カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

一般2026年10月21日 中国系AI、攻撃に悪用か 金融や物流、80社標的 民間調査、情報流出相次ぐ 米韓でもサイバー被害 提供:共同通信社

 企業への不正アクセスにより個人情報漏えいが相次ぐ中、サイバー攻撃の一部に中国系の人工知能(AI)のソフトウエアが悪用された可能性があることが20日分かった。民間のセキュリティー会社が確認した。金融や物流など国内の約80社が標的となり、政府は実態調査に乗り出した。このAIは韓国の金融機関への攻撃でも使用され、被害が出ていたという。米国でも別の中国系とみられるAIソフトの攻撃が報告されており、国際的な問題となりそうだ。
 攻撃に使われたのは、指示を与えるだけで自律的に作業をこなす「AIエージェント」。対象のシステムの脆弱性を調べ、広範囲に不正アクセスを仕掛けたもようだ。ただ、攻撃者の素性や攻撃の発信拠点までは特定困難とみられ、全容把握は容易ではなさそうだ。
 国内で調査したのはGMOインターネットグループ傘下のセキュリティー会社。外部機関と連携し、日本企業だけを狙ったサーバーを6台特定した。中国系AIエージェント「ARTEX(アルテックス)」が使用されていた。小売りや金融、物流といった業種が狙われ、このうち8社が9、10月に情報漏えいを公表。GMO側は同一グループによる攻撃で複数の被害が出たとみている。
 アルテックスは別のセキュリティー会社の調査で、9月末から発生した韓国の複数の金融機関に対する不正アクセスで使われた痕跡も見つかったという。ロイター通信によると、アルテックスの開発者は設計図に当たるオープンソースを非公開に切り替えた。本来は企業のセキュリティーを支援する目的だったが、悪用された形だ。
 一方、米セキュリティー企業のノーフォージは今月19日、中国系とみられるAIエージェント「Cairn(ケアン)」により、日本のネット小売業を含め米国、オーストラリアなどの企業が攻撃されたと発表した。攻撃者は、AIが自律的にシステムの弱点を探して侵入するよう指示していたという。中国製AIのDeepSeek(ディープシーク)が使われた疑いもあると指摘した。
 古川俊治デジタル相は20日の閣議後記者会見で「政府として被害企業などに聞き取りをし、AIの悪用の有無などを分析している」と強調。木原稔官房長官は、外国の関与を含め「実態解明に努める」と述べた。

 企業、個人に相次ぐ攻撃 名指し非難も、警察当局

 中国系の人工知能(AI)を悪用したサイバー攻撃の可能性が明らかになった。悪用した者の国籍や素性は現時点で不明だが、海外の組織的な関与が疑われるサイバー攻撃はこれまでにも確認されている。標的となったのは企業や研究機関にとどまらず、個人にまで及ぶ。新たな被害抑止のため、政府が名指しで国や組織を公表して非難することも。相次ぐサイバー攻撃に警察当局は危機感を募らせており、捜査や実態解明を進めている。
 警察庁によると、過去にあった中国側によるとみられるサイバー攻撃は、偽サイトに誘導してクレジットカード番号などを盗むためのフィッシングメールの送信や、マルウエア(悪意あるソフト)を使った情報窃取が目立つ。
 警察庁が昨年8月~今年7月に入手したフィッシングメール約36万件を分析したところ、送信元の最多は中国で、全体の45%を占めた。同庁幹部は「他人の端末を踏み台にするなど、通信が秘匿化されているケースが多い」と打ち明ける。
 サイバー攻撃は海外から行われるケースが多く、組織の摘発は難しいとされる。こうした状況で警察当局が用いる手段が「パブリック・アトリビューション(PA)」だ。国や組織を特定して非難することで被害抑止やけん制につなげる狙いがあり、日本は中国に対して6回実施している。
 全国のサイバー担当課長らを集めた今月16日の会議。頻発する企業の情報流出などを受け、警察庁の楠芳伸長官は冒頭の訓示で、「現時点で背景や関連性は明らかではないが、捜査を推進し、実態解明と注意喚起を進める」と強調した。

 「オープン型」脅威現実に 国内防御策追い付かず

 被害の発覚が連日続く不正アクセスで、中国系の人工知能(AI)が使われた痕跡が見つかった。悪用されたのは、インターネット上で公開され、誰でも改良可能な「オープン型」と呼ばれるタイプのAIだ。世界中の専門家が指摘してきたサイバー攻撃の脅威が現実になったが、国内の防御策は追い付いていない。

 ▽追跡困難
 「われわれのテストでは、安全装置を容易に回避または取り除くことができた」。米アンソロピックは9月29日の声明で、中国の北京智譜華章科技(ジープー)が公表したオープン型AI「GLM―5・3」の危険性を強調した。オープン型のAIは開発者がアイデアを持ち寄り、性能が向上する利点がある一方、ダウンロードされた後に安全に使われているか追跡するのも困難で、公共の安全を脅かすリスクが指摘される。
 アンソロピックの「クロード」や米オープンAIの「チャットGPT」といったAIは「クローズ型」に分類され、外部から安全性に関する仕組みを容易に変更できないのが特徴だ。

 ▽米中拮抗
 中国では、「ディープシーク」を筆頭に月之暗面(ムーンショットAI)の「Kimi」、アリババグループの「千問(クウェン)」といったAIが相次いで登場。2026年の米スタンフォード大の調査報告では、23年に顕著だった米国との技術差が25年初めには大幅に縮小し、現在は拮抗していると分析されている。
 開発成果を公開し共有する取り組みも活発で、AI関連技術が次々と生まれる土壌がある。日本の約80社が標的になったとみられるサイバー攻撃に使われた「ARTEX(アルテックス)」もその一つだ。国家戦略としてグローバルサウス(新興・途上国)にAIを浸透させようとする姿は、習近平国家主席が提唱する巨大経済圏構想になぞらえ「AI版一帯一路」ともいわれる。

 ▽一時遮断も
 アルテックスは韓国の金融機関へのサイバー攻撃でも使われ、被害も報告された。日本も対岸の火事ではない。
 国内の大手金融機関では、AIがシステムの脆弱性を発見し、「パッチ」と呼ばれるプログラム修正の適用やどの対応を優先するかを決める「トリアージ」と呼ばれる作業は人間が行う仕組みだ。現場では「全てAIに置き換えなければ間に合わない」(大手銀行関係者)と焦りがにじむ。
 金融庁が今月6日から始めたサイバーセキュリティー演習には、AIを悪用した攻撃の激化を想定し、過去最多の約180の金融機関が参加している。ただ、セキュリティー対策への投資余力が乏しい金融機関も多く、「システム障害を発生させないよう完全に守り切るのはますます難しくなっている」(信用金庫関係者)のが実情だ。
 対策の中心は、いかに被害を最小限に食い止め、顧客の財産を守るかに移っている。金融庁は金融機関に対し、ネットバンキングの停止を余儀なくされた場合でも、店舗窓口で取引を受け付けるといった代替手段を確保するよう求めている。
 サイバーセキュリティー専業企業トレンドマイクロのエバ・チェン最高経営責任者は「大きな嵐の前だ。AIで攻撃はさらに増加する」と予測する。業界では、海外からのアクセスを一時遮断するなど思い切った対策を検討することも有効だとの声が出始めた。(東京、北京、ニューヨーク共同)

 中国系AI

 中国系人工知能(AI) 中国の企業や研究機関などが開発するAI技術やサービス。豊富な人材と政府の巨額支援を背景に、米国を猛追している。インターネット上で公開され、誰でも使える「オープン型」が主流。コストが安いことなどから、利用が急速に広がっているとされる。一方で米国企業のように先端AIの提供先を限定しておらず、利用者による悪用リスクが比較的高いと指摘されている。

 国と情報共有を

 NTTドコモビジネスの戸畑洋介エバンジェリスト(セキュリティー部門)の話 サイバー攻撃が増えている中、被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」関連法が10月に施行された。鉄道や通信など重要インフラを担う企業は、被害に遭った場合は速やかに政府と情報共有することが義務となる。対象ではない企業も、被害を受けたら国や警察に届け出るようにしてほしい。セキュリティー対策が追い付いていない企業もある。日本全体で情報を共有することが(対策強化にも役立ち)被害そのものを減らしていくことにつながる。

(2026/10/21)

(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)

ここから先は新日本法規WEB会員の方のみ
ご覧いただけます。

会員登録していただくと、会員限定記事・動画の閲覧のほか、様々なサービスをご利用いただけます。登録は簡単・無料です。是非ご利用ください。

ログイン新規会員登録

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索