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人事労務2020年04月23日 新型コロナウイルスに関連して各企業で行うべきこと(前編) 執筆者:大神令子

この原稿を書いている時期は4月半ばですので、実際に掲載される時には状況が変化している可能性があります。その前提で、できるだけ変化があっても有用となりうることについて、書いていきたいと思います。
ここに書くことは必ずしも法律によるものではありません。日本において「現状で行っておいた方が良いであろう」ということも含みますので御了解ください。

まず、当然のことながら感染拡大を防止するための措置は行わなければなりません。業務を休業するかどうかに関わりなく、従業員の皆様に感染拡大防止のための行動をお勧めください。また、万一、従業員の方の体調がおかしくなった時にするべきこと、御家族が新型コロナウイルスに感染してしまった時にするべきこと等の対応を決めていただいた方が良いでしょう。そのためには「対策マニュアル」のようなものを作られることをお勧めいたします(別途、下記資料参照)。
これは本来であれば3月頃に行うべきことで、今この時では遅いかもしれません。しかし、今後、緊急事態宣言が解除されたとしても、新型コロナウイルスのワクチンも治療薬もないのであれば、行うことは同じですので、徹底させてください。

さて、業種によっては要請により、それ以外の企業様も新型コロナウイルスの影響により業務を休業・縮小しなければならない事態になっていらっしゃるケースが増えているのではないかと思います。
4月7日の7都道府県に対する緊急事態宣言では5月6日までとされ、4月17日の発表により全国に拡大されましたが、終了時期については変化ありませんでした。とはいえ、これがこのまま終了させることができるかどうかは今この原稿を書いている時点ではわかりません。私個人の見解としては、諸外国の状況を見ても2か月程度の自粛となる可能性は高いのではないか?と思っています。
となれば、少なくとも5月末までの自粛は必要になるのではないか?と思っています。そこまでの間、休業・縮小を想定する必要がありそうに思っています。

業務縮小について

どの業務をどの程度縮小するのかを定めなければなりません。
政府は「テレワーク」を声高に言いますが、現実問題として在宅では仕事にならない業務の方が多いのではないでしょうか。営業職や総務等のバックヤード業務、工場での製造職、運送業の運転業務等はテレワークに向かない典型的な業務ではないかと思います。
しかし、パソコンやネットの利用によって在宅でも業務可能であれば、在宅勤務ができるように環境を整えることはトライしてみていただきたいです。これは今後に業務改革を行うことを考えても良い機会ではないかと思います。もちろん、費用も手間暇も掛かることだと思いますので容易なことではないと思いますが、結果的に経費削減になることもあると思いますし、今後の災害時の対応を考えても在宅勤務ができるようにしておくことはメリットがあるのではないかと思います。
とはいえ、どうしても在宅にできない業務もあると思います。その場合は業務の方を縮小して従業員を2交代や3交代などで業務に当たらせることもできるかと思います。例えばお客様が休業したために営業業務の一部ができなくなった場合等はこの方法が適していると言えます。この場合でも、単に自宅待機で休業させるのではなく自宅で業務を行っていただけるようなら業務を与えることも検討するべきかと思います。

在宅での仕事について

経営者の皆様にとって、在宅で仕事をさせる時の一番の心配は「ちゃんと仕事をしてくれるだろうか」ではないでしょうか。確かに、家で仕事をするとなると私生活との切り分けが難しくなりキッチリ仕事時間を取ることが難しくなる傾向にはあります。しかし、日本の労働者は「この仕事をしてください」と仕事を任せれば、それを期日までに仕上げてくることが多いのではないかと思います。
在宅で仕事をするとなると時間管理が非常に難しくなりますが、与える業務の方をキチンと管理すればある程度の状況把握はできるのではないかと思います。その際において、結果的に通常の所定労働時間とは違う労働時間となったとしても、それはやむを得ないと割り切ることも必要かもしれません(労基署は違う指導をすると思いますが…)。
業務量で労働時間を調整していただいたうえで、実際の労働時間は日報等によって従業員本人に記録させ、提出させることによって管理してください。
勘違いをしてはいけないのは、在宅勤務は休日ではないということです。これはもちろん労働者にも理解させる必要がありますが、経営者側も認識する必要があります。在宅勤務には通常の給与を支払わなければなりません。もしも給与の支払いをしないとなれば、それは労働基準法違反です。
仮に在宅勤務だから仕事が少ないということで給与額を減らしたいのであれば、在宅勤務であるために労働時間が短縮されるということが客観的にわかるような状況でなければなりません。その上で、労働者に与える業務量は雇用する側の責任になりますので減給できたとしても最大で業務量が減った部分の4割(6割支給)のみです。在宅勤務だからといって給与を減額できるわけではありませんので御注意ください。

この後、休業させる場合と解雇をする場合について、稿を改めてお伝えいたします。


資料:新型コロナウイルス対応マニュアル

上記、資料 2.③ 「問い合わせ先」は、厚生労働省 新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター


(2020年4月執筆)

執筆者

大神 令子おおがみ れいこ

社会保険労務士

略歴・経歴

大神令子社会保険労務士事務所代表

2000年(平成12年)12月 社会保険労務士試験 合格
2001年(平成13年) 2月 大阪府社会保険労務士会 登録
2002年(平成14年) 4月 大阪府内社会保険事務所にて 社会保険相談指導員
2006年(平成18年)12月 大神令子社会保険労務士事務所設立

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