経営・総務2020年01月07日 特別企画:自然災害に対する企業の対応状況調査 出典:帝国データバンク
自然災害リスクへの対応、企業の 27.0%にとどまる
~ 都道府県別では、「高知」が 44.2%でトップ ~
~ 都道府県別では、「高知」が 44.2%でトップ ~
はじめに
2019年の秋は、台風15号や19号、相次ぐ大雨などにより、全国各地で水害や土砂災害などが発生した。近年、自然災害の発生件数が増加傾向にあるなかで、自然災害による企業活動への影響は、自社のみならず、取引先などに広がることも懸念されている。
そこで、帝国データバンクは、自然災害に対する経営上のリスクへの対応状況1について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2019年11月調査とともに行った。
※調査期間は2019年11月18日~30日、調査対象は全国2万3,678社で、有効回答企業数は1万46社(回答率42.4%)
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com)に掲載している
調査結果(要旨)
1.自然災害に対する経営上のリスクへの対応状況において、『対応を進めている』(「十分に対応を進めている」と「ある程度対応を進めている」の合計)企業は27.0%にとどまった。他方、『対応を進めていない』(「あまり対応を進めていない」と「ほとんど対応を進めていない」の合計)企業は66.4%にのぼった
2.『対応を進めている』とする企業を業界別にみると、『金融』が50.0%と最も高く、次いで、『農・林・水産』(35.8%)、『小売』(30.3%)が3割台で続いた
3.同様に都道府県別にみると、「高知」(44.2%)が最も高く、4割を超えた。以下、「和歌山」(38.6%)、「宮城」(36.8%)、「奈良」(36.5%)、「千葉」(33.1%)が上位にあがった。近年、震災により大きな被害を受けた地域や水害などが発生した地域、今後大地震が想定される地域で自然災害に対するリスク対応が進められている傾向がみられた
1本調査で想定した自然災害に対する対応状況
・「十分に対応を進めている」は、自社の防災や経営上の対応だけでなく、他社への影響も考慮して対策や計画などを策定している
・「ある程度対応を進めている」は、自社の防災や経営上の対応について、対策や計画などを策定している
・「あまり対応を進めていない」は、検討はしているが対策や計画など策定していない
・「ほとんど対応を進めていない」は、検討していない/検討する必要はない
1.自然災害に対する経営上のリスク、対応を進めている企業は3割に満たず
自社における自然災害に対する経営上のリスクへの対応状況について尋ねたところ、『対応を進めている』(「十分に対応を進めている」と「ある程度対応を進めている」の合計)企業は27.0%にとどまった。他方、『対応を進めていない』(「あまり対応を進めていない」と「ほとんど対応を進めていない」の合計)は66.4%と、6割を超える企業で、自然災害に対する経営上のリスクについて対策や計画などを策定していなかった。とりわけ、「あまり対応を進めていない」(45.0%)が最も高く、多くの企業で検討はしているものの実際に対策や計画などの策定に至っていない実態が浮き彫りとなった。
『対応を進めている』とする企業を業界別にみると、『金融』が50.0%と最も高く、次いで、『農・林・水産』(35.8%)、『小売』(30.3%)が3割台で続いた。また、最高の『金融』と最低の『卸売』(23.0%)や『不動産』(24.2%)で2倍以上の差が表れており、経営上のリスクについて対策や計画などの策定は業界間で差異がみられる結果となった。
都道府県別にみると、『対応を進めている』企業は「高知」(44.2%)が最も高く、4割を超えた。以下、「和歌山」(38.6%)、「宮城」(36.8%)、「奈良」(36.5%)、「千葉」(33.1%)が上位にあがった。なお、『対策を進めている』企業が3割以上の都道府県は8県となった。近年、震災により大きな被害を受けた地域や水害などが発生した地域、今後大地震が想定される地域などに所在する企業では、自然災害に対する経営上のリスクへの対応を進めている傾向がみられた。
まとめ
国や自治体においては、地震や津波、洪水、土砂崩れなどのハザードマップを作成し、万が一に備え対応できるよう様々な媒体を活用し啓発している。
しかし、本調査結果より企業においては、大規模な地震や台風、豪雨などの自然災害に対する経営上のリスクについて、自社のみならず他社への影響も考慮した対応を行っている企業は非常に少数にとどまった。また、自社の防災や経営上の対応に限る企業を含めても3割に満たない。多くの企業でリスク対応について検討はしているものの、実際に対策や計画などの対応は進んでいない実態が浮き彫りとなった。
他方で、都道府県別にみると、これまでに震災や台風による水害などで大きな被害を受けた地域や今後大地震が想定される地域に所在する企業で、リスク対応をより積極的に取り組んでいる様子がうかがえた。
企業における自然災害に対するリスク対応は、地域によって濃淡がみられる結果となった。しかしながら企業活動への影響を鑑みると、企業は迅速に地域や他社などと連携し、危機管理対策の一環として自然災害というリスクに対応することが求められている。
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