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経営・総務2025年04月18日 組織の問題を解決するための考え方・着眼点 執筆者:岩田健一

企業経営において、社内コミュニケーションの悪化や人材の定着率低下といった問題に直面することは珍しくありません。経営者や管理職の皆さんは、こうした課題にどのように向き合うべきでしょうか?

組織の問題を解決する際には、次の2つの視点が重要になります。

1.ポジティブアプローチで考える

問題を解決するとき、多くの企業では「ギャップアプローチ」を採用します。これは現在の問題点を特定し、その解消を目指す手法ですが、新たな課題が次々と発生し、根本的な解決にはなりにくい傾向があります。
一方、「ポジティブアプローチ」は、理想の姿を先に描き、それに向かって前進する方法です。問題解決を目指す際には、このポジティブアプローチを用いることで、より本質的な変革が期待できます。

2.人材力×組織力×関係力の視点で考える

組織を強化するには、「人材力」「組織力」「関係力」の3つの要素が不可欠です。
 • 人材力:多様性を理解し、互いの強み・弱みを補完し合う。価値観や行動特性を尊重し、活かす。
 • 組織力:目的・目標、経営理念、事業戦略、ルール、制度、役割分担などを明確化し、共有する。
 • 関係力:適切なコミュニケーションを促進し、傾聴・承認・質問・フィードバックのスキルを活用する。
では、実際にポジティブアプローチと人材力×組織力×関係力の視点をどのように活用できるのか、2つのケースを通じて考えてみましょう。

ケース1:社内コミュニケーションの悪化
現状の課題

A社のある部署では、業務連絡が円滑に行われず、ミスや認識のズレが頻発していました。特に、新人や派遣社員は発言しづらく、疑問があっても質問できない状況でした。また、上司やベテラン社員の指示が一方的で、議論が活発に行われず、チームの雰囲気も悪化していました。

ネガティブアプローチ(目の前の問題解決型)

 • 会議のルールを厳格化し、発言の機会を義務化する
 • コミュニケーションミスが発生した際の報告・指導を強化する
 • 一部の社員の発言を問題視し、直接注意する
→ 結果:社員は委縮し、発言への抵抗感が増加。会議が「ミスを指摘する場」となり、チームの関係性はさらに悪化。

ポジティブアプローチ(理想の状態からのアプローチ)
理想の状態:「誰もが安心して発言できる風通しの良い職場」

具体的な施策
 • 人材力:多様性に関する研修を実施し、コミュニケーションの解釈の違いを理解する
 • 組織力:1on1ミーティングを導入し、上司と部下の対話の場を確保
 • 関係力:上司やリーダーに「傾聴」や「承認」のスキルを学ぶ研修を受講させ、発言しやすい雰囲気を醸成
 • その他:成功事例の共有会を開催し、良いコミュニケーションの実践例を増やす
→ 結果:社員が気軽に発言できるようになり、ミスを未然に防ぐ環境が整備。チームの関係性が改善し、業務効率が向上。

ケース2:人材の定着率が低い
現状の課題

B社では、若手社員の離職が相次いでいました。上司や先輩社員は「最近の若手は忍耐力がない」と嘆き、対策として仕事を任せる量を減らしたり、評価制度を厳格化したりしました。しかし、その結果、若手社員はやりがいを感じられず、さらに退職者が増える悪循環に陥っていました。

ネガティブアプローチ(目の前の問題解決型)

 • 退職者の原因を分析し、問題がある部署の管理職に改善指導を行う
 • 退職希望者には個別面談を実施し、引き留めを強化する
 • 離職率を人事評価に組み込み、マネージャーの責任を明確化
→ 結果:表面的な退職防止策は成功しても、社員のモチベーションは上がらず、本質的な解決には至らず。

ポジティブアプローチ(理想の状態からのアプローチ)
理想の状態:「社員が成長を実感し、やりがいを持てる職場」

具体的な施策
 • 人材力:キャリアパスを明確化し、「会社でどのように成長できるのか」を可視化
 • 組織力:「仕事の意味」(ミッション)を伝える機会を設け、業務の社会的意義を理解させる
 • 関係力:メンター制度を導入し、直属の上司以外の先輩が相談相手となる環境を整備
→ 結果:若手社員が「この会社で成長できる」と感じ、定着率が向上。組織全体の活気も向上。

まとめ

組織の問題を解決する際、目の前の課題に対処するのではなく、理想の状態を描くことで、より根本的な解決策が見えてきます。また、「人材力」「組織力」「関係力」の3つの視点から理想に近づける方法を考えることで、具体的な施策が明確になります。
経営者・管理職の皆さんも、自社の組織課題をこの視点で見直し、より良い職場環境の実現を目指してみてはいかがでしょうか?

執筆者の毎日ブログはこちら
https://iwata-office.jp/blog/

(2025年4月執筆)

(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)

執筆者

岩田 健一

組織開発コンサルタント・キャッシュフローコーチ・社会保険労務士(お金と人事のコンサルティング岩田事務所 代表)

略歴・経歴

心理学科卒・信用金庫職員・調剤薬局経理職を経て2014年8月開業。
答えを教えず答えを引き出すコーチングをベースとした社長相談で、納得の経営判断をサポートする。
クライアントの悩みに合わせて相談に応じるため、相談で取り扱うテーマは、経営理念の見直し、目的目標の明確化、事業戦略の整理、責任分担(組織図)の明確化、従業員のキャリアパスの明確化、理想人材像の明確化、サクセッションプラン、人事制度の明確化、部下との関わり方など、多岐にわたる。
必要に応じて組織診断、人材診断、社員研修、ミーティングの進行役なども行う。

「面倒見の良さ」「相手の話を心から聴く力」「難しいことを分かりやすく説明する力」「あれもこれも相談できる知識の広さ」に定評がある。

人生理念
「誠実・他社貢献・自然体」
ミッション
「会社の成長と社員の幸せの両立を実現し、笑顔あふれるつながり作りに貢献する。」
バリュー
「真の悩みに寄り添い、安心を与えるコンサルティング」

保有資格は特定社会保険労務士・CFP・1級FP技能士など多数。

経営に役立つ365日毎日ブログを3000日(8年3か月)以上継続している。
「岩田事務所 毎日ブログ」
https://iwata-office.jp/blog/

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