたものである場合には、実質的に役員等に付与したと認められると考えられることから、国税庁としてはSOを行使した日の年分の給与所得に該当するものと考えている」と回答。本誌965号掲載の「信託型SOスキーム権利行使時課税 従来の理解を覆すことに」で既報の通り、「権利行使時課税」との見解を改めて示した。
 国税庁次長が、「現状の課税状況」への回答として、権利行使時課税はないとの見解の存在を承知しつつ、権利行使時課税と考えている旨を明言したことを踏まえれば、課税当局は、既に組成されている信託型SOスキームについても権利行使時課税が行われると考えていることが推測される。本誌965号で既報の通り、課税当局は信託型SOの課税関係について、4月以降に公表することを検討しているという。詳細はその情報を待つ必要があるが、現状の実務や、信託型SOのメリットを踏まえ導入した企業に大きな影響を与えることは避けられない情勢となっている。

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