会社法ニュース2023年12月22日 3分の1ルール、「30%」に引き下げ(2023年12月25日号・№1008) 金融審、実質株主の透明化は欧州諸国の制度を参考に早急に検討
金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」(座長:神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授)は12月19日、報告書案を取りまとめた。今後、金融審議会の総会で報告し、来年の通常国会に金融商品取引法の改正法案として提出される方向だ。
現行、市場外取引又は市場内取引(立会外)による買付け等の後の株券等所有割合が3分の1超となる場合(3分の1ルール)に公開買付けの実施が義務付けられているが、近年、市場内取引(立会内)を通じて議決権の3分の1超を短期間のうちに取得する事例が見受けられることから、報告書案では、会社支配権に重大な影響を及ぼすような証券取引の透明性・公平性を確保する観点から、市場内取引(立会内)についても3分の1ルールの適用対象とすべきとした。また、3分の1ルールの閾値については、「30%」に引き下げることが適当であるとしている。諸外国の公開買付制度では30%としている例が多く、加えて日本の上場会社の議決権行使割合が90%未満であることを勘案すると、30%の議決権を有していれば、多くの上場会社において株主総会の特別決議を阻止することができるとしている。なお、公開買付けに関する事前・事後の救済制度を設けるか否かについては結論は出ず、引き続き検討するとされている。
大量保有報告制度に関しては、提出遅延などの違反に対する当局の対応を強化していくことが重要であると指摘。積極的な対応を促進する観点から、共同保有者の認定に係る立証の困難性の問題を解決すべく、一定の外形的事実が存在する場合には共同保有者とみなす旨の規定を拡充すべきとした。具体的には、役員兼任関係や資金提供関係などに着目して拡充することが考えられるとしている。
実質株主の透明性については、欧州諸国の制度を参考に適切な制度整備等に向けた取り組みを進めるべきとされた。具体的には、早急に、機関投資家の行動原則としてその保有状況を発行会社から質問された場合にはこれに回答すべきであることを明示すること、その後にはそのような回答を義務付けることを検討すべきとした。
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