税務ニュース2004年07月12日 シルバー精工事件、最高裁でも国が敗訴(2004年7月12日号・№074) 「源泉徴収すべし」の批判を受け、僅差の判断となったが
シルバー精工事件、最高裁でも国が敗訴
「源泉徴収すべし」の批判を受け、僅差の判断となったが
最高裁第一小法廷(甲斐中辰夫裁判長)は、6月24日、特許権の使用料に係る所得源泉地を争点としたいわゆる「シルバー精工事件」の上告審において、国側の上告を棄却する判決を言渡した(平成11年(行ヒ)第44号)。本件は、米国に製品を輸出していた内国法人(原告・被上告人)と米国における同種製品の製造技術につき特許権を有する外国法人(A社)との間で締結された和解契約に基づき、原告からA社にロイヤルティとして支払われた金員が、所得税法161条7号イ所定の国内源泉所得に当たる使用料に該当するか否かが争われたものである。
一審・控訴審は、いずれも当該使用料は、国内源泉所得に当たらないとして源泉所得税納税告知処分取消請求が認容されていた。
「米国内の販売等に係る米国特許権の使用料に該当する。」と判示
A社は、米国内のプリンター市場における自社製品の市場占有率が低下した事態に対処するため、複数の日本企業を相手として米国国際貿易委員会に対しプリンター製品の輸入差し止めを申立てた。原告は、A社との間で和解契約を締結し、ロイヤルティを支払ったが、この支払に係る源泉所得税を徴収・納付しなかった。税務署長は、支払額の20%に相当する納税告知処分を原告に対して行い、原告は当該税額を納付するものの、当該処分を不服として本訴を提起した。
本件では、特許権等の使用料について、国内源泉所得となる製造許諾の対価に該当するのか、国内源泉所得には該当しない原告の米国販売子会社の販売許諾の対価に該当するのか、その区分が不明確であり、国内源泉所得に該当するか否かが主たる争点となった。
最高裁は、「本件各金員は、米国内における本件装置の販売等に係る本件米国特許権の使用料に当たるものであり、被上告人の日本国内における業務に関して支払われたものということはできない。」と判示し、本件各処分を違法であるとした原審の判断は結論において正当であるとした。
二重課税調整・相互協議で解決すべきとの批判も
シルバー精工事件については、有識者から原審(一審・控訴審)の判断が批判されてきた。批判は、本件使用料が日本の国内源泉所得であるというだけでなく、「原審の判断は、仮に課税権が競合する場合であっても、源泉徴収制度や二重課税調整措置・相互協議制度の意義を失わせるもの」との主旨であった。原審批判は、2人の裁判官の少数反対意見に表れたが、最高裁は、(3対2の)僅差で原審の判断を容認した。
「源泉徴収すべし」の批判を受け、僅差の判断となったが
最高裁第一小法廷(甲斐中辰夫裁判長)は、6月24日、特許権の使用料に係る所得源泉地を争点としたいわゆる「シルバー精工事件」の上告審において、国側の上告を棄却する判決を言渡した(平成11年(行ヒ)第44号)。本件は、米国に製品を輸出していた内国法人(原告・被上告人)と米国における同種製品の製造技術につき特許権を有する外国法人(A社)との間で締結された和解契約に基づき、原告からA社にロイヤルティとして支払われた金員が、所得税法161条7号イ所定の国内源泉所得に当たる使用料に該当するか否かが争われたものである。
一審・控訴審は、いずれも当該使用料は、国内源泉所得に当たらないとして源泉所得税納税告知処分取消請求が認容されていた。
「米国内の販売等に係る米国特許権の使用料に該当する。」と判示
A社は、米国内のプリンター市場における自社製品の市場占有率が低下した事態に対処するため、複数の日本企業を相手として米国国際貿易委員会に対しプリンター製品の輸入差し止めを申立てた。原告は、A社との間で和解契約を締結し、ロイヤルティを支払ったが、この支払に係る源泉所得税を徴収・納付しなかった。税務署長は、支払額の20%に相当する納税告知処分を原告に対して行い、原告は当該税額を納付するものの、当該処分を不服として本訴を提起した。
本件では、特許権等の使用料について、国内源泉所得となる製造許諾の対価に該当するのか、国内源泉所得には該当しない原告の米国販売子会社の販売許諾の対価に該当するのか、その区分が不明確であり、国内源泉所得に該当するか否かが主たる争点となった。
最高裁は、「本件各金員は、米国内における本件装置の販売等に係る本件米国特許権の使用料に当たるものであり、被上告人の日本国内における業務に関して支払われたものということはできない。」と判示し、本件各処分を違法であるとした原審の判断は結論において正当であるとした。
二重課税調整・相互協議で解決すべきとの批判も
シルバー精工事件については、有識者から原審(一審・控訴審)の判断が批判されてきた。批判は、本件使用料が日本の国内源泉所得であるというだけでなく、「原審の判断は、仮に課税権が競合する場合であっても、源泉徴収制度や二重課税調整措置・相互協議制度の意義を失わせるもの」との主旨であった。原審批判は、2人の裁判官の少数反対意見に表れたが、最高裁は、(3対2の)僅差で原審の判断を容認した。
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