法律・政省令の規定で確認する
新しい公益法人課税制度(1)
T&Amaster編集部 佐治俊夫
平成20年12月1日より新しい公益法人制度が施行されるため、新しい公益法人制度に対応する税制上の措置が平成20年度税制改正で手当てされています。
新しい公益法人制度に対応する税制上の措置を、平成20年度税制改正で手当てされた法令(法人税法・法人税法施行令・法人税法施行規則)の規定から、明らかにしていきたいと思います。今回は新しい公益法人課税制度を取りあげ、次回において、寄附金税制の見直しを取りあげます。
Ⅰ.新しい公益法人制度に対応する税制のイメージ
最初に、公益法人制度改革に対応する新しい公益法人課税制度の概要をイメージ図から確認しておきましょう。まずは公益法人制度改革のポイントのおさらいです。
公益法人制度改革では、公益法人(民法34条法人⇒これまでの社団法人・財団法人)の設立を各主務官庁の許可により行うしくみから、公益性の有無に関わらず、準則主義(登記)により簡便に設立できるしくみに改められました(一般社団法人・一般財団法人に関する法律)。また、民間有識者からなる委員会(公益認定等委員会および都道府県に置かれる合議制の機関)の意見に基づき、一般社団法人・一般財団法人について公益性を判断するしくみが創設されました(公益法人認定法)。
現行の公益法人(民法34条法人)は、施行日(平成20年12月1日)以後は、一般社団法人または一般財団法人として存続することになりますが、新たな公益法人(公益社団法人および公益財団法人)または一般社団法人等(一般社団法人および一般財団法人)への移行の登記をしていない法人は、それぞれ、特例社団法人または特例財団法人とされ、施行日から5年という移行期間内に新たな公益法人等または一般社団法人等へ移行しなかった法人については、移行申請中の法人を除き、移行期間満了の日に法人は解散したものとみなされることが規定されています(整備法46条)。
Ⅱ.別表第2(公益法人等)の見直しで収益事業の課税の範囲を見直すことに
公益法人課税制度のイメージ図によると、公益社団法人・公益財団法人については、公益目的事業について非課税、公益目的事業以外の事業について収益事業課税とされています。また、一般社団法人・一般財団法人については、非営利性が徹底された法人等の一定の法人(「非営利型法人」といいます)について収益事業課税することとし、非営利型法人以外の法人について普通法人課税(全所得課税)することとしています。
改正前の公益法人課税制度では、公益法人等に対しては、公益目的事業とその他の事業(収益事業等)を区分することなく、収益事業を営む場合に法人税が課されることになっていました。一方、改正後の公益法人課税制度では、公益法人認定法2条4項が公益目的事業を「学芸、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。」と規定したことを受けて、下図のように課税の対象を限定しました。
法人税法は、納税義務者の範囲(公益法人等について収益事業課税となること)を、法人税法4条に規定しています。新しい公益法人課税制度では、公益法人等については収益事業課税を行うとする枠組みを維持したうえで、公益法人制度改革に即して別表第2(公益法人等の表)を見直すことで、収益事業課税となる法人の範囲を規定することになりました。また、公益社団法人等にかかる公益目的事業の非課税については、法人税法施行令5条2項で「収益事業に含まれないもの」として規定することになりました。
法人税法の別表第2(公益法人等の表)に、公益財団法人・公益財団法人および非営利型法人に該当する一般財団法人・一般社団法人が加えられたことで、公益法人等として、収益事業課税が行われることになりました。
それでは、新しい公益法人課税制度における「収益事業の範囲」を法令で確認します。
改 正 後 | 改 正 前 | 法人税法 (納税義務者) 第4条 内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を行う場合、法人課税信託の引受けを行う場合又は第84条第1項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行う場合に限る。 | 法人税法 (納税義務者) 第4条 内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、内国法人である公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を営む場合、法人課税信託の引受けを行う場合又は第84条第1項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行う場合に限る。 | 2 公共法人は、前項の規定にかかわらず、法人税を納める義務がない。 | (新 設) | 3 外国法人は、第138条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得を有するとき(人格のない社団等にあつては、当該国内源泉所得で収益事業から生ずるものを有するときに限る。)、法人課税信託の引受けを行うとき又は第145条の3(外国法人に係る退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行うときは、この法律により、法人税を納める義務がある。 | 2 外国法人は、第138条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得を有するとき(外国法人である公益法人等又は人格のない社団等にあつては、当該国内源泉所得で収益事業から生ずるものを有するときに限る。)、法人課税信託の引受けを行うとき又は第145条の3(外国法人に係る退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行うときは、この法律により、法人税を納める義務がある。 | (削 除) | 3 公共法人は、前2項の規定にかかわらず、法人税を納める義務がない。 | 4 (同 右) | 4 (略) | | | 法人税法別表第2(公益法人等の表)に次のものが加えられました。 名 称 | 根 拠 法 | 一般財団法人(非営利型法人に該当するものに限る。) | 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号) | 一般社団法人(非営利型法人に該当するものに限る。) | 医療法人(医療法(昭和23年法律第205号)第42条の2第1項(社会医療法人)に規定する社会医療法人に限る。) | 医療法 | 公益財団法人 | 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 | 公益社団法人 | 法人税法別表第2(公益法人等の表)から次のものが削除されました。 名 称 | 根 拠 法 | 国家公務員の団体(法人であるものに限る。) | 国家公務員法(昭和22年法律第120号) | 財団法人(民法第34条(公益法人の設立)の規定により設立されたものに限る。) | 民法 | 社団法人(民法第34条の規定により設立されたものに限る。) | 民法 | 地方公務員の団体(法人であるものに限る。) | 地方公務員法(昭和25年法律第261号) | 改 正 後 | 改 正 前 | 法人税法施行令 (収益事業の範囲) 第5条 法第2条第13号(収益事業の意義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。)とする。 一 (以下略) | 法人税法施行令 (収益事業の範囲) 第5条 法第2条第13号(収益事業の意義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。)とする。 一 (以下略) | 2 次に掲げる事業は、前項に規定する事業に含まれないものとする。 一 公益社団法人又は公益財団法人が行う前項各号に掲げる事業のうち、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第2条第4号(定義)に規定する公益目的事業に該当するもの 二 (以下略) | 2 次に掲げる事業は、前項に規定する事業に含まれないものとする。 (新 設) 一 (以下略) | |
Ⅲ.非営利型法人はどんな法人?
一般社団法人・一般財団法人では、非営利型法人に該当する場合に収益事業課税となり、非営利型法人に該当しない場合には普通法人課税(全所得課税)となります。したがって、一般社団法人・一般財団法人においては、非営利型法人に該当するか否かの区分が重要になってきます。
法人税法は、非営利型法人の定義を規定し、施行令および施行規則に細則を設けています。
新たな号が加えられた法人税法2条9の2号イに規定されるものがイメージ図での「非営利性が徹底された法人」に該当し、公益認定を受けることを予定している法人等が想定されます。同号ロに規定されるものが「共益的活動を行うことを目的とする法人」に該当し、業界団体や同窓会等が想定されます。
法人税法 (定義) 第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 九の二 非営利型法人 一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人又は公益財団法人を除く。)のうち、次に掲げるものをいう。 イ その行う事業により利益を得ること又はその得た利益を分配することを目的としない法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの ロ その会員から受け入れる会費により当該会員に共通する利益を図るための事業を行う法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの | 法人税法施行令 (非営利型法人の範囲) 第3条 法第2条第9号の2イ(定義)に規定する政令で定める法人は、次の各号に掲げる要件のすべてに該当する一般社団法人又は一般財団法人(清算中に当該各号に掲げる要件のすべてに該当することとなつたものを除く。)とする。 一 その定款に剰余金の分配を行わない旨の定めがあること。 二 その定款に解散したときはその残余財産が国若しくは地方公共団体又は次に掲げる法人に帰属する旨の定めがあること。 イ 公益社団法人又は公益財団法人 ロ 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)第5条第17号イからトまで(公益認定の基準)に掲げる法人 三 前2号の定款の定めに反する行為(前2号及び次号に掲げる要件のすべてに該当していた期間において、剰余金の分配又は残余財産の分配若しくは引渡し以外の方法(合併による資産の移転を含む。)により特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含む。)を行うことを決定し、又は行つたことがないこと。 四 各理事(清算人を含む。以下この号及び次項第7号において同じ。)について、当該理事及び当該理事の配偶者又は3親等以内の親族その他の当該理事と財務省令で定める特殊の関係のある者である理事の合計数の理事の総数のうちに占める割合が、3分の1以下であること。 2 法第2条第9号の2ロに規定する政令で定める法人は、次の各号に掲げる要件のすべてに該当する一般社団法人又は一般財団法人(清算中に当該各号に掲げる要件のすべてに該当することとなつたものを除く。)とする。 一 その会員の相互の支援、交流、連絡その他の当該会員に共通する利益を図る活動を行うことをその主たる目的としていること。 二 その定款(定款に基づく約款その他これに準ずるものを含む。)に、その会員が会費として負担すべき金銭の額の定め又は当該金銭の額を社員総会若しくは評議員会の決議により定める旨の定めがあること。 三 その主たる事業として収益事業を行つていないこと。 四 その定款に特定の個人又は団体に剰余金の分配を受ける権利を与える旨の定めがないこと。 五 その定款に解散したときはその残余財産が特定の個人又は団体(国若しくは地方公共団体、前項第2号イ若しくはロに掲げる法人又はその目的と類似の目的を有する他の一般社団法人若しくは一般財団法人を除く。)に帰属する旨の定めがないこと。 六 前各号及び次号に掲げる要件のすべてに該当していた期間において、特定の個人又は団体に剰余金の分配その他の方法(合併による資産の移転を含む。)により特別の利益を与えることを決定し、又は与えたことがないこと。 七 各理事について、当該理事及び当該理事の配偶者又は三親等以内の親族その他の当該理事と財務省令で定める特殊の関係のある者である理事の合計数の理事の総数のうちに占める割合が、3分の1以下であること。 3 前2項の一般社団法人又は一般財団法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る。)以外の者で当該一般社団法人又は一般財団法人の経営に従事しているものは、当該一般社団法人又は一般財団法人の理事とみなして、前2項の規定を適用する。 4 第2項第3号の収益事業は、次の表の上欄に掲げる第5条(収益事業の範囲)の規定中同表の中欄に掲げる字句を同表の下欄に掲げる字句に読み替えた場合における収益事業とする。 第1項第1号イ | 公益社団法人若しくは公益財団法人又は法別表第2に掲げる一般社団法人若しくは一般財団法人(第29号において「公益社団法人等」 | 一般社団法人又は一般財団法人(以下この項及び次項第2号において「一般社団法人等」 | 第1項第2号イ(1) | 公益社団法人又は法別表第2に掲げる一般社団法人 | 一般社団法人 | 第1項第2号イ(2) | 公益財団法人又は法別表第2に掲げる一般財団法人 | 一般財団法人 | 第1項第2号イ(3) | (1)又は(2)に掲げる法人 | 特定社団法人(その社員総会における議決権の総数の2分の1以上の数が当該地方公共団体により保有されている公益社団法人又は法別表第2に掲げる一般社団法人をいう。(4)において同じ。)又は特定財団法人(その拠出をされた金額の2分の1以上の金額が当該地方公共団体により拠出をされている公益財団法人又は同表に掲げる一般財団法人をいう。(4)において同じ。) | 公益社団法人又は法別表第2に掲げる一般社団法人 | 一般社団法人 | 第1項第2号イ(4) | (1)又は(2)に掲げる法人 | 特定社団法人又は特定財団法人 | 公益財団法人又は法別表第2に掲げる一般財団法人 | 一般財団法人 | 第1項第29号リからルまで | 公益社団法人等 | 一般社団法人等 | 第1項第29号ヲ | 法別表第2に掲げる一般社団法人若しくは一般財団法人 | 一般社団法人等(公益社団法人又は公益財団法人を除く。) | 第1項第29号ワ | 公益社団法人又は法別表第2に掲げる一般社団法人 | 一般社団法人 | 第1項第29号ヨ | 公益社団法人等 | 一般社団法人等 | 第1項第29号タ及び第33号ハ並びに第2項第2号 | 公益法人等 | 一般社団法人等 | 5 前各項の規定の適用に関し必要な事項は、財務省令で定める。 | 法人税法施行規則 第2章 公益法人等の範囲 (理事と特殊の関係のある者の範囲等) 第2条の2 令第3条第1項第4号及び第2項第7号(非営利型法人の範囲)に規定する理事と財務省令で定める特殊の関係のある者は、次に掲げる者とする。 一 当該理事(清算人を含む。以下この項において同じ。)の配偶者 二 当該理事の3親等以内の親族 三 当該理事と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者 四 当該理事の使用人 五 前各号に掲げる者以外の者で当該理事から受ける金銭その他の資産によつて生計を維持しているもの 六 前3号に掲げる者と生計を一にするこれらの者の配偶者又は3親等以内の親族 2 令第3条第4項の規定により令第5条(収益事業の範囲)の規定を読み替えて適用する場合における第3章(収益事業の範囲)の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同章の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 第5条第1号(医師会法人等が行う医療保健業で収益事業に該当しないものの要件) | 公益社団法人又は法別表第2に掲げる一般社団法人 | 一般社団法人 | 第6条(公益法人等の行う医療保健業で収益事業に該当しないものの要件) | 次に掲げる要件(法別表第2に掲げる一般社団法人及び一般財団法人以外の法人にあつては、第1号から第6号までに掲げる要件) | 次に掲げる要件 | 第6条第1号 | 公益法人等の | 一般社団法人又は一般財団法人の | 公益法人等が | 一般社団法人又は一般財団法人が | 公益法人等と | 一般社団法人若しくは一般財団法人と | 第6条第2号 | 公益法人等の役員 | 一般社団法人又は一般財団法人の役員 | 第6条第2号イ、ロ及びホ | 公益法人等 | 一般社団法人又は一般財団法人 | 第6条第2号ヘ | 公益法人等の | 一般社団法人又は一般財団法人の | 第6条第2号ト及び第3号から第7号まで | 公益法人等 | 一般社団法人又は一般財団法人 | 第8条の2の2第2項(無体財産権の提供等を行う事業で収益事業に該当しないものの範囲等) | 公益法人等 | 一般社団法人又は一般財団法人 | | |
Ⅳ.社会医療法人が行う医療保健業は収益事業から除外
上記のほか、収益事業(法人税法施行令5条1項各号)の見直しが行われています。
具体的には、収益事業の範囲を列挙する法人税法施行令5条において、①医療保健業(29号)から社会医療法人が行う医療保健業(医療法上の附帯業務、収益業務として行うものを除く。)を除外し、②技芸の教授業(30号)について、(イ)外洋小型船舶の操縦の教習に係る除外措置を廃止し、(ロ)国家資格付与事務として行う一定のものを除外することにし、③収益事業の範囲に労働者派遣業を追加しました。さらに、労働者派遣業が収益事業の範囲に追加されたことで、法人税法施行令5条1項に規定する収益事業は、33業種⇒34業種になりました。
改正後 | 改正前 |
法人税法施行令 (収益事業の範囲) 第5条 法第2条第13号(収益事業の意義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上の事業に付随して行われる行為を含む。)とする。 一~二十八 (略) | 法人税法施行令 (収益事業の範囲) 第5条 法第2条第13号(収益事業の意義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。)とする。 一~二十八 (略) |
二十九 医療保健業(財務省令で定める血液事業を含む。以下この号において同じ。)のうち次に掲げるもの以外のもの イ~ト (略) | 二十九 医療保健業(財務省令で定める血液事業を含む。以下この号において同じ。)のうち次に掲げるもの以外のもの イ~ト (略) |
チ 医療法(昭和23年法律第205号)第42条の2第1項(社会医療法人)に規定する社会医療法人が行う医療保健業(同法第42条(附帯業務)の規定に基づき同条各号に掲げる業務として行うもの及び同項の規定に基づき同項に規定する収益業務として行うものを除く。) | (新 設) |
リ 公益社団法人等が政府又は独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の委託を受けて行う健康保険法(大正11年法律第70号)第150条第1項及び第2項(保健事業及び福祉事業)、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成19年法律第110号)附則第4条(厚生年金保険法の一部改正に伴う経過措置)若しくは船員保険法(昭和14年法律第73号)第57条ノ2(福祉事業)又は独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法(平成17年法律第71号)第13条第2号(業務の範囲)に規定する事業又は施設の運営若しくは管理に係る医療保健業 | チ 民法第34条の規定により設立された法人が政府又は独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の委託を受けて行う健康保険法(大正11年法律第70号)第150条第1項及び第2項(保健事業及び福祉事業)、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第79条(福祉施設)又は船員保険法(昭和14年法律第73号)第57条ノ2(福祉事業)に規定する事業又は施設の経営に係る医療保健業 |
ヌ~タ (略) | リ~ヨ (略) |
三十 洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン(レタリングを含む。)、自動車操縦若しくは小型船舶(船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和26年法律第149号)第2条第4項(定義)に規定する小型船舶をいう。)の操縦(以下この号において「技芸」という。)の教授(通信教育による技芸の教授及び技芸に関する免許の付与その他これに類する行為を含む。以下この号において同じ。)のうちイ及びハからホまでに掲げるもの以外のもの又は学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため若しくは学校教育の補習のための学力の教授(通信教育による当該学力の教授を含む。以下この号において同じ。)のうちロ及びハに掲げるもの以外のもの若しくは公開模擬学力試験(学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため広く一般に参加者を募集し当該学力試験にその内容及び方法を擬して行われる試験をいう。)を行う事業 イ~ニ (略) | 三十 洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン(レタリングを含む。)、自動車操縦若しくは小型船舶(船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和26年法律第149号)第2条第4項(定義)に規定する小型船舶をいう。)の操縦(以下この号において「技芸」という。)の教授(通信教育による技芸の教授及び技芸に関する免許の付与その他これに類する行為を含む。以下この号において同じ。)のうちイ及びハからホまでに掲げるもの以外のもの又は学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため若しくは学校教育の補習のための学力の教授(通信教育による当該学力の教授を含む。以下この号において同じ。)のうちロ及びハに掲げるもの以外のもの若しくは公開模擬学力試験(学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため広く一般に参加者を募集し当該学力試験にその内容及び方法を擬して行われる試験をいう。)を行う事業 イ~ニ (略) |
ホ 技芸に関する国家試験(法令において、国家資格(資格のうち、法令において当該資格を有しない者は当該資格に係る業務若しくは行為を行い、若しくは当該資格に係る名称を使用することができないこととされているもの又は法令において一定の場合には当該資格を有する者を使用し、若しくは当該資格を有する者に当該資格に係る行為を依頼することが義務付けられているものをいう。ホにおいて同じ。)を取得し、若しくは維持し、又は当該国家資格に係る業務若しくは行為を行うにつき、試験、検定その他これらに類するもの(ホにおいて「試験等」という。)を受けることが要件とされている場合における当該試験等をいう。)の実施に関する事務(法令において当該国家資格を取得し、若しくは維持し、又は当該国家資格に係る業務若しくは行為を行うにつき、登録、免許証の交付その他の手続(ホにおいて「登録等」という。)を経ることが要件とされている場合における当該登録等に関する事務を含む。ホにおいて「国家資格付与事務」という。)を行う者として法令において定められ、又は法令に基づき指定された法人が法令に基づき当該国家資格付与事務として行う技芸の教授(国の行政機関の長又は地方公共団体の長が当該国家資格付与事務に関し監督上必要な命令をすることができるものに限る。)で、次のいずれかの要件に該当するもの (1) その対価の額が法令で実費を勘案して定めることとされているものであること又はその対価の額が当該国家資格付与事務の処理のために必要な費用の額を超えないと見込まれるものであること。 (2) 国の行政機関の長又は地方公共団体の長以外の者で当該国家資格付与事務を行う者が、公益法人等又は一般社団法人若しくは一般財団法人に限られていることが法令で定められているものであること。 | ホ 船舶職員及び小型船舶操縦者法第23条の10第1項(操縦試験の免除)に規定する登録小型船舶教習所において船舶職員及び小型船舶操縦者法施行令(昭和58年政令第13号)別表第2に規定する外洋小型船舶の操縦の教習として行う技芸の教授 |
三十一~三十三 (略) | 三十一~三十三 (略) |
三十四 労働者派遣業(自己の雇用する者その他の者を、他の者の指揮命令を受けて、当該他の者のために当該他の者の行う事業に従事させる事業をいう。) | (新 設) |
Ⅴ.特定普通法人が公益法人等に移行する場合の取扱い
一般社団法人・一般財団法人などでは、収益事業課税と普通法人課税のいずれかの課税が行われることになりますが、納税義務者の区分を明確にしておくことが必要になります。法人税法では特定普通法人(一般社団法人・一般財団法人または医療法人のうち、普通法人であるもの)が公益法人等となる場合には、その該当することとなる日の前日にその特定普通法人が解散したものとみなして、欠損金の繰戻しによる還付等の規定を適用するものと規定されました。
法人税法 第2節 課税所得の範囲の変更等【新設】 (課税所得の範囲の変更等の場合のこの法律の適用) 第10条の3 特定普通法人(一般社団法人若しくは一般財団法人又は医療法人のうち、普通法人であるものをいう。以下この条において同じ。)が公益法人等に該当することとなる場合には、その該当することとなる日の前日に当該特定普通法人が解散したものとみなして、次に掲げる規定その他政令で定める規定を適用する。 一 第80条第4項(欠損金の繰戻しによる還付) 二 第81条の31第3項(連結欠損金の繰戻しによる還付) 2 特定普通法人が公益法人等に該当することとなつた場合には、その該当することとなつた日に当該公益法人等が設立されたものとみなして、次に掲げる規定その他政令で定める規定を適用する。 一 第57条第1項(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し) 二 第58条第1項(青色申告書を提出しなかつた事業年度の災害による損失金の繰越し) 三 第59条(会社更生等による債務免除等があつた場合の欠損金の損金算入) 四 第80条 3 特定普通法人が当該特定普通法人を被合併法人とし、公益法人等を合併法人とする適格合併を行つた場合の処理その他前2項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 |
上記の法人税法の規定(法人税法第10条の3)については、以下の委任規定が設けられています。
法人税法施行令 第2章の2 課税所得等の範囲等【新設】 第14条の11 法第10条の3第1項(課税所得の範囲の変更等の場合のこの法律の適用)に規定する政令で定める規定は、次に掲げる規定とする。 一 第81条(国庫補助金等に係る特別勘定の金額の取崩し) 二 第90条(保険差益等に係る特別勘定の金額の取崩し) 三 法第81条の3第1項(前2号に掲げる規定により同項に規定する個別益金額を計算する場合に限る。)(個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入) 2 法第10条の3第2項に規定する政令で定める規定は、次に掲げる規定とする。 一 第22条(株式等に係る負債の利子の額) 二 第96条第2項(貸倒引当金勘定への繰入限度額) 三 第101条第2項(返品調整引当金勘定への繰入限度額) 3 法第10条の3第1項に規定する特定普通法人が、当該特定普通法人を被合併法人とし、公益法人等を合併法人とする合併(適格合併に限る。)を行つた場合には、当該合併は適格合併に該当しないものとみなして、次に掲げる規定を適用する。 一 法第52条第1項及び第2項(貸倒引当金) 二 法第53条第1項(返品調整引当金) 三 法第57条第2項(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し) 四 法第58条第2項(青色申告書を提出しなかつた事業年度の災害による損失金の繰越し) 五 法第61条の6第3項(繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ) 六 法第80条第4項(欠損金の繰戻しによる還付) 七 法第81条の31第3項(連結欠損金の繰戻しによる還付) 八 第22条第3項 九 第81条 十 第90条 十一 第96条第2項 十二 第101条第2項 十三 第121条の5第1項(繰り延べたデリバティブ取引等の決済損益額の計上時期等) 十四 第125条第2項(延払基準の方法により経理しなかつた場合等の処理) 十五 第128条(適格組織再編成が行われた場合における延払基準の適用) 十六 第133条の2第4項(一括償却資産の損金算入) 十七 第139条の4第9項(資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入) 十八 法第81条の3第1項(第1号、第2号、第5号又は第9号から前号までに掲げる規定により同項に規定する個別益金額又は個別損金額を計算する場合に限る。) |
Ⅵ.公益法人等が普通法人に移行する場合の取扱い
非営利型法人が非営利型法人でなくなったこと、公益社団法人・公益財団法人の認定取消しなどの場合には、公益法人等から普通法人に納税者の区分が移行されることになります。この場合には、過去の非収益事業から生じた所得の累積額を、益金の額に算入することになります。
法人税法 第10款 公益法人等が普通法人に移行する場合の所得の金額の計算【新設】 第64条の4 一般社団法人若しくは一般財団法人又は医療法人(公益法人等に限る。次項において「特定公益法人等」という。)である内国法人が普通法人に該当することとなつた場合には、その内国法人のその該当することとなつた日(以下この項及び第3項において「移行日」という。)前の収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額(第3項において「累積所得金額」という。)又は当該移行日前の収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額(第3項において「累積欠損金額」という。)に相当する金額は、当該内国法人の当該移行日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。 2 特定公益法人等を被合併法人とし、普通法人である内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合には、当該被合併法人の当該適格合併前の収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額(次項において「合併前累積所得金額」という。)又は当該適格合併前の収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額(次項において「合併前累積欠損金額」という。)に相当する金額は、当該内国法人の当該適格合併の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。 3 第1項の内国法人が公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)第29条第1項又は第2項(公益認定の取消し)の規定によりこれらの規定に規定する公益認定を取り消されたことにより普通法人に該当することとなつた法人である場合、前項の内国法人が公益社団法人又は公益財団法人を被合併法人とする同項に規定する適格合併に係る合併法人である場合その他の政令で定める場合に該当する場合における前2項の規定の適用については、移行日又は当該適格合併の日以後に公益の目的のために支出される金額として政令で定める金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、累積所得金額若しくは合併前累積所得金額から控除し、又は累積欠損金額若しくは合併前累積欠損金額に加算する。 4 前項の規定は、確定申告書に同項に規定する政令で定める金額及びその計算に関する明細の記載があり、かつ、財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。 5 税務署長は、前項の記載又は書類の添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載又は添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第3項の規定を適用することができる。 6 前2項に定めるもののほか、第3項に規定する政令で定める金額を支出した事業年度における処理その他第1項から第3項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 |
上記の法人税法の規定(法人税法第64条の4)については、以下の委任規定が設けられています。
法人税法施行令 第3款の4 公益法人等が普通法人に移行する場合の所得の金額の計算【新設】 (累積所得金額又は累積欠損金額の計算) 第131条の4 法第64条の4第1項(公益法人等が普通法人に移行する場合の所得の金額の計算)に規定する収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額は、同項の内国法人の同項に規定する移行日(以下この項及び次条第1項において「移行日」という。)における資産の帳簿価額が負債帳簿価額等(負債の帳簿価額及び利益積立金額の合計額をいう。以下この項において同じ。)を超える場合におけるその超える部分の金額(次条第2項において「累積所得金額」という。)とし、法第64条の4第1項に規定する収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額は、同項の内国法人の移行日における負債帳簿価額等が資産の帳簿価額を超える場合におけるその超える部分の金額(次条第2項及び第3項において「累積欠損金額」という。)とする。 2 法第64条の4第2項に規定する収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額は、同項の内国法人の同項に規定する適格合併に係る移転資産帳簿価額(適格合併により被合併法人から引継ぎを受けた資産の帳簿価額をいう。以下この項において同じ。)が移転負債帳簿価額等(適格合併により被合併法人から引継ぎを受けた負債の帳簿価額及び当該適格合併に係る第9条第1項第2号(利益積立金額)に掲げる金額の合計額をいう。以下この項において同じ。)を超える場合におけるその超える部分の金額(次条第2項において「合併前累積所得金額」という。)とし、法第64条の4第2項に規定する収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額は、同項の内国法人の同項に規定する適格合併に係る移転負債帳簿価額等が移転資産帳簿価額を超える場合におけるその超える部分の金額(次条第2項及び第3項において「合併前累積欠損金額」という。)とする。 (累積所得金額から控除する金額等の計算) 第131条の5 法第64条の4第3項(公益法人等が普通法人に移行する場合の所得の金額の計算)に規定する政令で定める場合は、次の各号に掲げる場合とし、同項に規定する政令で定める金額は、当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。 一 法第64条の4第1項の内国法人が公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第29条第1項又は第2項(公益認定の取消し)の規定によりこれらの規定に規定する公益認定を取り消されたことにより普通法人に該当することとなつた法人である場合 当該内国法人の移行日における公益目的取得財産残額(同法第30条第2項(公益認定の取消し等に伴う贈与)に規定する公益目的取得財産残額をいう。次号及び第4項において同じ。)に相当する金額 二 法第64条の4第2項の内国法人が公益社団法人又は公益財団法人を被合併法人とする同項に規定する適格合併に係る合併法人である場合 当該被合併法人の当該適格合併の直前の公益目的取得財産残額に相当する金額 三 法第64条の4第1項の内国法人が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第50号。以下この号及び第五項において「整備法」という。)第123条第1項(移行法人の義務等)に規定する移行法人(整備法第126条第3項(合併をした場合の届出等)の規定により整備法第123条第1項に規定する移行法人とみなされるものを含む。次号において「移行法人」という。)である場合 次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額 イ 当該内国法人の移行日における修正公益目的財産残額(整備法第119条第2項第2号(公益目的支出計画の作成)に規定する公益目的財産残額を基礎として財務省令で定めるところにより計算した金額をいう。次号イにおいて同じ。) ロ 当該内国法人の移行日における資産の帳簿価額から前条第1項に規定する負債帳簿価額等を控除した金額 四 法第64条の4第2項の内国法人が移行法人を被合併法人とする同項に規定する適格合併に係る合併法人である場合 次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額 イ 当該被合併法人の当該適格合併の直前の修正公益目的財産残額 ロ 当該適格合併に係る前条第2項に規定する移転資産帳簿価額から同項に規定する移転負債帳簿価額等を控除した金額 2 内国法人が、法第64条の4第1項又は第2項の規定の適用を受ける場合において、前項各号に掲げる場合に該当するとき(累積所得金額又は合併前累積所得金額がある場合に限る。)は、同条第1項に規定する収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額又は同条第2項に規定する収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額は、前条の規定にかかわらず、当該累積所得金額又は合併前累積所得金額から当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除した金額とする。この場合において、当該累積所得金額又は合併前累積所得金額から控除しきれない金額があるときは、その控除しきれない金額は、それぞれ累積欠損金額又は合併前累積欠損金額とみなして、同条の規定を適用する。 3 内国法人が、法第64条の4第1項又は第2項の規定の適用を受ける場合において、第1項第1号又は第2号に掲げる場合に該当するとき(累積欠損金額又は合併前累積欠損金額がある場合に限る。)は、同条第1項に規定する収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額又は同条第2項に規定する収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額は、前条の規定にかかわらず、当該累積欠損金額又は合併前累積欠損金額に第1項第1号又は第2号に掲げる場合の区分に応じこれらの号に定める金額を加算した金額とする。 4 内国法人が法第64条の4第3項の規定の適用を受ける場合(第1項第1号又は第2号に掲げる場合に該当する場合に限る。)において、当該内国法人が公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第17号(公益認定の基準)の定款の定めに従い成立した公益目的取得財産残額に相当する額の財産の贈与に係る契約(同法第30条第1項の規定により成立したものとみなされるものを含む。)により金銭その他の資産の贈与をしたときは、当該贈与により生じた損失の額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。 5 内国法人が法第64条の4第3項の規定の適用を受ける場合(第1項第3号又は第4号に掲げる場合に該当する場合に限る。次項において同じ。)において、当該内国法人のその適用を受ける事業年度以後の各事業年度(整備法第124条(公益目的支出計画の実施が完了したことの確認)の確認に係る事業年度(次項及び第七項において「確認事業年度」という。)後の事業年度を除く。)の整備法第119条第2項第1号の支出の額(以下この条において「公益目的支出の額」という。)が同項第2号の規定により同号に規定する公益目的財産残額の計算上当該公益目的支出の額から控除される同号の収入の額(次項において「実施事業収入の額」という。)を超えるときは、その超える部分の金額(当該内国法人の有する調整公益目的財産残額が当該超える部分の金額に満たない場合には、当該調整公益目的財産残額に相当する金額。第7項において「支出超過額」という。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。 6 内国法人が法第64条の4第3項の規定の適用を受ける場合において、当該内国法人のその適用を受ける事業年度以後の各事業年度(確認事業年度後の事業年度を除く。)の実施事業収入の額が公益目的支出の額を超えるとき(当該内国法人が調整公益目的財産残額を有する場合に限る。)は、その超える部分の金額(次項において「収入超過額」という。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。 7 前2項に規定する調整公益目的財産残額とは、第1項第3号又は第4号に定める金額から前2項の規定の適用を受ける事業年度(以下この項において「適用事業年度」という。)前の各事業年度の支出超過額の合計額を減算し、これに当該適用事業年度前の各事業年度の収入超過額の合計額を加算した金額(確認事業年度後の事業年度にあつては、零)をいう。 8 法第64条の4第3項の規定の適用を受けた法人を被合併法人とする合併が行われた場合において、当該被合併法人が当該合併の直前において前項に規定する調整公益目的財産残額を有するときは、当該合併に係る合併法人(当該合併の日において公益社団法人又は公益財団法人に該当するものを除く。)の当該合併の日の属する事業年度以後の各事業年度においては、当該合併法人は同条第三項の規定の適用を受けた法人と、当該合併法人の当該合併の日の属する事業年度は当該適用を受けた事業年度と、当該被合併法人が有していた当該調整公益目的財産残額は当該合併法人が当該合併の日の属する事業年度開始の日において有する前項に規定する調整公益目的財産残額とそれぞれみなして、第5項及び第6項の規定を適用する。 9 第4項に規定する贈与により生じた損失の額及び第5項又は第6項の規定の適用を受ける場合におけるこれらの規定に規定する公益目的支出の額は、法第37条第7項(寄附金の損金不算入)に規定する寄附金の額に該当しないものとする。 (収益事業以外の事業に属していた資産及び負債の帳簿価額) 第131条の6 内国法人である公益法人等若しくは人格のない社団等のその収益事業以外の事業に属していた資産及び負債がその収益事業に属する資産及び負債となつた場合のその資産及び負債(以下この条において「転用資産等」という。)又は公益法人等が普通法人若しくは協同組合等に該当することとなつた場合のその該当することとなつた時において有するその収益事業以外の事業に属していた資産及び負債(以下この条において「移行時資産等」という。)の帳簿価額は、それぞれ当該転用資産等の価額としてその収益事業に関する帳簿に記載された金額又は当該移行時資産等の価額としてその該当することとなつた時においてその帳簿に記載されていた金額とする。 |
法人税法施行規則 第11款の6 公益法人等が普通法人に移行する場合の所得の金額の計算【新設】 第27条の16の4 令第131条の5第1項第3号イ(累積所得金額から控除する金額等の計算)に令第131条の5第1項第3号イ(累積所得金額から控除する金額等の計算)に規定する財務省令で定めるところにより計算した金額は、公益目的財産残額(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第50号)第119条第2項第2号(公益目的支出計画の作成)に規定する公益目的財産残額をいう。次項第1号において同じ。)及び公益目的収支差額の収入超過額(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律施行規則(平成19年内閣府令第69号。以下この項において「整備府令」という。)第23条第2項(公益目的財産残額)に規定する公益目的収支差額が零に満たない場合のその満たない部分の金額をいう。次項第1号において同じ。)の合計額に整備府令第14条第1項第3号(公益目的財産額)に掲げる金額(既に有していない同項第1号に規定する時価評価資産(以下この条において「時価評価資産」という。)に係る部分の金額を除く。次項第3号において「評価損の額」という。)を加算し、これから整備府令第14条第1項第1号に掲げる金額(既に有していない時価評価資産に係る部分の金額を除く。次項第3号において「評価益の額」という。)を控除した金額とする。 2 法第64条の4第4項(公益法人等が普通法人に移行する場合の所得の金額の計算)に規定する財務省令で定める書類は、令第131条の5第1項第1号又は第2号に掲げる場合に該当する場合にはこれらの号に定める金額を証する書類とし、同項第3号又は第4号に掲げる場合に該当する場合には次に掲げる事項を証する書類とする。 一 移行日(法第64条の4第1項に規定する移行日をいう。次号及び第3号において同じ。)又は適格合併(同条第2項に規定する適格合併をいう。次号及び第3号において同じ。)の直前における公益目的財産残額及び公益目的収支差額の収入超過額 二 移行日に有する時価評価資産又は適格合併により引継ぎを受けた時価評価資産の状況 三 移行日に有する時価評価資産又は適格合併により引継ぎを受けた時価評価資産に係る評価益の額及び評価損の額 |
Ⅶ.普通法人等⇔公益法人等の移行の場合のみなし事業年度
課税所得の範囲の変更等が行われたこともあり、法人税のみなし事業年度について、次の4号を加え、公益法人等が普通法人等に該当することとなった場合、普通法人等が公益法人等に該当することとなった場合の、区分されたみなし事業年度等が規定されました。
法人税法 (みなし事業年度) 第14条 次の各号に規定する法人(第6号から第8号までにあつてはこれらの規定に規定する他の内国法人とし、第9号、第14号、第15号及び第17号にあつてはこれらの規定に規定する連結子法人とし、第13号及び第18号にあつてはこれらの規定に規定する連結法人とし、第16号にあつては同号に規定する連結親法人とする。)が当該各号に掲げる場合に該当することとなつたときは、前条第1項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間をそれぞれ当該法人の事業年度とみなす。 十七 連結子法人の連結事業年度の中途において連結親法人が公益法人等に該当することとなつた場合 その連結事業年度開始の日からその該当することとなつた日の前日までの期間、その該当することとなつた日からその連結事業年度終了の日までの期間及びその終了の日の翌日から当該翌日の属する事業年度終了の日までの期間 十八 連結親法人と内国法人(公益法人等に限る。)との間に当該内国法人による完全支配関係がある場合において、連結法人の連結事業年度の中途において当該内国法人が普通法人又は協同組合等に該当することとなつたとき その連結事業年度開始の日からその該当することとなつた日の前日までの期間、その該当することとなつた日からその連結事業年度終了の日までの期間及びその終了の日の翌日から当該翌日の属する事業年度終了の日までの期間 二十一 内国法人である公益法人等又は人格のない社団等が事業年度の中途において新たに収益事業を開始した場合(人格のない社団等にあつては、前条第4項に規定する場合に該当する場合を除く。) その開始した日から同日の属する事業年度終了の日までの期間 二十二 公益法人等が事業年度の中途において普通法人若しくは協同組合等に該当することとなつた場合又は普通法人若しくは協同組合等が事業年度の中途において公益法人等に該当することとなつた場合 その事業年度開始の日からこれらの場合のうちいずれかに該当することとなつた日の前日までの期間及びその該当することとなつた日からその事業年度終了の日までの期間 |
Ⅷ.公益社団法人等・営利型法人への収益事業課税の税率は普通法人なみ
改正前の公益法人等に対する法人税の税率は、22%と規定されていました。改正後の公益法人課税制度では、別表2に掲載された公益法人等に対して、2種類の税率が適用されるしくみとなっています。
一般社団法人等(別表第2に掲げる一般社団法人および一般財団法人ならびに公益社団法人
および公益財団法人をいう。)については、普通法人と同様の30%の税率が適用され、年800万円以下の金額については22%の税率となります。
一般社団法人等を除く公益法人等については、一律22%の税率が適用されます。
改正後 | 改正前 |
法人税法 (各事業年度の所得に対する法人税の税率) 第66条 内国法人である普通法人、一般社団法人等(別表第2に掲げる一般社団法人及び一般財団法人並びに公益社団法人及び公益財団法人をいう。次項及び第3項において同じ。)又は人格のない社団等に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、各事業年度の所得の金額に100分の30の税率を乗じて計算した金額とする。 | 法人税法 (各事業年度の所得に対する法人税の税率) 第66条 内国法人である普通法人又は人格のない社団等に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、各事業年度の所得の金額に100分の30の税率を乗じて計算した金額とする。 |
2 前項の場合において、普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの若しくは資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社を除く。)、一般社団法人等又は人格のない社団等の各事業年度の所得の金額のうち年800万円以下の金額については、同項の規定にかかわらず、百分の22の税率による。 | 2 前項の場合において、普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの若しくは資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社を除く。)又は人格のない社団等の各事業年度の所得の金額のうち年800万円以下の金額については、同項の規定にかかわらず、百分の22の税率による。 |
3 公益法人等(一般社団法人等を除く。)又は協同組合等に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、各事業年度の所得の金額に100分の22の税率を乗じて計算した金額とする。 | 3 内国法人である公益法人等又は協同組合等に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、各事業年度の所得の金額に100分の22の税率を乗じて計算した金額とする。 |
公益法人課税制度アラカルト
公益法人課税制度の見直しでは留意しておかなければならないことがあります。
その1つは施行期日についてです。新たな公益法人制度は平成20年12月1日からスタートします。非営利型法人の定義や納税義務者の範囲については、平成20年12月1日が施行期日として規定(改正法附則1条五ロ)されていますが、公益法人等⇔普通法人の移行の場合の取扱いについては、改正法公布日(平成20年4月30日)後に該当することとなる場合に適用されます(改正法附則13条①、20条)。
2つには、公益法人等の実態を知っておくべきことです。公益社団法人等に対する課税では、公益目的事業が課税対象から除外されていますが、本来公益目的事業において、所得が生ずるものとは考えにくいものです。したがって、公益目的事業が課税対象から除外されたことの実質的な意義は小さく、公益社団法人等を実質的に非課税とする収益事業から収益事業以外の事業へのみなし寄附金税制の意義が大きなものとなります。公益社団法人等の認定取消しによる普通法人への移行についても、公益法人認定法が公益目的取得財産残額の贈与を規定しており、実際に公益社団法人等が普通法人へ移行する場合は限定的なものと考えられます。